イギリスといえば紅茶の本場ですね。それも事実ですが、最近では世界でもホットなコーヒーマーケットとして脚光を浴びています。
国民ひとり当たりの平均コーヒー摂取量は1日2杯と、統計上の消費量はヨーロッパで最下位ですが、2012年前後からイギリスのコーヒーシーンは目覚ましい進歩を遂げています。
変革のトリガーを引いたコーヒーブランドのひとつが、キャラバン・コーヒー・ロースターズ(Caravan Coffee Roasters)です。今日ではロンドンの外食産業で大成功を収めたベンチャーとしても有名です。
目次
スペシャルティコーヒーを身近にした3人のニュージーランド人
当時でも、ロンドンではすでにスペシャルティコーヒーが流通していました。ですが、玄人向きの印象が強くて一般的ではなく、コーヒーの品質の点でも改善の余地ありという状態だったようです。
もっと気軽に美味しいスペシャルティコーヒーを体験してもらうことを目指して、キャラバン・コーヒー・ロースターズは始動します。南米やアフリカの生産者との直接取引で生豆を仕入れ、最高のコーヒーを提供できるよう焙煎の仕方をじっくりと検討します。
こだわりのコーヒーと並んで、ホスピタリティも最も大切なポリシーのひとつ。親しみやすい接客を第一とし、顧客に生産者やコーヒーの品質について分かりやすく紹介することで、スペシャルティコーヒーの人気を確実に高めて行きました。
今日のイギリスでは、高品質なスペシャルティコーヒーが数多く存在しますが、その素地を作ったブランドのひとつがキャラバン・コーヒー・ロースターズでした。
成功へのカギはコーヒー&フードサービス&ホスピタリティ
2012年にレストラン第一号店をロンドンのキングス・クロスに出店します。レストランやバーを併設することで、世界各地のレシピを取り入れたメニューを提供し、コーヒーを越えた幅広い食の楽しみをプロデュースする試みでした。しかもメニューは終日提供――これは当時のイギリスの外食産業では非常に画期的なことでした。
朝は自社で焼き上げたパンやモーニング、昼頃からは食事やデザートのメニューもあり、ユニークなドリンクメニューを取り揃え、しかも最高のコーヒーまで楽しめるキャラバン・レストランは大ヒット。2018年にはロンドンに5店舗まで増え、どれもが人気のダイニングとして成功しています。
成功してもぶれない原点、高品質のコーヒーとホスピタリティ
原点にあるのは質の高いコーヒーとホスピタリティ。現在では、焙煎される生豆の量は毎週4トンに及んでいますが、その95%は直接取引によるものです。生産者の顔の見えるコーヒーへのこだわりが表れていますね。年に4回は生産者を訪問して、環境にも社会にもやさしい生豆の栽培と、フェアな取引で良好な関係を育んでいます。
特定の生産者から仕入れた生豆を、シングルオリジンコーヒーやシーズン別のエスプレッソブレンドとして発売するなど、商品開発にも力を入れています。また、自社や卸し先スタッフへのトレーニングや、顧客へのワークショップにも積極的です。キャラバン・コーヒー・ロースターズの品質の高さは、ヨーロッパ最優秀ロースター賞はじめ受賞歴が物語っています。
国際展開も視野に、ただし……!
大成功を収めながらも、自らの原点にあるものを大切にし続けるキャラバン・コーヒー・ロースターズには、今後も高いクオリティを保証してくれる安心感があります。コーヒー業界に限らず、すべてのビジネスに共通する成功のカギを知っているからこそなのでしょう。
Caravan Coffee Roasters (Roastery HQ)
住所:Granary Building, 1 Granary Square (Off Goods Way)
London N1C 4AA, U.K.
電話番号:+44 20 7101 7663
https://www.caravancoffeeroasters.co.uk/(ロースターサイト)
https://www.caravanrestaurants.co.uk/(レストランサイト)