今、私の二十年来の友達で、自分で振った彼氏のことを超絶ひきずってる子がいるの。その子から話を聞くたびに、人には「決して手放してはいけない相手」っているんだなって痛感させられる。
その女友達と彼氏は、約十年という長い年月をふたりで過ごした。彼氏はその十年間、ずっと彼女のことが大好きで大好きで仕方ないという感じだったの。もともと女友達は自由奔放な子。目を離すとどこかに行ってしまいそうな危なっかしさもあった。笑顔がとても素敵な彼女の周りには、いつも人で溢れていたからね。
対して彼氏の方は、物静かで穏やかなタイプ。両極端なふたりは、私や周囲から見てもとてもうまくいってるように見えたわ。 彼自身が、そのまま、ありのままの彼女のことを好きだった。だからこそ、束縛とかそんな野暮なことはしなかったそうよ。いつもニコニコしながら、彼女の賑やかで華やかな話を、聞いてくれていたんですって。
女友達「それがどれだけありがたかったことか……。今だったらわかるのに」
この前、新宿御苑のカフェで会った時、彼女がぼそっと放った言葉。
彼女が彼のありがたみに気づいたのは、彼をこっぱみじんに振ったあと。
お守りみたいにいつもそばにいてくれる彼氏に魅力や異性を感じなくなってしまった彼女は、自ら彼を手放してしまったの。普段は彼女の全てを受け入れていた彼も、その時ばかりは「ちょっと待って」と泣いて抵抗したそう。
でも既に別れることを決めてた彼女は、10年という歳月をガン無視して「もう無理だから」の一点張り。
そんな彼女に、彼は最後にこう言ったそうよ。
彼氏「すごく悲しいけど。それが最後に出した答えならもう何も言わないよ。これからも、俺が大好きなその笑顔でどっかで笑っていてくれるならそれでいいや」
ーーですって。(私なら、その時点で別れること後悔しそうだけど(苦笑))
まぁ彼女もたくさん考えて決めたことだから、その時は「やっぱり彼はわかってくれた」っていう安心感と「やっと自由になれる」っていう解放感だけがあったみたい。そしてその直後、彼とは真逆のタイプと付き合って、すぐに別れた。でまた違う男と付き合って、すぐに別れるということを繰り返したの。
そこでようやく、彼女は気づいたみたいね。今まで近くにありすぎてわからなかった彼のありがたみを、ね。
他の男と付き合っても全く薄れることのなかった彼の存在にやっと気づいた彼女は、すぐに彼へと連絡したそう。
だけど、もう遅かった。
彼にとって彼女はもう「過去の人」になってしまっていたの。彼女はね、彼に対するありったけの想いを伝えたそうよ。「自分にとってどれだけあなたが大切な存在だったのか。まだ間に合うならもういちどやり直したい」と涙を流して懇願したって。だけど、彼の答えはNOだった。
現実って、なかなか残酷なのよね。
彼氏「一度別れることを選んだふたりは、きっとまたそこにたどり着いちゃうからね。それをわかってたから、最初に別れようって言われた時、どうしても受け入れたくなかったんだよ」
今度は彼女が泣く番だった。
彼と別れて一年が過ぎた今も、彼女は新たな恋を見つけられていない。
私、思うのよね。
決して手放してはいけない人って、人生の中で最低ひとりはいると思うのよね。彼女にとって、彼がきっとそのひとりだった。そういう人って、一回さよならすると二度と戻ってこない場合が多い。
それでも彼女はきっと。これから恋愛もするし、結婚だってすることでしょう。だけど、ずっとその彼氏は彼女の心の一番大事なスペースを占拠しつづけるはずよ。一緒にいることが叶わない相手だからこそ、ずっとずっと、忘れることはないでしょう。
手放してはいけない人。
そういう人って、付き合ってる時じゃなくて、別れた後に気づく場合が多いけど。
あとから気づいて後悔する前に、付き合ってる間にどうにかこうにか気づいてほしい。
彼女がこぼしたような涙を、これを読むあなたは流さないようにね。
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