前回の「器具選び編」では、家で手軽にコーヒーを抽出する方法と器具についてご紹介しましたが、今回はその中でも人気の高い「ペーパードリップ」に焦点を絞って、必要な器具と選び方のポイントなどを解説していこうと思います。
前回の記事はこちら:新年度到来!この春から始めるコーヒー入門1「器具選び編」
ドリッパーには種類がある
ペーパードリップとは、ドリッパーと呼ばれる漏斗状の器具と使い捨てのペーパーフィルターで抽出を行う、もっとも手軽でポピュラーなコーヒーの淹れ方です。
誰でもカンタンにおいしいコーヒーが淹れられるコーヒーメーカーもいいけど、これから趣味としてコーヒーを楽しみたいという方は、ぜひペーパードリップをオススメします。
さて、ひと口にペーパードリップと書きましたが、主たる器具であるドリッパーにはさまざまな規格や形状、材質の違いなどがあり、初めて目にする方はどれを選んだらいいのか迷われるかもしれません。
まず覚えておきたいのは、ドリッパーの規格です。主な規格としては、カリタ・メリタ・ハリオ・コーノの4種類があります。これらはメーカーの違いと解釈してください。
それぞれ形状が異なり、カリタとメリタは台形。ハリオとコーノは円錐形で、コーヒーの抽出液を通す穴は、カリタが小さい穴が3つ、メリタは小さい穴がひとつ、ハリオとコーノは指先ほどの大きめの穴がひとつとなっています。
ハリオとコーノの大きな違いは、ドリッパー内のリブ(溝)の形状。ペーパーフィルターが密着するのを防ぎ、お湯の通り道を作るためのもので、ハリオは縁から底へ渦を巻くようならせん状のリブがあり、コーノは底の部分にだけ短い直線上のリブが設けられています。
こうした形状の違いにより、ドリッパー内でのお湯の滞留時間(お湯を注いでから下に落ちるまでの時間)も違ってきます。
個人的な印象では、ハリオ≒カリタ→コーノ→メリタの順で滞留時間が長くなると感じています。
滞留時間が長くなるということは、それだけコーヒーがしっかり濃く抽出されるということですから、さっぱりめが好きならハリオかカリタ、しっかりした味が好みならコーノ、メリタをオススメします。
ドリッパーを買う時の注意点
自分の好みに合ったドリッパーの規格がわかったら、さっそくお店に見に行ってみましょう。このとき覚えておきたいポイントがふたつあります。
ひとつめは、ペーパーフィルターの形です。ドリッパーに台形と円錐形があると上で書いたとおり、ペーパーフィルターにも台形と円錐形があります。必ず同じ形状のものを選ぶようにしてください。
理想をいえば、購入するドリッパーと同じ規格(メーカー)のフィルターを選ぶのがベストですが、形さえ同じなら普通に使えますので、あまりメーカーにこだわらなくても大丈夫です。
もうひとつはドリッパーのサイズです。一度に淹れる量に合わせたサイズを選ぶようにしましょう。
「大は小を兼ねる」ともいいますが、4杯用の大きなドリッパーで1杯だけ淹れるのは、やはり淹れにくいものです。
目安はコーヒーカップ1~2杯、またはマグカップ1杯までなら1~2杯用、それ以上の量を淹れることが多い場合は4杯用を選ぶといいでしょう。
もちろんペーパーフィルターにもサイズがあるので、ドリッパーと同じサイズのものを選んでください。
揃えておきたいオススメの器具は?
ドリッパーとペーパーフィルターさえあれば、ペーパードリップは問題なく行えますが、ここからは揃えておくと便利な道具についてもいくつかご紹介しておきます。
【ドリップポット】
まずオススメしたいのが、コーヒー抽出用にデザインされたドリップポットです。
素材はステンレスや琺瑯、銅などがありますが、大事なのはサイズ。ドリップポットはお湯を入れて使うものなので、ポット自体が大きかったり、重かったりすると、当然使いにくくなります。
容量が1リットル以下のもので、なるべく軽いものを選ぶといいでしょう。お湯は別にヤカンで沸かして、ドリップポットに移して使えば、ドリップポット自体の容量が小さくても問題ありません。
また、注ぎ口が細長いつる首状になっているものは、お湯を注ぐ量をコントロールしやすく、細く静かに注げるので、初心者の方にも扱いやすいと思います。
【コーヒーサーバー】
ドリッパーから落ちてきたコーヒー抽出液を受ける容器です。
透明な耐熱ガラス製なので、抽出したコーヒーの量を目で見て確認することができます。目盛りが付いたものならそれを目安に抽出量を調節することで、コーヒーの味を安定させることも可能。
カップにドリッパーを乗せ、直接淹れる場合は、途中でドリッパーを持ち上げてみて、「カップの縁から○センチまできたらストップ」とあらかじめ決めておくといいでしょう。
【コーヒーミル】
どうせならコーヒーの味にもこだわりたいという方は、コーヒーミルの購入をオススメします。
ミルの利点や種類については、こちらの記事で詳しくご紹介していますが、手動式のミルなら3000円前後とお手頃な価格で、必要十分な性能を備えたものが出回っています。
コーヒーは豆のまま保存することで、より長く味や香りをキープすることができるので、いつもフレッシュなコーヒーを楽しみたいというこだわり派の方はもちろん、消費が遅めのご家庭でも1台あると大変便利です。
おいしくしたいならコーヒー豆にも注目!
前回に引き続き、「コーヒー入門」ということで器具選びについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
どの淹れ方もさほど高価な器具を必要とせず、気軽に始めることができますので、ぜひご自身に合った方法を見つけてチャレンジしてみましょう!
また、器具以上に大切なのが、素材であるコーヒー豆です。何より肝心なコーヒーの味にもっとも影響を与える要素ですので、「もっとおいしく淹れたい!」と思ったら、次はコーヒー豆にも注目してみてください。