淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    皆さんはご自宅用にコーヒー豆を買われるときは豆のままですか? それともお店で粉に挽いてもらっていますか?

     

    豆のままで購入し、淹れる前に自分で粉に挽いているという方は、ぜひ一度「ハンドピック」に挑戦してみてください。

     

    「ハンドピック」とは、コーヒーの味を悪くしてしまう豆(欠点豆)が混じっていないかを目で見て確認し、取り除いていく作業です。手作業で一粒ずつ拾っていくため「ハンドピック」と呼ばれます。

     

    とっても地味で根気のいる作業ですが、コーヒーをよりおいしく仕上げるためには欠かせない一手間で、自家焙煎を行っているお店では、これを毎日のようにやっています。

     

    今回は、コーヒーの品質をぐんと向上させる大切な工程、「ハンドピック」についてご紹介していきます。

    欠点豆ってそんなに入ってるの?

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    コーヒーの味を悪くする原因のひとつである「欠点豆」。

     

    これにはいくつか種類があって、渋みや雑味を出してしまうもの、香りを損なうものなどがあります。

     

    こうした「欠点豆」がどの程度含まれているかは、豆自体のグレード(等級)に比例しています。

     

    私の店で扱っている「スペシャルティコーヒー」というグレードは、もっとも高品質なカテゴリで、日本スペシャルティコーヒー協会では欠点豆について下記のように定めています。

     

    ・欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること

    ・欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること

     

    欠点豆の混入率など具体的な数字は割愛しますが、スペシャルティコーヒーは生豆の段階ですでに欠点豆が「ほとんどない」のが普通です。

     

    実際チェックしてみると多少は見つかりますが、それでも他のグレードに比べると欠点豆は格段に少なく、生産国側で入念にハンドピックされていることがわかります。

     

    一方、焙煎豆については「混入が見られない」と規定されています。

     

    焙煎前のハンドピックで欠点豆をしっかり取り除いていれば、焙煎後に欠点豆が見つかることはないはずですが、生豆の状態では見つけづらい欠点豆も存在するのです。

     

    そのため私の店では、焙煎前と焙煎後の2回ハンドピックを行うようにしています。単純に手間は2倍になりますが、本当においしいコーヒーを自信を持ってご提供するには欠かせない工程なのです。

     

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    焙煎前に見つけやすい欠点豆

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    では、具体的に欠点豆とはどんな状態の豆を指すのでしょうか。

     

    以下の写真は生豆の状態で見つけやすい欠点豆です。

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    これはいずれも味を落としてしまう欠点豆ですので、見つけたら確実に取り除いておきます。

     

    黒い点が見られる欠点豆は「虫食い豆」。コーヒーの果実が虫に食べられた跡で小さな空いています。その虫食い穴や果肉が欠けた断面などにカビが生えたものが「カビ豆」です。

     

    豆の一部が黒ずんで見えるのは「発酵豆」。精製する過程で水に浸けて発酵させるのですが、この段階での管理が悪いとこのような状態になります。

     

    さらに発酵が進み、豆全体が真っ黒になったものが「黒豆」です。カップ1杯分のコーヒー豆にこの「黒豆」がわずか一粒でも混じっていると、味も香りもひどいものになってしまうため、絶対に取り除かなくてはなりません。

     

    この他にも「欠け豆」、「生育不良豆」、「貝殻豆」などがあり、これらは正常なコーヒー豆とは形が異なります。当然、焙煎時の火の入り方も違い、煎りムラが起こりやすいので、見つけたら取り除くようにしています。

     

    考え方としては、普通ではない形や色のコーヒー豆は「欠点豆」と見なして取り除くのがいいでしょう。

     

    また、以下の写真のように、明らかにコーヒー豆ではない異物が混じっていることもあります。

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    滅多に見かけることはありませんが、ごくまれに混入していることがあるので油断は禁物です。

     

    異物の中でもっともよく見かけるのが「石」です。生産国のチェックを通過して来ただけあって、周りのコーヒー豆と似たような大きさと形をしています。

     

    その他にもコーンの粒や何かの部品のようなものまで、いろいろなものがコーヒー豆に混じっていることがあります。確率的には年に一度、あるかないかという程度ですが、目立つので見落としてしまうことはまずありません。

    精製方法による例外もある

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    生豆のハンドピックをしていると、ごくまれに「先割れ豆」と呼ばれる非常に珍しい豆を発見することがあります。

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    これも基本的には欠点豆と考えて良いのですが、インドネシアの「スマトラ式」という精製方法のコーヒーだけは、欠点豆と見なさないそうです。

     

    コーヒー豆の精製は一般的には完全に乾燥させてから「パーチメント」という薄皮を剥きます。乾燥させることで剥がしやすくなるためです。

     

    しかし、スマトラ式ではコーヒー豆が半乾きの状態で、無理矢理パーチメントを剥がしてしまうため、パーチメントが上手に剥がれず、先割れを起こしてしまうことがあります。

     

    当店でも、スマトラ式のコーヒーは先割れがあっても取り除かずに焙煎するのですが、焙煎後は普通のコーヒー豆の形にちゃんとなっているのは面白いところです。味にもとくに問題は出ません。

     

    関連記事:【パーチメント】珈琲雑学・コーヒー豆を守る大切な殻

    焙煎後に見つけやすい欠点豆

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    生豆のハンドピックでは欠点豆の種類がいろいろありましたが、焙煎語の豆のチェックは至ってシンプル。他より色が薄い豆を探して取り除いていきます。

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    当店ではこれらを「未熟豆」と呼んでいますが、この「未熟豆」には厳密には2パターン存在します。

     

    ・摘み取った時に完熟でなかった豆

    ・摘み取った後に何らかの理由で死んでしまった豆

     

    いずれも焙煎後は正常な豆と比べて色が薄くなりますので、見た目に判別がしやすいでしょう。反対に生豆の状態では通常の豆より若干白っぽく見える程度なので、焙煎後にハンドピックするほうが効率的です。

     

    他にも焙煎後には以下のような欠点豆が見られます。

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    焙煎中に何らかの原因で割れたり欠けたりした豆や、爆ぜた際の衝撃で豆の一部が円形に剥がれてしまった豆などです。

     

    これらの豆は味に与える影響はほとんど無いと思われますので、あまり神経質になって取り除かなくても大丈夫です。

    ご自宅でもぜひハンドピックを!

    淹れる前の一手間でコーヒーが格段においしくなる裏技“ハンドピック”とは?

    欠点豆を取り除くハンドピックは、ご自宅でもできます。

     

    先述のとおりスペシャルティコーヒーにはほとんど含まれていませんが、お手頃な価格帯のコーヒー豆はハンドピックで欠点豆を取り除くことで、コーヒーの味や香りを1ランクアップさせることも可能です。

     

    コーヒー豆を粉に挽く前にお盆やお皿の上に広げてみて、やけに色の薄い豆や形のいびつな豆が混じっていないか探してみてください。豆のグレードによっては意外とたくさん見つけられるかも!?

     

    いつものコーヒーをよりおいしく楽しむための一手間として、楽しく「観察」してみてはいかがでしょうか?

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