昔は、季節の中で冬が一番好きだった。でも上京してから少しずつ、少しずつ。寒さが苦手になってきたのよね。

 

というか、東京の冬が苦手なのかも。だって東京って、ビル風めちゃくちゃ、すごくない? あれは北国の吹雪よりも冷たくて痛い。今好きな季節は、断然春と秋。体がついていかなくなってきているだけって説も大いにあり得るけど……。

 

そんな私でも、街がイルミネーションで輝くこの時期だけは、寒さを忘れ毎年ウキウキしてしまう。都心部ならではの大きなツリーに煌めく街路樹。職場で流れるラジオからは、クリスマスソングが流れる日々。恋人がいようがいなかろうが、やっぱりこの時期は、楽しい。

 

師走でバタバタ忙しい日々だけど、なんだか心は穏やかだなぁなんて思っていた矢先、友達の中でもダントツで恋愛気質の女友達から「ちょっとりか聞いて……彼氏がありえない。今夜いつもの場所で会えない?」とメッセージが。

 

家が近所の私たち。ティラミスとエスプレッソが最高に美味しい近所のカフェがいつもの集合場所。仕事を終えてカフェに着いたら、先に到着していた友達は、まさにビール2杯目に突入するところだった。ソフトドリンクが主流の彼女、これはなかなか荒れてるようね。

 

りか「お嬢さん、やけ酒ですかー」

 

友達「あ、お疲れー!!! もう飲まなきゃやってらんないのー。もう彼氏がありえないのー。聞いて聞いてりかー!」

 

高校のクラスが一緒だった縁から仲良くなって、はや20年。この子は、同い年なんだけど心がずっと少女なのよね。純真で天真爛漫。性格は少女でも仕事はバリバリできる。彼女もクリエイティブの仕事をしていて、おととし個人事務所を立ち上げたすご腕の持ち主。仕事のことで盛り上がれる唯一の女友達ってのもあって、私は彼女のことが大好きなんだけど、恋愛のスタンスだけは真逆なの。

 

私に言えば何か言われるってことはわかってるはずなのに、何かある度に逐一報告してくる。恋愛に関してはなんだか手のかかる妹みたいなのよね。(まぁ、かと言って私の言うことを素直に聞いたことなんて一度だってないんだけど(苦笑))

 

今日もまたよくわかんないこと言ってくるんでしょうね……。という予想は大当たり。今回は、来たるクリスマスについてだったんだけどね……。

 

友達「聞いてりか。私この前彼氏できたでしょ? で、今度クリスマスあるじゃん? 付き合って初めてのクリスマス! どこで過ごすのかな~、なにを食べるのかな~、彼氏にはなにをあげようかな~ってすっごい楽しみにしてたのね!」

 

りか「そっか~付き合って初めてのクリスマスなのね。楽しみよね。今年のイブは木曜日だから、ゆっくりできる金曜日の25日に会うんでしょ?」

 

友達「……。なんっで彼氏と同じこと言うのよ~(涙)恋人同士なら、24日のイブに会うと思うでしょ普通~。25日はクリスマスだし金曜日だけど、私は24日に会いたいの。ってか、今回ありえないって話したかったうちのひとつがこれ! 会おうと思っていた日にちが、私は24日のイブで彼氏は25日だったの。ありえなくない!? 普通イブじゃないの!?」

 

りか「お互い次の日も仕事がある木曜の平日に無理して会うより、次の日もゆーっくりできる金曜日の25日に会おうかってカップルも多いんじゃない? てかそもそも、よく考えると24日ってさー、イエスキリストも産まれてないじゃん。25日に祝うのはギリわかるにしても、なんで生まれる前日が“恋人たちのクリスマス”になるのか自体、そもそも不明じゃない?」

 

友達「あ~やだ。りかと話してると、ほんと彼氏と話してるみたい。全然ロマンチックじゃない! とにかく私は24日に会うものだと思って、午後はもう仕事はしない気でいたのよ。それにね! お店! お店はどこを予約してくれてるのかな~って思っていたら、”今年はケーキでも買って家でゆっくり過ごさない?” って。もうガックリ。1年目から手抜きしすぎじゃない?」

 

りか「家で過ごすのが手抜きなの?」

 

友達「手抜きに決まってるじゃん。もうだから、りかは〜。いい雰囲気のお店を予約してもらって、美味しいディナーをふたりで食べて、イルミネーション見て、クリスマスプレゼントもらって……♡ 女が愛されてるって感じるのって、こういうことでしょう? ちなみに、25日じゃなくて、24日にね」

 

りか「……。ほんと、なんかあんたってほんと、簡単な女だよねぇ……。こんなこと言っちゃなんだけど、“付き合って初めてのクリスマスだから○○しなきゃ、してもらわなきゃ”ってのに囚われ過ぎじゃない? ちゃんと彼氏自身のこと見てあげてる? 私が聞いていると、よっぽど彼の方があなたのこと大切にしているように見えるんだけど」

 

友達「え~どこが~?」

 

りか「彼が25日に会おうって言ったのは、24日に会うよりも、25日に会うほうがゆっくりふたりの時間を過ごせるからじゃないの? 家でゆっくりしようってのも、“今年は”って言ってるの気づいてる? 今の東京、またコロナウイルスの感染者増えてきてるよね。相手のことを大切に思う人なら、外食するよりも家の方がまだ安心かなって思うんじゃないかしら。それに、もともと家で過ごす人なら、わざわざ“今年は”とは言わないはずよ」

 

友達「確かにそうかも……。やだ私、24日のことばっかり気にしちゃって。彼は彼なりに考えてくれてたのかぁ」

 

りか「え、今回は素直。逆にこわいんだけど(笑)」

 

友達「24日に会いたいのは今も変わらないんだけどね(苦笑)でもそうだな、折衷案として24日に家で会うのはどう? って言ってみる!」

 

りか「どうしてもイブに会いたいのね(苦笑)もう勝手にして~」

 

 

私、思うのよね。

 

 

“クリスマスだから”“クリスマスイブだから”の呪縛にとらわれている人(特に女)が世の中どれだけ多いことか。

 

かく言う私も昔はそのひとりだった。だからこそわかる。「クリスマスイブだからこそ無理をしてでも会いたい」「クリスマスだから、なにがなんでも彼氏と過ごさなくっちゃ」「クリスマスだから、おしゃれなお店を予約しなくちゃ」そんな風に、無意識のうちに自分の首を絞めていたのよね。

 

でも、いつからだろう。心地いいクリスマスの過ごし方は、呪縛にとらわれずに考えた先にあることに気づいた。クリスマスだから○○しなくちゃ!と考えなくなった時から、もうすごーく気楽になったの。

 

"イブに会えなくても、まぁ次の日の方がゆっくりできるならそうしよう?" とか ”家でゆっくりふたりでチキン食べるほうが楽しいかも” とか相手と自分自身の『本当の好き』を突き詰めていったら、世間の “○○すべき” とはかけ離れていることにも気づいたのよね()

 

だからね、みんなも少し考えてほしい。世間一般の、クリスマスだから~何かしなきゃいけないという考えに囚われず、ふたりの心地いいクリスマスはなんなのかということを。

 

それが「イブに会って外食すること」のふたりもいることでしょう。「互いに時間をとれるクリスマス近辺に家でクリスマスパーティをすること」のふたりもいることでしょう。ふたりが話して出した結果なら、周りがどう思おうとそれが大正解よ。笑顔あふれるクリスマスになるはず。

 

みなさん、ちょっと早いけど、メリークリスマス。

 

あなたならではの、素敵なクリスマスを過ごしてね♡

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