共感だけが友情じゃない。これって恋愛にも言えること。
今年の夏はほんとに毎日が暑さとの戦いね。その日も、何杯目かもうわからないほどのアイスコーヒーを職場近くのカフェまで買いに行ったの。
そこのカフェはいつも激混みなんだけど、時間帯もあってか珍しく先客一名しかいなかったの。「じゃあ休憩もかねて……♪」ってことで、店内で飲むことにしたのよね。
そこのマスターは女性。年齢は30少し過ぎたくらいかしら。優しい笑顔の中にも、凛とした雰囲気があってとても好印象な方なの。
そしてもう一人の先客さんは、女性マスターの友人のよう。どうやらマスターに、相談ごとがあってお店に来ていたみたいね。
お客さんもちょうど私以外はいないから、その子がマスターを独占状態(笑)
相談内容も結構重めだったから、それで良かったのかもだけど。
聞こえてきた第一声が、これだった。
「ねえ聞いて! なんとか離婚は免れたんだけど。これってわたしが悪いと思う!?」
彼女の相談内容はこう。
彼女とご主人は結婚して10年目。これまでも浮気癖のある彼女は、何度もご主人を裏切ってきたそうなの。
ばれたこともあれば、ばれていないこともあるらしい。
それで今回は、元彼とも最近いい感じだった彼ともヤッてしまったって話。
もう一度言うわね。この子、既婚者(苦笑)
既婚者なんだけど元カレがいて、最近いい感じの彼もいて、どっちともやっちゃったって話。
で、元彼としちゃったことは主人にばれて、もう離婚よって彼女の方が言ったみたいなんだけど、ご
主人の方も、もう意地なのか「復讐するために別れない」
って言ったみたいなの。
「でもね聞いて! あの状況しょうがなかったの! なにもしないっていうから会ったけど、ほぼ無理やり脱がされて……あれはもう無理! わたし女だから、抵抗したって力じゃ勝てないし・・・…。
でね! 聞いて! 今の会社にもさ、私のこと気になってるようなそぶりの人いるんだけど、でもその人既婚者なんだよね。本気なのかな? ねえどう思う??」
この女……。今まで一切モテてきてないわね。
いきなり、ちやほやされだしたから、自尊心やウキウキ感がいっきなり花開いて、旦那への罪悪感なんて微塵も感じていない。(おバカちゃんねぇー。)
しかも自分のことは、しっかり擁護しちゃって。
この女。一言で言っちゃうと
どうしようもなく「かっこ悪い女」
よね。
ただSEXをさせているだけ。それをモテるって勘違いしちゃってる、ものすごーくイタイ女。
聞いてるだけで、すごく気分の悪い話。
でもね。ずっと静かに彼女の話を聞いてた女性マスターが言ったの。
マスター:「ねぇ、あのさ。中学からの友達だから言うけどね。
私、今のあんたと今出会ってたら、一番嫌いなタイプの女。さっきから、自分は悪くないって言ってるけど、全部あなたが悪い。そもそもなんで元彼と会うわけ? 無理やりヤラレタって言ってるけど、個室には行ったんでしょう? その時点であなた、わかってたよねきっと、やるって。」
女:「え。なに?意味わかんない。友達なら共感してくれるべきじゃない? ひっど! ひどくない?」
マスター:「どうでもいいやつならね。わかるーっとかいってやり過ごすわよ。でも、あんた友達だから言ってんの。怒ってんの。そもそもあんたなんで結婚してるの? 旦那に悪いとかちっとも思ってないし、自分が可哀想とか言ってるけど、全部あなたが引き起こしたこと、わかってる?」
女:「あなたなら話し聞いてくれると思ってたのに。もういい。」
と言って、彼女は出てった。
こういう女、私も大嫌い。
そして、マスターと私の2人きりの空間。
ふわっとマスターが口を開いた。
「うざいですよね、彼女(苦笑)自分が一番可愛くて、自分が一番可哀想。ああなったのは、いつからだっけ。いつかこの私の気持ち。わかってくれたらいいんですけどね」
友達だから共感じゃなくて、
友達だから怒る。
シンプルよね。そして潔い。お見事です、あっぱれ。
私、思うのよね。
本当の友達って、きっとそういうこと。
そしてこれって、友情だけじゃなくて、恋愛にも言えること。
本当に好きなら、「それって違うんじゃない?」って言わなきゃいけない時には、共感だけじゃない「愛の表現」があるはず。
いい女って、このマスターの為にある言葉なのかもって思ったくらいよね。
私はマスターがますます好きになって、カフェをあとにしたの。



