新型コロナウィルスの影響で在宅勤務が恒常化する企業もある中、自宅でコーヒーを楽しむ方が日に日に増えています。これからの国内消費のされ方が大きく変わってくる可能性がある中、今回は日本のコーヒー文化の変遷も交えながらお話ししていきます。
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目次
【コーヒー文化の変移】1st WAVE~3rd WAVE の特徴
1970年代から始まった『1st WAVE』では缶コーヒーやインスタントコーヒーが開発され、それまで一部の間で飲まれていたコーヒーは、一気に一般的な飲料になりました。
1980年代後半には海外大手チェーンによる『2nd WAVE』がムーブメントとなり、コーヒーはファッションの一部としてより身近な存在になったのと同時に、カフェラテやカプチーノといったエスプレッソ文化が浸透し始め、今まで馴染みのなかった若年層も取り込みました。
さらに米国で2000年代初頭より起きた『3rd WAVE』の動きは、数年前の日本でもムーブメントとなり、記憶に新しい方もいるのではないでしょうか。スペシャルティコーヒーのような、より高品質なコーヒーとトレーサビリティを求める本物志向の顧客からも支持されるようになり、深化・拡大化が進んでいます。
スペシャルティコーヒーの登場
そもそもスペシャルティコーヒーという概念が初めて世に生まれたのは1978年にまで遡ります。コーヒーの国際会議にて、米国のエルナ・クヌッセン女史が初めてこの言葉を使ってから4年後にはSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が発足しています。(SCAAは現在、ヨーロッパと統一されSCAとして活動しています。)
歴史や味覚特性などについては、分かりやすく解説している情報が沢山ありますのでご興味がある方は調べてみてください。
ただし、日本に『スペシャルティコーヒー』というワード自体が浸透し始めるのにはだいぶ時間がかかりました。私がまだ、コーヒーが苦手だけどバリスタの仕事が楽しいな、と思っていたころは「グルメコーヒー」という風に区分けされてもいました。今でいう、ハイコマーシャルコーヒーとかプレミアムコーヒーとかあたりのコーヒーでしょうか。
スペシャルティコーヒーが広まった背景
スペシャルティコーヒーの概念が生まれる前、コーヒー生産国の歴史には「暗黒時代」が存在します。消費国と生産国とで力関係が不均等で、安く買い叩くという構図です。
これはのちに、良質なコーヒーを生み出さず、コーヒーそのものの「価値」を下げることにもつながります。それに危機を感じ、取引に透明性を持たせて持続性を持った良質なコーヒー作りを目指したのがスペシャルティコーヒーの始まりです。
コーヒーの味覚評価の変化について
2000年代前半~中盤頃にかけては、比較的焙煎度合も深煎りのものが多かった印象です。これは欧米のエスプレッソ文化がそのまま日本に伝わったからという理由もありますが、当時のエスプレッソ評価のひとつに、ミルクと合わせた時にコーヒーの存在が「負けない」ことが大切だったからだと思います。これは競技会の変遷や顧客ニーズの変化にも言えることだと思います。
2nd WAVEがある程度成熟し、その中から差別化をしようと誕生したのが3rd WAVE。つまり、農園による味の違いです。この違いをつくりだす取組みについてはまた別でお伝えできればと思います。
と、進化を遂げています。
【コーヒーを自宅で淹れる】自宅需要の増加
今では良質なスペシャルティコーヒーが飲めるお店も増え、たくさんの情報を仕入れることも出来るようになりました。コーヒーがひとつの趣味となり、ご自宅で自分の好きな地域のコーヒーを楽しまれる方や、抽出方法にもこだわった方が増えてきていると感じます。
また、世界的に見ても日本の大きな特徴だと思いますが、平日と土日、飲む環境によっても飲み方や商品が非常に多岐に分かれていると感じます。その時、その時に合ったコーヒーの飲み方を上手く選んでいるんですね。
【まとめ】自分好みのコーヒーを楽しむ
1st WAVEではコーヒーのメインターゲットは男性サラリーマンだったのではないでしょうか? それが2nd WAVEではファッション性の融合もあり、今まであまりコーヒーを飲まなかった若い女性を取り込みました。3rd WAVEではより深くコーヒーについて興味を持たれた方が自分好みのコーヒーを探している印象を持ちます。こうした需要の拡大にはコンビニコーヒーの登場も非常に大きな役割を果たしていると思います。
コロナウィルス拡大以前にも、展示会やセミナー、販売会などでお客様とお話しさせていただくと、ご家庭でコーヒーを淹れてらっしゃる方、趣味とは言えないくらい詳しい方々も多くいらっしゃいました。私見ですが、男性の方が凝り性な気がしますね(笑)。
みなさんにお伝えしたいことは、コーヒーを難しく考えないで欲しいという思いです。もちろん、良質なものや、適した抽出などは沢山ありますが、コーヒーを楽しむことが出来ていたら幸せですよね。コーヒーが皆さんの生活の大事な一部になること、それをサポートするのが我々の役割です。