アイスコーヒーがおいしい季節になりましたね!
前回のコラムでは、カフェカホン流のアイスコーヒーの作り方をご紹介しましたが、今回はその材料であるコーヒー豆について、少し掘り下げてみたいと思います。
「アイスコーヒーは苦いもの」というイメージを払拭し、豆それぞれの個性や特長をアイスでも楽しむ方法について、ご紹介していきましょう!
なぜアイスコーヒーは苦いのか?
アイスコーヒーは苦いと思っている方、結構多いと思います。ミルクやガムシロップがないと飲めないという人もいますよね。
では、なぜ苦いのか? この答えは簡単で、アイスコーヒー用として深煎りの豆が多く使われているからです。
普段コーヒーを飲み慣れている方はよくご存知かと思いますが、コーヒーの味を決める要素として焙煎度はとても重要です。
基本的には、
- 焙煎度が浅い=酸味が強い
- 焙煎度が深い=苦味が強い
と覚えておくといいでしょう。
アイスコーヒーは氷を入れて提供されるケースが多いため、濃いめに作らないとすぐに水っぽくなり、おいしくありません。
しかし、浅煎りのコーヒー豆はコクや苦味の成分が少ないので、通常の豆の量では味が濃くなりにくい。
反対に、深煎りのコーヒー豆はコクや苦味成分が多く、通常の豆の量でもしっかり濃く抽出できるため、アイスコーヒーに向いている。
こうした理由からアイスコーヒーには深煎りのコーヒー豆を使う店が圧倒的に多く、結果、苦味の強いアイスコーヒーが多いというわけです。
ですが、おいしいアイスコーヒーを作るのに大事なことは「濃いめに作ること」であって、「苦くする」ことではありません。
このことをちゃんと理解しておけば、深煎りではないコーヒー豆を使っても、おいしいアイスコーヒーを作ることができるんです。
アイスコーヒーでも豆の個性を楽しめる!
濃いめにアイスコーヒーを作る方法は前回のコラムをご覧いただくとして、基本の作り方さえマスターすれば、いろいろなコーヒー豆を使って、アイスコーヒーでの味や香りの違いを楽しむことができます。
とくにスペシャルティコーヒーを使うと、良い香りやキレイな酸、フルーティな甘みといったコーヒー豆それぞれの個性も感じられるので、ぜひおすすめです。
以下ではいくつかの切り口で、おすすめのコーヒー豆をご紹介していきます。
焙煎度合からコーヒー豆を選んでみる。
まずは、コーヒー豆の焙煎度合に注目してみましょう。
先述のように、アイスコーヒーでは深煎りの豆が定番ですが、ただ苦いだけでは物足りません。そこでおすすめしたいのが、インドネシア・マンデリンの深煎りです。
スペシャルティコーヒーのマンデリンは、独特のスパイシーな香りに特徴があります。アイスコーヒーにしてもこの香りが感じられ、苦味との相性も抜群にいいのです。
また、甘みの強いタイプのマンデリンもあり、こちらもアイスコーヒーによく合います。
一方、苦味はやや控えめで、ほどよく酸味の利いたさっぱりしたアイスコーヒーが好みの方には、中煎り~中深煎りのコーヒー豆がおすすめです。
グアテマラは飲みやすいバランス型の味わいで、キレイな酸を持つ豆が多く、中~中深煎りのコーヒー豆でアイスコーヒーを作れば、爽やかな風味に仕上がります。
香りを重視したいという方には、エチオピアがおすすめ。中でもイルガチェフェと呼ばれる豆はフローラルな香りが強く、アイスコーヒーでもこの香りを楽しむことができます。
エチオピアのイルガチェフェはとても人気のある豆なので、扱っているコーヒー専門店は多いと思います。
一歩踏み込んで精製方法にも注目!
普段はあまり気にされることがないかもしれませんが、コーヒー豆の精製方法にも注目してみましょう。
精製方法とは、「摘み取ってきたコーヒーの実から、コーヒー豆(種)を取り出すまでの行程」のことです。これにはいくつか種類があり、出来上がるコーヒー豆の風味に大きく影響します。
精製方法は大きくわけて以下の3種類があり、それぞれ風味の傾向も異なっています。
- ウォッシュト:もっとも一般的な精製方法。クリーンでコーヒーらしい味わいに
- ナチュラル:水をまったく使わない方法で、フルーティで個性的な味になります
- ハニープロセス:ウォッシュトとナチュラルの中間で、甘みのある味わいが特長
このうち、もっともわかりやすく個性が出る精製方法は「ナチュラル」です。
コーヒーの果肉がついたまま乾燥させるため、出来上がるコーヒー豆も果実感が強く、ベリー系のフルーティさや赤ワインのような力強く芳醇な風味が特徴です。
ナチュラルのコーヒー豆では、やはりエチオピアが人気ですが、個人的にはニカラグアもおすすめです。
ニカラグアには風味が強い豆が多いので、アイスコーヒーにもよく合います。少しマイナーな産地ですが、コーヒー専門店などで見かけたらぜひ試してみてください。
オリジナルブレンドを楽しもう
ここまでは産地ごと、ストレートのコーヒーをご紹介してきましたが、さらにもう一歩踏み込んでみたいという方は、自分の好みの味を求めて、オリジナルブレンドに挑戦してみるのも面白いかもしれません。
ブレンドを作る場合は、「こういう感じの味にしたい」というテーマを決めて、それに近づけそうなコーヒーを選んでいきます。
使用するコーヒー豆は2~4種類が一般的で、味の中心となる(強調したい)コーヒー豆の量を多めにするのがポイントです。
なかなかイメージした味にならないこともありますが、それもブレンド作りの楽しさのひとつ。次はあの豆を増やそう、この豆を入れてみようと試行錯誤するのも、また面白いですよ。
今回はアイスコーヒーでいろいろな風味を楽しむ方法をご紹介してみました。これらはホットコーヒーにも共通していることなので、覚えておけばコーヒーの幅が広がりますよ。
アイスコーヒーはただ苦いだけじゃありません。いろいろなコーヒー豆で作って、それぞれの個性を楽しんでみてください!