コーヒーのプロ、焙煎士にはどうやったらなれる? 必要な資格やスキルすべて教えます!

近年のカフェブームで、カフェで働くスタッフやコーヒーに携わる仕事に憧れる若い人が増えていると言います。

 

そうした仕事の中でも、もっとも深く、そして長い時間コーヒーと接することになる職業のひとつが「コーヒー焙煎士」です。

 

一般には「コーヒーのプロフェッショナル」「職人」といったイメージで見られることも多い焙煎士ですが、一体どうしたらなれるのか。これから目指したいという人は何から始めるべきか。興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そこで今回は、コーヒー焙煎士である私なりの視点で、この焙煎士という職業について書いていきたいと思います。

 

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焙煎士になるためには

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コーヒー焙煎士という仕事に就くために必要なことは何だと思いますか?

 

じつはコーヒー焙煎士という仕事には、資格や免許はありません。しいて条件を挙げるとすれば、「コーヒー豆を焙煎できること」、それくらいでしょうか?

 

自分でお店を経営しているかどうかも関係ありません。自家焙煎店のスタッフとして働き、実際に焙煎に携わっている方なら、コーヒー焙煎士を名乗ってもまったく問題ないと思います。

 

では、コーヒー焙煎士として自家焙煎店を開業するには、どんな条件が必要になるでしょうか?

 

この場合もとくに資格は必要ないですが、以下に挙げる条件をクリアしなければなりません。

 

・店で販売できるのはコーヒー豆や関連器具のみ

・ドリンクとしてコーヒーなど飲食物の販売はしない

 

ちょっと分かりにくいのですが、ポイントとなるのは「コーヒーを含めたあらゆる食べ物、飲み物を有料で提供(販売)するかどうか」です。コーヒー豆なら問題ありません。

 

ドリンクなどを有料で提供する場合には、管轄の保健所に申請して「喫茶営業」や「飲食店営業」といった営業許可を取得する必要があります。

 

この営業許可を得るには保健所が指定する施設基準をすべて満たし、さらに「食品衛生責任者」の資格を持つ人も必要です。

 

あくまで販売するのはコーヒー豆と器具のみで、コーヒーは無料試飲だけという形でしたら、資格や許可は必要ありません。

焙煎士になるための勉強はどうするか

コーヒーのプロ、焙煎士にはどうやったらなれる? 必要な資格やスキルすべて教えます!

すでにコーヒー焙煎士として働いている人は、どこでどうやって勉強したのか。これから焙煎士を目指す人にとってはとても興味を惹かれるところだと思います。

 

きっかけや出自は人それぞれだと思いますので、業界でよく耳にする話をいくつかご紹介します。

 Q1.どこで修業するのか?

自家焙煎店で働きながら修行した方、独学で習得した方、セミナーや焙煎機メーカーの講習会で学んだ方など、いろいろだと思います。私に関して言うと、どこかのお店で修行したことはなく、ほぼ独学で学びました。

 

私が開業した当時は今ほど自家焙煎店も多くなく、スタッフとして働きながら焙煎士を目指すという人は稀で、そうした受け入れを積極的に行っている店もあまりなかったように思います。

 

今は当時に比べて自家焙煎をしている店も多く、若手の育成に力を入れている焙煎士さんも増えていますので、働きながら焙煎を学ぶチャンスも多いと思います。 

Q2.どうやって勉強するのか?

 「焙煎士になるには何をどう勉強したらいいのか」という話もよく聞かれますが、個人的にはできるだけ長くコーヒーの勉強に時間を割く、これしかないと思います。

 

焙煎士になりたいからといって、焙煎の工程やノウハウに詳しいだけでは十分とは言えません。コーヒーに関して広く、深く知識を身につけることが必要になります。

 

これから始めるという方は、まずはセミナーや専門学校に通ってみて、コーヒーの基本から学ぶのがいいでしょう。

 

そのうえで必要な知識や経験を積み重ね、自分なりの価値観を築いていくことがコーヒーの勉強には何より大切だと思います。

 

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職業としての焙煎士

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最後にコーヒー焙煎士という仕事について、良いところと悪いところを思い切ってまとめてみようと思います。 

【焙煎士という仕事の良いところ】

最大のメリットは、毎日コーヒーに触れていられることです。コーヒー好きには堪らないですよね。

 

とくに自家焙煎店の場合は、原料である生豆選びから焙煎、抽出とすべての工程に関わることになるため、より深くコーヒーに触れることができます。

 

自分にとっての「理想のコーヒー」を表現できるのがコーヒー焙煎士なのです。その理想の一杯を飲んだお客様から「おいしかった」と言ってもらえたら、もはやこれ以上の喜びはありません。 

 

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【焙煎士という仕事の悪いところ】

悪いところというと少々角が立ちますが、あえて挙げるとすれば、仕事内容が地味だということです。

 

日々の業務の大半はハンドピックと焙煎の繰り返しになります。

 

ハンドピックはコーヒーの味をより良くするために欠かせない工程ですが、目視しながら手作業で行うため、とても時間がかかります。私の店ではこれを焙煎の前と後にそれぞれ行うので、焙煎量の多い日は1日中ハンドピックしているような感覚になります(笑)。

 

それでも質の良いコーヒーを提供するためには必要な工程なので、飽きず、妥協せずにがんばるメンタルが必要です。

 

もうひとつ、誰もが気になる「儲かるのか」という点については、かなり難しいとお答えしておきます。

 

これは自家焙煎店に限ったことではなく、昨今の飲食業全般に言えることですが、儲けようと思うととても大変です。

 

コーヒー豆だけを販売する自家焙煎店となると、ハードルはさらに高くなると思われます。

 

というのも、コーヒー豆を購入するお客様は、ご自宅でコーヒーを淹れる人に限られます。これだけで購買層はかなり限定されてしまうのですが、さらに購入頻度が早くても12週間に一度と少ないため、毎日コンスタントに数を売るのは容易なことではありません。相当な工夫や努力も必要になるでしょう。

 

そうした営業努力に時間を取られ、コーヒーに触れる時間が減ってしまったという本末転倒な話もよく耳にします。

 

このように良い面も悪い面も併せ持つコーヒー焙煎士ですが、ひとつ確かなことは「コーヒーが好きでなければできない」ということです。

 

コーヒー焙煎士の資質として決して欠くことのできないものは、やはり「尽きることのないコーヒー愛」ではないでしょうか?

 

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