渋谷トップ

東京の田舎町に育った僕がまさか「渋谷区」に住むなんて夢にも思わなかった。

 

若き日の僕がイメージする渋谷区とは、ネオンに包まれた騒がしい街をオシャレな人たちだけが闊歩(かっぽ)するというもので、僕のような田舎者は "渋谷区のドレスコード" に引っ掛かり、たちまち23区外に強制送還されるのではないかと気を揉んだものである。

しかし、実際住んでいみると意外や意外。

確かにオシャレも多いが、僕のような芋丸出しなヤツも大勢歩いているではないか。

ただ、やはり渋谷駅近辺は騒がしく、それにより疲れが押し寄せたときは、むしろ強制送還を願うときもあるのだ。

当然、渋谷区にはドレスコードも強制送還もありはしないので「あのカフェで一休みしよう」という考えに辿りつく。

 

しかし、渋谷駅近辺に点在する大手シアトル系カフェは連日大変な賑わいで、喧騒から離れるには相応しくない。

 

そこで、渋谷駅近辺でも静かにくつろげるカフェを紹介します。

◇◆珈琲店 TOP(渋谷駅前店)◆◇

  • 住所:渋谷区道玄坂2-3-1ハチ公前駅前ビルB1F(ハチ公前駅前ビルB1F)
  • アクセス:各線渋谷駅から徒歩1分
  • 電話:03-3461-5686
  • 営業時間:8:00~22:00(ラストオーダー21:45)
  • 定休日:無定休(ビル休館日を除く)

渋谷駅の象徴とも言える「ハチ公像」から道玄坂方面に1、2分ほど歩いた先のビルに「珈琲店 TOP(渋谷駅前店)」の看板がある。

しかし、看板こそあるものの地下一階に下りるとイタリアンに辿り着いてしまった。

 

僕がビルに訪れたのは正午過ぎ、店内はランチ営業ということもあってか大変な賑わいであった。

忙しそうな店員さんにTOPの場所を聞くのも申し訳ないと思い、踵を返し、再びビルの前に戻る。

 

――入り口が見つからない。

 

僕の特殊な癖なのかもしれないが、"目的地近辺まで来ているのにお店が見当たらない"という状態が割と好きだ。

 

嬉々としてビル近辺をウロウロする僕は、駅前を忙しく行き来している人の中でもかなりの暇人であろう。そして一本の脇道に入りTOPの入り口を見つける。

妙な達成感を感じながら店内に入ると、木造のモダンなカウンター、テーブル席が目に入る。紳士な佇まいの店員さんに案内され、テーブル席へ。

 

ありきたりな表現かもしれないが渋谷駅前とは思えないほど落ち着いた雰囲気の店内。渋谷駅の喧騒に疲れてしまったときの止まり木としてうってつけのお店である。

コーヒーメニューは定番のメニューはもちろん、超高級コーヒーとして名高い「ゲイシャコーヒー」まで揃っていた。

 

嬉しいことにフードメニューも充実しており、数あるトーストメニューの中から「オイルサーディンのトースト」をオーダー。

渋谷トップ

まずはブレンドコーヒーを一口。

苦味とコクのバランスが優れた正統派な味!

大手シアトル系カフェにはない奥深さを感じられる1杯であった。

続いて、一口サイズにカットされたトーストはサーディンのオイルとほどよく調和した美味しい一品で、あっという間に食べきってしまった。

 

静かに流れるJAZZに身を委ねながら幸せな時間を過ごし店を後にした。

 

◇◆珈琲店 TOP(道玄坂店)◆◇

  • 住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-29-7(道玄坂センタービルB1F)
  • アクセス:各線渋谷駅から徒歩5分
  • 電話:03-3461-1624
  • 営業時間:8:00~23:00(ラストオーダー22:45)
  • 定休日:無定休(ビル休館日を除く)

大抵「坂」なんてものは誰しも避けて通りたい道である。

しかし道玄坂はどうだろうか。毎日、大勢の人が行き来しており、有名店のテナントも数多く軒を連ねている。

 

道行く人たちは一体、道玄坂になんの用事があるのだろうか。

そんなことを考えているうちに道玄坂の中腹辺りに辿り着いた。またまた「珈琲店 TOP」を発見。

駅前店とは違い、すぐに入り口を見つけた。店内の作りは駅前店と似ているが、照明がやや明るい印象。

 

一人で休憩するのも良し、知り合いと待ち合わせするのにも適しているかと思う。

 

駅前店ではホットコーヒーをオーダーしたので、ここではアイスコーヒーを。ケーキの種類も豊富なので自家製レアチーズケーキもオーダー。

改めて写真を見てみると、あのときの美味しさが蘇えってくる。

クリームが乗ったアイスコーヒー、クリームチーズたっぷりのレアチーズケーキ。クリーム尽くし! 不味いわけがない! クリーム党の僕には最高のセットである。

 

アイスコーヒー単体の味もさることながら、クリームと混ぜ合わせると苦味と甘味が絶妙に絡み合い最高の美味しさに。

レアチーズケーキの口どけ感や酸味も申し分ない。本当に美味しいものは食べ終わるのがもったいなくなってしまう。

 

最後の一口は噛み締めて食べたのだが、やはり寂しさが去来するのであった。

 

――渋谷が嫌いだとか、そうじゃないとか、僕がどう思うが渋谷駅は相変わらず活気に満ち溢れていた。

その活気を目の当たりにすると、なんだか一人置いてけぼりにされたようで、ちょっとだけ悔しい気持ちにもなる。

 

いつのまにか始まった秋の風を肌で感じながら、少し急いでバスの停留場に向った。

 

珈琲店トップ

 

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