皆さんはコーヒーが飲みたいとき、カフェに入って何気なくブレンドコーヒーを頼んだことはありませんか?筆者も、何も考えずになんとなく「ブレンドひとつ!」と注文することがあります。しかし、皆さんもコーヒー豆をブレンドする意味について考えたことないはず……!アメリカンコーヒーとブレンドコーヒーの違いが分からない…なんて人も多いようです。
味の違いがわかりやすいシングルオリジン(ストレート:単一種類の豆のみを使用したコーヒーのこと)も楽しいですが、今回はコーヒー好きの日常に欠かせないブレンドの意味についてまとめてみました。
コーヒーをブレンドする理由その1 味をよくするため
まず、コーヒーには土壌や気候によって風味に違いがはっきりと出ます。そのため、コーヒー好きは国や地域、農場によって個性をはっきりと区別することによって品質の評価を行ってきました。以前からは「ストレート」、近年では「シングルオリジン」と呼ばれ、産地によるコーヒーの個性を楽しむ人は多いですが、個性が強いからといって美味しいコーヒーであるとは限りません。
そこで、個性的な風味を残しつつ、飲みやすさを出すために他の品種のコーヒー豆を混ぜたものがブレンドコーヒーです。酸味の出やすいケニアなどの豆に、重さがあって香りの立つグアテマラやブラジルの豆をブレンドすることによってバランスを取るなどが一般的な方法です。
最近では、浅煎りの酸味の強い豆を複数種類混ぜることでフルーティさを際立たせたブレンドも多く見られます。
コーヒーをブレンドする理由その2 コストを下げるため
味を整えるだけでなく、生産コストを下げるためにブレンドが行われることもあります。スペシャルティコーヒーなど、風味を楽しむコーヒーは「アラビカ種」と呼ばれる品種のものですが、低価格な製品には、より病気に強いものの苦味が強く風味に乏しいとされる「ロブスタ種(カネフォラ種)」が使用されることがあります。
味に優れるアラビカ種にロブスタ種をブレンドすることによって低価格を目指すことも一般的に行われているブレンドなのです。
※イタリア南部のエスプレッソ豆など、苦味を強調するためにロブスタ種がブレンドされることもあります。
ブレンドコーヒーとアメリカンの違いとは
あまりコーヒーに詳しくない方からすると、アメリカンコーヒーとブレンドコーヒーの違いが分からない!なんて話もちらほら。ただ、この2つのコーヒーは全く別物。
複数のコーヒー豆をブレンドして作られるブレンドコーヒーに対し、浅煎りの豆を使った酸味が強いコーヒーをアメリカンコーヒーと呼びます。
ブレンドコーヒーの味と魅力
スペシャルティコーヒーのシングルオリジンは美味しいけど、毎日飲むには疲れてしまうという人にもブレンドコーヒーは必要とされているようです。
また、自分の店が目指す味を実現するためにブレンドを行うことも多く、深煎りコーヒーの美味しさを知ってほしいと甘みを強調したり、コーヒーの果実味をもっと知ってほしいとフルーティな酸味を強調したり。そんな自由な表現ができることもブレンドコーヒーの魅力と言えるでしょう。
シングルオリジンばかり注目を浴びるコーヒー業界ですが、高品質なコーヒーが身近になった今こそ「カフェの味」を味わえるブレンドコーヒーを見つめ直してみてはいかがでしょうか?