1日4杯。
朝起き掛け。出勤前に会社近くのカフェでテイクアウト。ランチの後に。帰宅して、最後の一杯。
どんなタイミングでも、私の隣にはいつもブラックコーヒーが。
もともと好きだったけど、いつからこんなに飲むようになったのかしら。と思いながら今もコーヒーを飲んでるんだけどね。
そんな4杯中の3杯目。ランチの後に入ったカフェでゆっくりコーヒーを飲んでいたら、気落ちしたような女性の声が聞こえてきたの。
「あーぁ、うっかり会うんじゃなかったよ、前の人となんて。」
自然と聞こえてくるその会話。その内容は、こんな感じだった。
彼女のいう前の人とは、もうずいぶん前に付き合った彼みたい。4年ほど付き合ったから、そこそこ思い出はあったりして、たまに連絡は今でもあったみたいなの。別れ方までは言ってなかったけど、連絡ちょこちょこ取りあうってことはまぁ、最悪な別れ方ではなかったのかもね。
別れを切り出したのは、彼の方だったみたいだけど。
でも別れてからは、一度も会うことはなかったみたい。
そう、この前までは。
彼女が表参道で買い物をしていた時に、その彼から連絡が入ったそうなの。
「もしかして今、表参道いる?」
って。
うっかり「いるよ!なんで?」って返しちゃったがさぁ大変、彼がさっき彼女のことを見かけたらしいのよね。
そうなると、お互い1人だったから流れで、久しぶりに軽くお茶でもしようかということになったそうなの。
別れてから、その日会うまでほぼ5年。
彼女はね、なんだかんだでちょっとだけ、付き合っていた時のあの「ドキドキ」を楽しみにしていたの。
でも・・・・・・。
現実って本当に、たまに恐ろしいほどの牙をむくわよね。
久しぶりに会った彼は、ちょっと年を取ったくらいで、見た目的には何も変わってなかった。
でも、なんだろう・・・・・・。
大好きだった仕草や話し方、笑い方、その声。全く変わってないのに。
全然、きゅんと来ない。
その自分の冷静さに、まるで冷や水をかけられたみたいな気持ちになったんですって。
私、思うのよね。
昔の男となんか、会わない方がいいに決まってるじゃない。
というか、まぁだからこの彼女に激しく同意よ。
このパターンって、結構同じような経験した女性、多いと思うのよね。
その時大好きだったその彼を、そのまま記憶として残してるんだけど。
でもね、知らず知らずのうちに、私達女性は、さっぱりすっきり完全に。
過去の物
として、その思い出を扱うようになるのよね。
だからこそ。
久しぶりに会った、きっと何も変わってない彼に対しても、まったく彼女の心臓は反応を示さなかったんだと思うの。
悲しいけど、そういうものよね。
でも、この現実って、別に知らなくても良いものだったりもする。
少なくとも、この現実は会わなかったら知らずにいられたじゃない?
人生のうちの4年間。
大好きだった彼のことを一ミリも何も思わなくなってる自分って、結構むなしくなるのよね。
まぁそれは、人にもよるんでしょうけど。
たまには思い出も、美化してもいいのかもね。
大好きで大好きでたまらなくて幸せだった2人で終わらせておいた方がいいときだって、あるのかも。
自分の中で興味もそそらない男性になってしまったっていう現実。
それって実は、ふっきれてるってことだから、実はとてもいいことなんだけど。
でもそことは別の「気持ちの部分」
一番ナイーブな所が、ちょっとだけ傷つく時があるのよね。
そして最後の彼女の言葉
「うわぁ、今度はちゃんとゆっくりご飯行こうってラインきたぁ・・・・・・。」
だから、昔の男となんて、会わない方がいい。



