ルーズな男が嫌われる? いや実は、意外とそうでもないのが、この世の不思議……。
この話、私の幼馴染のことなんだけど。彼とは小学校の頃からの付き合いだから、もうかれこれ20年以上になるわね。そのあいだ、彼とは一度も恋愛関係になったことは皆無!
過去には、この彼は私の女友達と付き合ったり、私も彼の先輩と付き合ったりとか、色々とあったわ。そうね、今振り返るとなんて淡い思い出かしら。(笑)
今でもたまに飲んだりするけど、まぁ気楽なのよね。
そいつ(笑)はね、もう超がつくほど、心が優しいの。育った環境って大事よね。たしかに彼のご両親をみてみると、2人とも本当に、優しくて穏やか。当時の私は、そこらの男子よりも男勝り、そしてかなりのやんちゃ盛り。
気が弱くて真っ白で天使みたいだった幼馴染のことをよく苛めてた。今思えばただの女ジャイアン(涙)
でもね、そんな私のことを彼のご両親は、「こんな明るい女の子、とっても可愛いじゃない」ってずっと褒めて褒めて褒めちぎってくれてた。
自分自身が大人になった今、あんな寛大な大人は、なかなかいないってわかる。
いつも「うるさい!」と怒られてばかりだった私を褒めてくれた。そんな2人の間で育ったんだもの、穏やかで優しい人間が形成されて当然といえば当然。
でもなぜか、彼にはそれをも覆す大きな大きな欠点が(苦笑)
そう、彼はね、ハイパールーズな価値観の持ち主。待ち合わせ時間きっかりに来たことなんて大人になってから一度だってない。なぜかいつも、子供みたいに照れながらカフェの扉を開いて登場するのがお決まりのパターン。そしてたまに、財布だって忘れてきやがる。それもおそらく、天然で。
恐ろしいわよ? 天然って。
だって、幼馴染ていうのもあるけど、普通に「財布ないならしょうがないか〜」ってお金払っちゃうのよ。どうしてかって? 悪気もなければ、もう真っ白どころか透明な「天然」だから(笑)2人でよく行く地元のカフェは、彼はもしかしたら「財布はいらない場所」と思ってるのか? てくらい、財布持参率が低い。
でもある時、いつものように財布をどこかに置いてきた彼の分のお会計を払ってる時にふと思ったの。
「これ……私幼馴染だからやってるけど、彼氏がこんなんだったら……いやかも」ってね。で、そのまま幼馴染に聞いたのよね。
りか「ねえあんた、彼女といる時もこんな感じなの?」
幼馴染「え? こんな感じって?」
りか「いやだから、待ち合わせには遅れるし3回に一度は財布忘れる感じよ。そういう時って、彼女はどうしてるの?」
幼馴染「うんん。たしか、笑ってる。というか、すごいウケてる、かも?」
りか「ほほぉ……。怒ったりしないの? 彼女」
幼馴染「あったかなぁ。いや、ないかもなぁ。とにかく楽しそう。」
りか「……ほほぉ」
みなさん、そうなんです。世の中ルーズは嫌われるとか言いますけど、限られた人種ではあるけれど、ルーズでも全く嫌われない人もいるんです。世の中不公平よね。
あなたの周りにも、こういう人っていません? 死ぬほどクズなのに(幼馴染のご両親ごめんなさい)みんなから愛されている人。でもそういう人って、ルーズさ以外は神がかり的な人のよさを持ち合わせたりしているのよね。結局そっちの良さが上回って、ルーズさすらその人の魅力になってしまったりする。
そしてなぜか、そういう人って男性の方が多い気がする。なんとなくだけどね。
幼馴染が付き合ってきた歴代の彼女は、そういえばなんだかとても幸せそうだった。その中に私の女友達もいたんだけど、その子が昔言ったセリフがなんとも深かった。
「私、あの人といるとなんだか落ち着くんだよね。悪い所も、あの人みたいに、そのまま柔らかく出せたらきっと楽になるって、教えてもらってる気がするの。女子ってさ、プライドばっかじゃん。そういうの馬鹿らしくなってくるんだよね、あの人と過ごしてると。」
うん。なんだか少し、わかる気がする。
私、思うのよね。
ルーズがいいわけでは決してないと思うけど、「~しなきゃいけない」って風潮の、窮屈でがんじがらめの今の世の中。私の幼馴染みたいな存在って、息が出来なくて窒息しそうになってた人たちにとっての一つの風穴なのかもしれない。毎日毎日頑張る女性には、こんな柔らかな存在がうらやましくて仕方ない。
「こんな風に生きられるなんて、むかつくけどうらやましい。しかもなんだか癒される。癒される自分が謎だけど(笑)」
相反する想いだけど、それが、偽りのない女性の声なんじゃないかしら。
結局のところ、それをよしとするかどうかは受取手次第。欠点以上の魅力が、幼馴染みたいな人種にはあるのかもしれないわね。
ま、私は幼馴染みたいな彼氏なんて、頼りなさすぎてちょっとっていうのも本音。私みたいな女も当然いるってことは忘れないで欲しいけどね。
まぁそれを言うなら、あっちもお断りだろうけど。(苦笑)



