「コーヒー派? それとも紅茶派? 」と尋ねられたら、返答に困る人もいらっしゃるでしょう。もしも、どちらも同じくらい好きだというのなら、マレーシアのチャムを試してみてはいかがでしょうか?
チャムは、コーヒー派も紅茶派も満足させることができる飲み物です。本記事では、マレーシアの喫茶店の定番メニューであるチャムのおいしさの秘密に迫ります。
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目次
コーヒーと紅茶のハイブリッド「チャム」
海外には、日本では見かけることのないユニークな飲み物がたくさん存在します。マレーシアで広く飲まれているチャムもそのひとつです。濃厚なのにすっきりした後味が魅力のチャムをご紹介します。
ホットでもアイスでもおいしい
チャムとは、福建語で「混ぜ合わせる」という意味で、コーヒーと紅茶を混ぜ合わせた飲み物です。コーヒーと紅茶はそれぞれに味わいが異なりますから、両方を混ぜた味など少し想像しにくかもしれません。
見た目はカフェオレのようなチャムですが、味は濃いミルクティーに近いといえるでしょう。コーヒーと紅茶に加えて、練乳と砂糖を入れるのがマレーシア流。歯が痛くなりそうなほど甘いチャムは、細かく砕いた氷を入れてアイスで飲むほか、寒い日には大きめのマグカップでホットで飲むと体を内側から温めることができます。
チャムはエナジードリンクとしても優秀?
マレーシアの人たちにどんなときにチャムを飲むのか尋ねてみたところ、「朝食の代わりに飲む」という声や、「疲れているときに飲む」という声がありました。チャムは嗜好品として愛されているだけではなく、どうやらエナジードリンクとしても優秀な飲み物のようです。
コーヒーと紅茶を混ぜたチャムには、エナジードリンクに配合されている成分であるカフェインをはじめ、アミノ酸の一種であるアルギニンや水溶性ビタミンのナイアシンなどが含まれています。また、チャムを飲むことで、エネルギー補給と疲労回復を速やかに行うために必要な糖分をしっかり摂ることができます。
忙しくて時間のない朝に効率よくエネルギー補給できるチャムは、エネルギッシュなマレーシアの人たちの生活に欠かせない飲み物だといえるでしょう
チャムの起源は香港にあり
マレーシアで親しまれているチャムですが、その発祥地は香港だといわれています。
夫婦愛の象徴「オシドリ」の名を冠した飲み物
香港では広東語で「ユンヨン」、もしくは「ユアンヤン」と呼ばれているチャム。ユンヨンとはオシドリを意味しており、まるで仲良しのオシドリのように、コーヒーと紅茶のハーモニーが素晴らしいことに由来しています。
多民族国家・マレーシアはマレー系をはじめ、中華系やインド系の人々も多く暮らしています。マレーシアに住む中華系の人の数は、世界で3番目に多いのだとか。明王朝や清王朝、中華民国初期にかけ、広東省や広西省、海南省などから多くの人々がマレーシアに移住しました。チャムは、マレーシアに移民してきたそれら華人たちによって伝えられたと考えられています。
おいしいチャムの作り方
チャムとひと口にいっても、喫茶店や屋台によってその味はさまざま。ここでは、店ごとに味が違う理由とおいしいチャムの作り方をご紹介します。
比率で味わいが異なるのが魅力
実はマレーシアでは、店ごとにチャムの味が異なります。そのため、「違う店で飲んだときはあっさりした味だったのに、この店のチャムはコクとほろ苦さが際立っている」なんてことが起こり得ます。
チャムを作るときには、コーヒーと紅茶の比率が「7:3」、「5:5」、「3:7」の中から好みの比率を選んで作ります。コーヒーが紅茶よりも多い場合にはほろ苦さが際立つ味に、一方、コーヒーが紅茶よりも少ない場合と同じ量の場合には、濃厚ながらもあっさりとした味に仕上がります。
中には、レモンや香辛料を加えたり、タピオカを加えたりといったアレンジを施す店もあり、チャムは店の個性を表す飲み物となっています。
ロブスタ種のコーヒーを使うのがポイント
今回は、コーヒーと紅茶の比率が同じ「5:5」で作るチャムをご紹介します。練乳を大さじ2杯カップに入れた後、ドリップしたコーヒーを100㏄注ぎます。スプーンでよくかき混ぜた後、別に淹れておいた紅茶を100㏄加えます。砂糖で好みの甘さに調整すれば完成です。
マレーシアのチャムの味に少しでも近づけたいのであれば、ロブスタ種のコーヒーを使用するのがポイントです。練乳と砂糖を入れるのがマレーシア流ですが、甘すぎると感じるのであれば、練乳をエバミルクに替えてから砂糖を少し加えると良いでしょう。エバミルクに替えることで、さらにコクのある飲み物になりますよ。
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大好きな人と一緒に飲もう
寒い日にはホットで、暑い日にはアイスで楽しむことができるチャム。「コーヒーと紅茶を一緒に飲むなんて」と抵抗がある人でも、チャムを飲めば、コーヒーと紅茶のハイブリッドの素晴らしい味わいの虜になってしまうかも。濃厚なコクと幸せな甘さを届けてくれるチャム、大好きな人と一緒に飲めば一層おいしく感じられるのではないでしょうか。