あらゆる物事には流れというものがある。そして当然、普段皆さんが飲んでいる紅茶にも作り方はあるのだ。
紅茶ができるまでの流れは、
【生産(栽培、収穫)→萎凋→揉捻→玉解→篩分→揉捻→発酵→乾燥】
となっている。
そして、恋愛の流れとしては
【出会い→好意→告白→恋人→喧嘩→別れ】
という流れになっている。あくまで個人的な話なので他の人がどうかは分からないが、僕はもう何回もこの流れを繰り返している。文字にすると実に単純だが、それはそれはドラマチックだった、と信じたい。
偶然にも最後にこころが「乾燥」するという点は、恋愛と紅茶で同じである。今回は、そんな余談を踏まえながら、紅茶ができるまでの工程を詳しく解説します。
目次
紅茶の茶葉は収穫時期によって変化する?
紅茶の茶葉は、緑茶やウーロン茶などと同じように、チャノキという植物から収穫されます。茶葉はほぼ一年中収穫できますが、収穫時期によって呼び名と味が変化します。
アーリーファーストフラッシュ
冬から春に変わる時期に収穫される希少な茶葉。早摘みの中でも最も早い時期に分類されます。
ファーストフラッシュ
主に新茶として分類される早摘みの茶葉。香りが強く黄金色なのが特徴です。
インビトゥイーン
中間摘みと呼ばれる雨季に収穫される茶葉。高品質の茶葉は単品でも販売されますが、ほとんどはブレンドティーに混入されます。
セカンドフラッシュ
バランスがよく美味しい茶葉の収穫期。日本では夏摘み、二番摘みと呼ばれています。薄いオレンジ色の紅茶が抽出されます。
オータムナル
10月~11月に収穫される秋茶と呼ばれる茶葉。抽出すると濃いオレンジ色の紅茶になります。しっかりとした味わいで深い甘味が特徴です。
紅茶が製品になるまでの工程を解説
萎凋(いちょう)と揉捻(じゅうねん)
摘み取った茶葉に温風を送り、水分を抜くことを「萎凋(いちょう)」と呼びます。水分の抜けた茶葉は葉の中に香りを残します。次に行う工程「揉捻(じゅうねん)」は萎凋した茶葉に圧力を掛けて揉む作業です。このように茶葉の細胞を壊すことで発酵の進行を早めることができます。
玉解(たまとき)と篩分(しぶん)
揉捻された茶葉は塊になっているので「玉解(たまとき)機」でほぐし、さらに茶葉を細かく篩(ふる)い分けることを「篩分(しぶん)」と呼びます。篩分が終わった後、篩(ふるい)いの上に残った大きい茶葉は「篩いうえ」と呼ばれ再揉捻されます。
発酵(はっこう)
全ての茶葉が均等の大きさになったところで「発酵」を開始します。緑色の茶葉が赤銅色に変化し、紅茶特有の香りを醸しだします。発酵時間は2~3時間。紅茶の味の決め手になる工程なので慎重に進められています。
乾燥(かんそう)
発酵終了後は、最後の工程の「乾燥」に入ります。乾燥は茶葉を乾かすと同時に、発酵を完全に停止させる目的があります。最初は80℃~90℃の温風を15分程度送り、次に70℃~75℃の温風を20分程度送ります。この工程で茶葉に含まれる水分は4%前後になります。乾燥が終わり、梱包された紅茶は品評会でランク付けされオークションに掛けられ世界各地に輸入されるのです。
紅茶から学ぶ恋愛教訓
紅茶ができるまでの工程を改めて見てみると、全く無駄がないことに気付く。例えば「玉解・篩分」のあとに残ってしまった大きい茶葉は再び揉捻するという徹底ぶりだ。この余念の無さが僕の恋愛には欠けていたような気がする。
というのも、僕はすぐに恋人と喧嘩をしてしまう。譲れない物事なら仕方がないとも思うが、大概の理由はエアコンの温度や箸の持ち方といったくだらないことばかりだ。それが理由で別れてしまうのだから本当に笑えない。
茶葉に施されるの最後の工程「乾燥」は、4%しか水分を残さないと言うが、僕の場合、喧嘩をしてしまうと1%も愛情が残らないこともあるのだ。この了見の狭い自分をどうにか揉捻できないものかと悩む次第である。