「名水で淹れたコーヒー」
旅行先で飲まれたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
風光明媚な観光地に訪れた際や登山(ハイキング)の途中に立ち寄った茶屋で、ふと目に入る「名水コーヒーあります」の文字。
占い師でもある筆者は吉方位への旅行も好きで、というよりも、出かける口実にしているだけなのですが、神社めぐりによく出かけます。参道沿いに並ぶ食事処やみやげ店のメニューに「名水で淹れたコーヒー」という文字を見ると妙にありがたい気持ちになりますよね。
また、神社に参拝した際に「ご神水」と呼ばれる湧水や井戸を見かけます。万病を癒やす、長寿の水などの伝説があり、ペットボトルに汲んで持ち帰る方もいます。
名水やご神水を使った名物はコーヒーやお茶だけではありません。甘酒や蕎麦、おかゆなどのバリエーションもあり、「運気アップ・開運」を期待して、ついつい引き寄せられてしまうのです。
「せっかくだし、名水で淹れたコーヒーをいただきましょうよ」
「ご神水で作ったお蕎麦もあるわよ」
「じゃあ、私は名水甘酒も注文しちゃう」
「やだぁ、どれだけ開運するつもり~」
このような会話を、食事処の縁台で聞くのも吉方位旅行らしくて楽しいものです。
名水百選とは?飲用はできるの?
名水百選という言葉をご存じの方も多いでしょう。自然豊かな土地に湧く清水、そんなイメージを抱きますが、実際のところどのような基準で名水百選は選ばれ決められたのでしょうか?
環境省のホームページより一部引用します。
環境省(当時環境庁)では、全国に多くの形態で存在する清澄な水について、(筆者による中略)併せて優良な水環境を積極的に保護すること等今後の水質保全行政の進展に資することを目的に昭和60年3月、全国各地100ヵ所の湧水や河川を「名水百選」として選定しました。
(筆者による改行)
また、平成20年には、水環境保全の一層の推進を図ることを目的に、(筆者による中略)「平成の名水百選」として選定し、併せて200選となりました。
なお、「名水百選」も「平成の名水百選」も飲用に適することを保証するものではありませんので、飲用に供される場合は、所在の自治体にご確認下さい。
引用元サイト:環境省ホームページ環境省_名水百選ポータル
昔から有名な清水、湧水、河川の存在をみんなに認知してもらい、みんなで保護保全に取り組みましょう、という趣旨なのですね。
少し驚いたのが、「飲用に適することを保証したものではない」ということ。確かに、水道水のように消毒・滅菌されていませんし、天然の水には鉱物から溶け出した成分が入ることもあるでしょう。
清浄な水に対する信仰心
清浄な水は信仰心に直結します。神社に清水が湧いている(ご神水がある)というよりは、清水が湧いているところに神様が祀られた、という歴史があったと思うほうが自然でしょう。
飲み水に困らないということがどれだけ重要なことかは考えるまでもありません。衛生管理においても、農作物の育成、調理、土器作り、働く馬や牛の維持などなど、ありとあらゆることに欠かせない必要不可欠なもの、それが水です。
神様のカミという言葉の語源には諸説ありますが、火(カ)と水(ミ)が由来であるという説は有名です。
清らかで豊かな水と神様が出会うと、占い師の筆者としては「酒造り」を連想します。酒造りには良い水が必須となりますので、酒の産地は水の名所というわけです。
兵庫・京都・新潟は全国的にも誉れ高い酒造りの地。それぞれ、兵庫は宮水(みやみず)・布引渓流(ぬのびきけいりゅう)、京都は伏見の御香水(ふしみのごこうすい)、新潟は龍ヶ窪の水(りゅうがくぼのみず)・杜々の森湧水(とどのもりゆうすい)などが名水百選の地に選ばれています。
日本各地に湧くありがたい水は、日本酒や地ビール、お茶やコーヒー、蕎麦やおかゆになり、その土地ならではの味わいと魅力を見せてくれるのです。
名水・ご神水で淹れたコーヒーを飲もう
名水コーヒーが飲めるところは、やはり名水二百選(昭和と平成に100選ずつ選定されたので200カ所あります)に選ばれている場所を目安にすると解りやすいですね。
「名水」は観光資源として活用されている場所もあるので、観光名所に行くと名水で淹れたコーヒーや料理を提供する飲食店、みやげ店を見かけることができます。
また、「ご神水 神社」「お水取り 神社 お寺」などのキーワードでも探しやすく、旅行や観光、参拝で訪れた先で地元の方に教えていただくのも楽しいものです。
旅先で飲む一杯のコーヒーに「なんだか御利益ありそう!」とわくわくできるのも、その土地でしか味わえないコーヒーをいただくのも、旅の醍醐味であり、素敵な思い出。
飲用可能なご神水はコップが備え付けてあったり、ペットボトルに詰められるようになっていたりします。ペットボトルを持参できなかった参拝者のために、社務所にペットボトルに入ったご神水が並んでいることも。
筆者はこういう時は必ず水を持ち帰って、自宅でコーヒーを淹れます。
いつものコーヒータイムが、「いつもより美味しい……かもしれない」「今なら競馬が当たる……かもしれない」という少し楽しいコーヒータイムになります。
名水やご神水を飲用する際の注意
「ある神社の境内から湧き水が出ていて、それが地域の方にとても人気である」との情報を得た運気アップ活動に余念のない筆者は車を走らせました。
すでに何度も参拝している神社なのに、湧水(ご神水)については全く知らなかったのです。
本殿から少し離れた場所にあるご神水の汲み場に、ポリタンクを運んでいる夫婦がいました。
ちなみに筆者はお腹があまり強くないので、水場が現代的に整備されていない場合は飲用にはかなり慎重な姿勢です。
この時は、そこそこ野趣溢れる水場でしたので手を洗うだけに留め、その冷たさを楽しんでいました。
筆者が一人だったためでしょうか、通りかかった神社の関係者の方に話しかけられました。神社の歴史を教えていただき、当然、目の前で飛沫をあげて流れ出る湧水に話しは及びました。
「さきほどもポリタンクに汲んでいく方を見かけました。人気なんですねぇ」
「そうですねぇ。ありがたいお水ではありますが、水道水のように消毒や滅菌はされていません。湧かしてから飲む方が多いようですよ。それに、雨が降ったあとは雨水混入の可能性があるので避けた方がいいかもしれませんねぇ」
そうなんです。
知名度のある名水も、ありがたいご神水も、一見は美しい湧水も、飲水として適切かどうかはまったく別次元の話しになりますので注意が必要です。
また、「飲水に適しているかどうか」ということは最も重要ですが、他にも気をつけなければならないことがあります。
名水もご神水も、ポリタンクをいくつも持ってきて水場を独占したり、水の栓をきちっと閉めずに流しっぱなしにしたりすることはいただけませんね。
「御利益があるかもしれないから」と、人に無理強いするのも占い師としてまったくおすすめできません。
名水・ご神水を飲んだだけで開運するのでしょうか
吉方位旅行では、「地場産の食べ物をいただくことでその土地のエネルギーを取り込みましょう」などと言われますね。旅先で名水やご神水で淹れたコーヒーを飲んだとして、はたしてそれが開運につながるのでしょうか。
例えば、こんな経験はありませんか。
登山や原生林ウォークなどで自然のなかを歩いているうちに、自分が想像していた以上に感動してしまった……そんな経験です。
そういった感動は、そのまま、自然に対する感謝の気持ちになりますよね。
ありきたりですが、感謝の気持ちは開運になくてはならない必須条件と言えます。水資源に感謝するコーヒータイムというのもたまにはいいものです。
あなたのご自宅からそう遠くないところにも意外にあるかもしれませんよ、名水やご神水が。
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