付き合いが長くなってくると、阿吽の呼吸というものがなんとなく出来上がってくるわよね。性格や価値観も大体わかってきて、言わなくても互いに伝わることも増えてくる。それってとても心地いいわよね。だけど、そればっかりでもよくないのよ?

 

人は一緒にいながらも常に変化していく生き物。変わらないなんて、ありえない。たまにゆっくり話す機会は、意識して作ろうとした方がいいものよ。付き合いが長くなればなるほど尚更、ね。

 

今日は、付き合いの長さで油断しまくった友達カップルが破局を迎えてしまった話。互いに好きな気持ちは変わらないのに、ただ「話をしなかった」ということで、どんどんどんどん歯車がおかしな方向にいってしまったの……。

 

最高気温が20℃にまでなりそうな午後の昼下がり、私とそのカップルは吉祥寺のカフェでアイスコーヒーを飲んでいた。私と友達カップルとの付き合いはかなり長い。報告があるということで招集がかかったものだから、てっきり私は「ついに結婚報告かしら」とワクワクしながらカフェに向かったの。

 

でも皆さんお察しの通り、その報告はまさかの真逆。「私たち、別れることにしたの。りかには会って伝えておきたくて」という報告だった。

 

元々私たち3人は、社会人のダンスサークル仲間だったの。好きなものや価値観、考え方に雰囲気、全てが本当に同じだったこの2人が付き合い始めるのに時間はかからなかった。2人にとっては、私が恋のキューピッドだったらしいけど、私がいなくても絶対付き合ってたわよこの2人。

 

見ている人たちまで、きゅんきゅんするくらいに仲の良かった2人。付き合って2年後には同棲も開始して、一緒に住んでもう、5年は経っているはずよ。結婚せずにそこまで長く続くのも、ある意味すごいと思っていたのよね。もちろん結婚を視野に入れていないわけじゃなく、互いに生活が落ち着いたらという名目があったんじゃなかったかしら。

 

そんな2人に、一体なにが??

 

 

りか「報告してくれる位だから、別れの理由、聞いてもいいわよね?」

 

2人「あのね……。しいて言うなら「そんな事全然聞いてない」ってことが、互いに増えてしまったの」

 

2人が言うには、こういう事らしい。

 

もともと価値観も好きな事も全てが合っていた2人だったから、付き合いたては「これはどう思う? 私はこう思っていてね」「あ、俺もそう! 同じ!!」という会話がすごく嬉しかった。それが何年も続くのが、2人にとってはすごく居心地がよかった。

 

そして、その安心感があるからこそ、2人はいつしか会話をしなくなっていったの。会話のない時間自体も、2人にとっては心地よかったそうよ。

 

でもある時から、何気ない会話の端々に違和感を感じるようになっていったそうなの。

 

ある日の会話……

 

彼氏「この前○○の美術館行った時にさ~」

彼女「え? なにそれ。聞いてない(これまではそういう事は必ず話してくれていたはずなのに)」

 

また別の日の会話……

 

彼女「私、今転職活動しててさ。っていうかもう今の会社には辞めるって言っちゃったんだけど」

彼氏「は? なにそれ聞いてないんだけど(俺になんの相談もなしかよ)」

 

こんな具合に、どんどんどんどんすれ違っていってしまったんですって。喧嘩なんてしなかった2人が、ちょっとのことで小競り合いをするようになってしまった。お互いのことを「わかりきっている」と思っていたのに、最後の最後は「なにを考えているかさっぱりわからない」とまでなってしまったそう。

 

こんなに長く続いたのに……。悲しい結末よね。

でもこれって、自分たちが招いた結末でしかない。

 

 

私、思うのよね。

 

 

この別れ。安心感という殻で出来た「話さなくてもわかる」という惰性が生んだ別れでしかない。一緒にいるだけで何もかもわかるなんて、そんな事あるわけないじゃない。確かに、出会った頃はそうだったかもしれないわね。だけどね、良くも悪くも、人は変わる。年齢、働く環境、人間関係etc……。

 

すこーしずつ、変わっていくものなのよ。2人はそれを理解していなかった。2人の価値観がずれていってたのが一体いつの頃だったかもわからない程、「安心感」という惰性に埋もれきっていたなんてね。

 

「いちいち言葉にしなくても、あの人はわかってくれるから」

「相手が言葉にしなくても、なんかわかるんだよね」

 

確かにこういう2人が理想よね。だけど、これって本当に相手がそう思っているのかの答え合わせができないままなの気がつくべき。

 

もしその「わかってくれてる」「わかってる」というのが、いつしか全然違ってきていたら? その先には、今回みたいに別れがきっと待っている……。

 

毎日朝から晩まで話をしろとはもちろん言わない。

 

でもね、やっぱり少しは会話はするべき。長い時間一緒にいるなら尚更ね。

 

今もしあなたに大切な人がいるなら、「○○にはこの気持ち、伝わっているはず」なんて思わない方がいいわよ。気持ちや態度で伝わるなら、言語はここまで発達しなかったはずよ。

 

口は会話をする為にある。嬉しい気持ちや愛しい感情を、大切な人に伝える為にある。「ちょっと違うんじゃない? 私はこう思うけど」と話し合う為にある。

 

それをめんどくさがっていたら、いつまでもその恋愛は成就しないと思っておいた方がいい。口下手でもいいから、相手に気持ちを伝えること。

 

言ったつもりは、もう辞めたほうが身のためね。

 

 

 

 

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