カフェ並列の美容室で、美味しいコーヒーを飲みながらカットと縮毛矯正をしてもらっていた時のこと。その美容室を経営しているオーナーとはもともと飲み友達で、かれこれ4年くらい担当してもらっているかしら。くせっ毛の私の髪をいつも天然ツヤサラ級に整えてくれる腕前は大げさじゃなく神業と言ってもいいくらい。

 

それから、コーヒー豆の選び方もかなりセンスがあるの。行く度に、その季節に合ったコーヒーを飲めるのもこの美容室の魅力の一つ。最近は、美容室にカフェが併設されているお店も増えてきたわよね。髪の毛をメンテナンスしながら、コーヒーを飲むのは、かなりリラックスできる。きっとコーヒーのアロマ効果もあるのかも。

 

その日もいつものように、オーナーと他愛もない会話をしていた時、ドライヤーのヘルプで新人らしい男の子が私のもとにやってきた。その彼は、びっくりするほど整った顔立ちで、若さ溢れるキラキラオーラに圧倒される私。

 

新人「あ、オーナーの友達ですよね!  りかさんのことは聞いていますよ、飲み友達っすよね。いいなー俺も飲みたい! このあと、みんなで行くなら俺も行きたいっす!」

 

りか「(若い。ノリが若い。なにもかもが若い……まぶしい)そうそう、前に住んでいた町が同じでね。そこが町ぐるみで仲良い場所だったんだよね。でも今日は約束してなかったから、まぁまた今度飲むときはね〜」

 

新人「あ、そうなんすね! ざんねん! 了解です」

 

その時はなんてことない会話で終了。あとはオーナーを交えて他愛のない会話をしてたんだけど、問題は縮毛矯正もカットも全て終わったお会計の時。

 

さっきの新人君が、会計後店を出ようとした私に紙切れを渡してきた。店を出たあとに紙を開くと、そこに書かれていたのは「今日オーナーと約束ないなら俺と飲み行きましょう。10分後、駅で待ち合わせで。このこと他の店員やオーナーには内緒で。俺、明日休みなんで、何時まででも大丈夫だから」

 

「……。……は?」

 

 

おもわず、声に出ていた。

たしかにその子は、超絶イケメン。でもさ、店の客にこれやっちゃう? しかも、オーナーの友達に手を出すって。さらにメモの内容を読むと、私に行く行かないの選択権すらないわよね、これ(苦笑)

 

”あなたさっき、大好きな彼女がいて、彼女以外と飲みに行くことは皆無とか言ってなかったかしら?” 

 

彼、今までどんなモテモテな毎日だったのか知らないけど、いやーーな気分になったのよね。

 

どれだけイケメンだろうがなんだろうが、興味わかない。

私は今来た道をUターンしてお店に戻り、新人に紙を返したの。「これ返します。あなたと飲みには行かないし、お店に来た人にすぐこういう風にしていると、あなたもお店も、信頼失うと思うよ」って伝えたわ。そして新人君には、申し訳ないけどオーナーにも伝えた。

 

おそらく、彼は常習犯。他のお客さんにもやってきて今まで大丈夫だったからこその、あの自信満々な手紙の内容だと思ったのよね。そんなこと、大事な友達の店でされるなんて、まっぴらごめん。

 

あとでオーナーと話したら、予想的中。お店が終わったあとにオーナーが新人に聞いたら、これまでにもう何人ものお客さんとやっちゃいましたって白状したらしい。話し合いの結果、減給ってことになったみたいだけど、彼は自分がしてきたことの重大さに気づいたのかしら。お客さんとっては、〈彼の行動=お店の信頼度〉お店の信用問題まで関わってくるとはきっと、思ってないでしょうね。

 

私、思うのよね。

 

たしかに女も男も、顔面偏差値が高いに越したことはない。でもそれにあぐらをかくと、何一ついいことはない。いくら外見の作りがよくても、中身の空っぽさは、いつしかその顔つきにも出てくる。

 

顔だけよくても、これじゃあね……。逆に、顔がよくて中身も美しい人が、いくらでもいるのも事実。

ちなみにオーナーだって、なかなかのイケメン(なはず)でも彼言ってたわよ。

 

 

オーナー「俺だって何度かそういうチャンスは少なからずあったけど。でもそこはやっぱりまずいよね。だから美容師は昼間のホストとかって言われちゃうんだよなぁ。まぁでも、最初のうちにこういう経験して、これはいけないことってわかってもらえたと思うから、まぁよかったか。そのうち顔と中身、伴ってくるっしょ。いつの時代も、ああいう奴って出てくるからな。ま、俺は俺なりに真面目に、このままいくわ」

 

りか「どんだけいいやつ(笑)あなたがオーナーでよかったね~彼!」

 

自分の顔に少しでも自信があるあなた。その顔面偏差値にあぐらをかかず、中身の方も磨くことを忘れずにね。

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