コーヒーを淹れるとき、ご自身で豆を挽いてから淹れるという方も多いと思います。挽きたての豆で入れたコーヒーは、味や香りもフレッシュで本当においしいですよね!
ですが、この「コーヒー豆を挽く」という工程も、ただ単純に粉に挽けばいいというものではないんです。
使用する抽出器具によって適した「挽き目」があり、さらにコーヒー豆の種類や状態、飲む人の好みによってもベストな「挽き目」は変わってくるのです。
そこで今回は、「コーヒー豆の挽き目」に着目して、関連するお話をぐぐっと掘り下げてご紹介していきます。
目次
「挽き目」って結局、何だ?
コーヒーに関する用語には、単語だけは聞いたことがあるけど、その意味するところをきちんと理解している人は意外と少ないんじゃないのかな? と思うキーワードが結構あります。
たとえば「粗挽き」「細挽き」という用語。
文字どおり「粗く(細かく)豆を挽くこと」ということは分かっていても、挽き目を変えることの意味や、それによってどんな違いが起きるのかまでは分からない、という方も多いのではないでしょうか?
そもそも「挽き目」というのはコーヒー豆を挽く時の細かさのこと。
これを粗くしたり細かくしたりすることで、淹れるコーヒーの濃さを調節することができます。
一般的には粗挽きにするほどコーヒーは薄くなるため、さっぱりとした味に、反対に細くすると濃くなるので、しっかりした味わいになります。
他にもコーヒーの濃さに影響する要素として、「豆の量」「抽出の時間」「お湯の温度」の3つがあり、これらをバランスよく調節することで好みの濃さを作り出すことができるのです。
抽出方法によって適した挽き目がある
では、挽き目はどのように決めるのがいいのでしょうか?
基本的には抽出する器具によってオススメと言われている挽き目がだいたい決まっています。
- フレンチプレス………粗挽き
- ペーパードリップ……中細挽き
- エスプレッソ…………極細挽き
それぞれの抽出器具で調べてみると、上記のように紹介されていることが多いようです。
では、これらがなぜオススメとされているのか、その理由について少し掘り下げてみましょう。
コーヒーの抽出方法は、大きく分けると下記の2パターンがあります。
- 透過式……お湯や水を上から注ぎ、コーヒー豆を通過させて抽出液を下に落とす方法。代表例はペーパードリップ
- 浸漬式……コーヒー豆をお湯に一定時間漬けて、あとから豆と抽出液を分ける方法。代表例はフレンチプレス
透過式はお湯とコーヒー豆の接触する時間が短いので、段階的にコーヒーの成分を取り出すことができます。コーヒー豆から味の成分が出る速度はゆっくりと考えてよいでしょう。
一方の浸漬式は抽出自体にテクニックは必要ないですが、コーヒーの成分が一気に出てしまうため、強めの味になりやすいです。こちらはコーヒー成分の抽出速度は速いと考えてください。
それぞれの抽出方法に対して、どれだけの濃さのコーヒーを作りたいかを考えると、それに適した挽き目も自然と見えてくるというわけです。
ペーパードリップのような透過式は味がゆっくり出るので、普通の濃さなら中細挽き、濃いめに淹れたい時は細挽きがベストな挽き目となります。
コーヒー豆を漬け込む浸漬式は味が出るのが速いため、挽き目が細かいとエグ味が強く出てしまいがち。それを防ぐためにも粗挽きがオススメとされています。
エスプレッソマシンは分類的には透過式になりますが、お湯に高い気圧をかけて短時間で濃厚なコーヒーを抽出するため、写真のようにパウダー状の極細挽きにする必要があります。
このように、抽出方法がどちらの仕組みになっているかを考えると、その方法に適した挽き目もおのずと見えてきます。
そのうえで、必要なら自分の好みに合わせて濃さを加減してみるといいでしょう。
挽き目を使ったテクニックを紹介!
挽き目の役割がわかったところで、挽き目を活用したコーヒーの抽出テクニックをいくつかご紹介します。
アイスコーヒーをおいしく作る
ちょっと季節外れではありますが、アイスコーヒーを作るときに挽き目がとても役に立ちます。
アイスコーヒーを作る方法として「急冷式」と「水出し」がありますが、1杯分だけすぐに作りたい時は「急冷式」が便利です。
急冷式は濃いめのコーヒーをペーパードリップで淹れて、あとから氷を加えて一気に冷やすという作り方です。最初にどれだけ濃いコーヒーを作れるかがポイントになるため、豆の挽き目が重要になってきます。
通常、ペーパードリップは中細挽きの豆を使いますが、「水出し」の場合はより濃厚なコーヒーを抽出するため、挽き目の細かい細挽きにしてみましょう。
これにより普段と同じ豆の量でも、濃いめのコーヒーが抽出できるので、氷を入れても水っぽくならず、おいしいアイスコーヒーを作ることができます。
古くなったコーヒー豆をできるだけおいしく
焙煎してから日数が経過したコーヒー豆は、味も香りも徐々に劣化していきます。
香りが弱くなるだけならまだいいですが、古くなるとエグ味が出やすく、保存状態によっては酸味が強くなったり、湿気たような香りがしたりすることも。
しかし、こうしたコーヒー豆も挽き目を少し工夫すれば、嫌な味を抑えておいしく飲むことができるのです。
古くなったコーヒー豆はしっかり抽出を行うほど、嫌な味もいっしょに出やすくなるため、成分の抽出を遅くする粗挽きにすれば、好ましくない味を抑えられます。
抽出時間もいつもより少し短くして、さっぱりめの味に仕上げるとより効果的。もし味が薄いなと感じたら、挽き目はそのままでコーヒー豆の量を増やして調節してみましょう。
基本の先にある、マニアックな要素は?
最後に、もう一歩だけ踏み込んで挽き目に関するマニアックな要素をいくつかご紹介します。
挽き目が揃う
「挽き目が揃う」というのは、粉に挽いたコーヒーの粒度が均一かどうか、という意味です。
挽いたコーヒーの粉がザラメ大から小麦粉のようなパウダー状のものまで混在していたら、それぞれの抽出速度がまったく違うため、味が不安定になりがちです。
挽き目が揃うかどうかは使用するコーヒーミルの性能によって決まるものなので、脱・初心者を目指すなら、まずはコーヒーミルにこだわってみるといいでしょう。
微粉
「微粉」というのは、コーヒー豆を挽いた時にできる非常に細かい粉のことです。コーヒーミルの刃の切れ味が落ちたり、こぼれていたりすると発生しやすくなります。
微粉はコーヒーの味を濁らせる雑味やエグ味の原因です。気になる方は、挽いた粉を一度茶こしでふるいにかけ、微粉を除去してから淹れてみてください。すっきりとしたクリーンな味に変わるはずですよ。
摩擦熱
コーヒー豆を挽く際、コーヒーミルの刃とコーヒー豆が高速で擦れ合うため、ミルの内部に摩擦熱が発生します。
コーヒー豆は熱によって味が変化する性質があるため、この摩擦熱による風味の劣化を気にする人も少なからずいるようです。
実際、200グラム程度のコーヒー豆を一気に極細挽きにすると、挽いた粉がほんのり温かいことがあります。細かく挽くには時間がかかるので、それだけ摩擦熱が生じていると考えられます。
この摩擦熱をできるだけ防ぐ方法として、「セラミック刃のコーヒーミルを使う」「できるだけ低速で挽く」「短時間で挽く」といったことが考えられます。
これらの摩擦熱対策がされているコーヒーミルも売られていますので、気になる方は検討してみるといいかもしれません。
というわけで、今回は「コーヒー豆の挽き目」に注目して解説してみました。
挽き目を少し変えるだけでもコーヒーの味わいはガラッと変わってきます。まずはお手持ちの器具にあった挽き目で淹れてみてください。
ご自宅にコーヒーミルがないという方は、これを機会に購入することを検討されてはいかがでしょうか? きっとコーヒーの世界が大きく広がりますよ!
それでは、2019年も素敵なコーヒーライフを!