植物にとっての「種」とは、種族を繋ぐ大事な子孫です。私たちの普段口にしているコーヒーは、「コーヒーノキ」という植物の種を煎って、お湯に溶かしたもの。元々は「コーヒーチェリー」と呼ばれるコーヒーの実の中心にある種で、その外側には種を守るためのいくつかの層が存在します。

 

別の記事で、ミューシレージという層についての説明をしましたが、今回は「パーチメント」という層について、コーヒーの加工方法や味わいとの関係をご紹介します。

 

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コーヒー豆の「パーチメント」とは?

前述のようにコーヒー豆は、コーヒーの実の「種」の部分です。

パーチメントとは、この種の外側に付いている殻のこと。果実とミューシレージの内側で種を守っている「内果皮」と言う部分にあたります。

 

コーヒー豆には加工方法にいくつかの種類がありますが、どの加工方法でもこのミューシレージは取り除く必要があります。この、ミューシレージを除去する方法やタイミングによってコーヒーの味わいに違いが生まれるのです。

 

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パーチメントのコーヒーにとって大切な役割とは?

通常、コーヒー豆は農場や加工場から出荷されるタイミングで脱穀され、パーチメントは剥がされた状態で輸送されます。これは、パーチメントに囲われたままの方が豆の保存性が高いため。パーチメントに守られた状態の豆はパーチメントコーヒーと呼びますが、ごく一部の豆は豆の劣化を防ぐためにパーチメントコーヒーのまま輸入されることがあるそうです。もちろん、焙煎するにはパーチメントの除去が必要なので、自前で脱穀作業をする必要があります。

 

パーチメントは、実は大事な役割を持っています。それは「動物に消化されないようにする」というもの。鳥などがコーヒーの実を食べ、他の場所へと運搬してもらうことで種を拡大するという、生物としての本能にも関わる大切なパーツなのです。

 

余談ですが、コピ・ルアク(ジャコウネコ・コーヒーとも)というコーヒーはご存知でしょうか?

これはジャコウネコという動物がコーヒーの実を食べ、排泄されたコーヒー豆を集めることで有名な珍品。実は糞として出てきたコーヒー豆は、パーチメントによって守れられているために消化されずに済んでいるのです。

 

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パーチメント・コーヒーのこれから

アメリカや北欧、アジア諸国など、スペシャルティコーヒーのニーズが高まる近年、コーヒーの品質向上に対する関心も高くなっています。トレーサビリティの担保や農園のデータ管理、空調付きコンテナ……。

 

これを考えると、コーヒーの品質を守っている(とされている)パーチメントコーヒーは、今後スペシャルティコーヒーにおける常識になってくるのかもしれません。小規模ロースターに「最新の脱穀機が次々導入される!?」なんてこともありえるかも。

もちろん、これはパーチメントによってどれほど風味が変化するのかの研究が進んでからになるでしょう。今後の動向に目が離せません。

 

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