「ねえりか知ってる? コーヒーって、赤ワインに匹敵するくらいのポリフェノールが入ってるらしいよ」
この前、親友と焼き鳥を食べながら赤ワインを飲んでいる時、その子がそんなことを言った。うん、もちろん知ってる。少しだけコーヒーの方が赤ワインよりは少ないけど、コーヒーにポリフェノールが入ってること自体知らない人が結構多いのよね。
そんな他愛もない話をしながら、焼き鳥からの2軒目はもちろんコーヒーを飲みに行くことに(笑)
彼女とはもう高校時代からの付き合い。うれしい事もつらかった事もほとんど全てを知りあう仲だから、一緒にいると気楽なのよね。なにを言っても大丈夫で信頼できる人って、本当に大切。その日は、お互いの近況報告もほどほどに、話題は高校時代に私たちが同じクラスだった共通の女友達についてに移っていったの。
本日二度目の「ねえ、りか知ってる?」
その内容は、その日初めて聞く話だったの……。
親友「この前のGWに実家に帰った時、久しぶりに、その子とご飯行ったんだよね。子供もちょっと大きくなって、なんか母親らしくなってて感動しちゃった。でもね、今離婚の危機なんだって」
りか「……まじ? 今初めて聞いた。インスタとかで見る限りじゃめちゃくちゃ幸せそうじゃない? 私、「おぉうまくやってそうだな」って安心しきってたんだけど。なんでそうなったって?」
親友「なんかさぁ、友達自体は旦那のこと好きみたいなんだけど。旦那の方が、友達の子育ての仕方が我慢ならないみたいで、夫婦仲がこじれにこじれたって。ほら、あの子、昔から自由奔放主義だったでしょう? 良くも悪くも、さっぱりしていい意味で適当なのが私は好きなんだけど、母親としてはどうなの? って旦那がぶちぎれたんだって」
りか「さっぱりはしてるよね。確かに適当だけど、でもそれが原因って、なんかちょっとよくわからないんだけど」
親友「なんかね、旦那は毎日、今日子供がどうやって過ごしていたかを報告してほしい人なんだって。それを怠ったら、「てめえ!!! なに子育てさぼってんの。自由にやっていいと思ってんのかよ!」ってひどい口調で罵倒されたらしいの。
友達からしてみたら、毎日の家事と子育てだけでも手一杯なのに、報告なんてしてる余裕はないっていうのが本音なんだけど、そんなこと言ったらなにされるか分かんないから言えなかったって」
りか「そうなんだ……。まぁそれだけで離婚危機になるとは思えないから、他のことも積もりに積もってって感じなんだろうけど……。でもなんか、それにしてもあの2人が離婚危機なんてなぁ。大丈夫かなぁ。心配だね」
親友「ほんとだよね……。あーあー、ほんと、未来なんて誰にもわかんないね」
そう、私たちは今からかれこれ5年前。
とても幸せそうな2人の結婚式に出席していたの。今まで色々な結婚式に出ているけど、彼女たちの結婚式は本当に素晴らしかった。かなり手も込んでいた。お色直しは通常一回のところ彼女は二回。そして余興は、なんと県が代表するお祭りを再現するという相当大がかりなものだったの。
2時間~2時間半が一般とされている披露宴は、なんと4時間も続いたくらい! 予約していた帰りの新幹線時刻が近づいて、最後、途中退場するはめになるほど……(苦笑)この部分だけ話すと、ぶっとんだ結婚式っていうイメージになっちゃうけど、彼女とご主人は本当にお似合いでね、「自由な2人が知り合って、互いに尊重し合ってる感」は本物だった(と思う)
私、思うのよね。
親友が言うとおり、未来は誰にもわからない。
でもひとつだけ言えるのは、未来は「今」の続きにあるということ。
一緒に過ごすのが当たり前になってくると、少しずつ「相手を敬う心」が少なくなってきてしまいがちよね。どんなに好き同志でも、そんなことはごくごく自然に起こってしまう。
でも、それが当たり前になってきてしまったら……? その未来は、あまり幸せな結末にはならないかもしれない。
彼女のご主人は、もしかしたら自由な彼女が自分の思い通りに動かないことに毎日イライラしてたんじゃないかしら。だけど、それってちょっと違うくない?
結婚式の日、彼は「彼女の自由な所が好きです。俺は、そんな彼女をずっと守っていきたい」と大勢の観衆を前に堂々と宣言していたのにね。
現実は、少しずつ、それが嫌になってきていたのよね。彼女の魅力だった部分が、自分の生活の中に彼女が入ってしまったら、それは魅力じゃなくなった。それって結局、自分の思い通りにならないのがいやだっただけなんじゃないの?
まぁ、彼女側の事情しか知らないから、実際はどんなことが原因かは2人にしか分からないことなんだけど。
でも、「今」の気持ちが未来を作る。「今」の行動が未来を変えるのは紛れもない事実。未来なんて誰にもわからないからこそ、互いの「今」を大切に思ってほしい。
ねぇ。あなたは「今」を、大事に扱っているかしら。