本当においしいコーヒーは、ただそれ一杯で心を満たしてくれますが、相性のよいスイーツとペアリングすることで、人々を笑顔にし、より豊かで楽しい時間を演出してくれます。
「GESHARY COFFEE」が提供しているスイーツもまさにそれ!
ゲイシャコーヒーとの相性を第一に考え、毎日お店で手作りされるスイーツの数々は、くつろぎのひとときを華やかに彩る最良のパートナーなのです。今回は、その「GESHARY COFFEE」ですべてのスイーツを一手に担うパティシエ・板垣雄己さんにお話しを伺いました。
板垣雄己 Yuki Itagaki GESHARY COFFEEパティシエ 専門学校を卒業後、東京・新宿にあるスパニッシュの名店「小笠原伯爵邸」でシェフパティシエとして研鑽を重ねる。その後、世界最高峰の5ツ星ホテル「マンダリン オリエンタル 東京」にて、ペイストリーのスーシェフに。天才肌の若手パティシエとしてチームをまとめ、その才能をいかんなく発揮する。現在はGESHARY COFFEE店舗開発部でお店で提供される各種スイーツの製造・開発を担当している。 |
超一流ホテルからGESHARY COFFEEへ
――板垣さんがパティシエになられたきっかけを教えてください。
私の父は設計の仕事をしていまして、私も一時は設計士に憧れていました。父の仕事を見て育ったせいか、子供の頃から何かを作るということにすごい関心があって、実際やってみたら本当に楽しくて、気づいたら「作る」ことが大好きになっていたんです。
ですが、設計士が作る「家」って、多くの人にとって一生に一度、とても大きな買い物じゃないですか。
でも、それがたとえば「ケーキ」なら、何かの記念日やちょっとした午後のオヤツとかにも、それほど構えることなく買うことができますよね。食べておいしければ、きっとそこには笑顔も生まれる。少し大袈裟な言い方かもしれませんが、ケーキっていろいろな人の人生に寄り添うものなのかな、と気づいた時に、パティシエになりたいと強く思ったんです。
あと、作る側の楽しみという点では、ケーキは家よりもたくさん作ることができますしね(笑)。
――以前は5ツ星の「マンダリン オリエンタル 東京」でお勤めだったと伺いました。
ペイストリーのスーシェフ(副料理長)として4年ほど働かせていただきました。たくさんのスタッフといっしょに仕事をする中で、とても多くのことを経験し、学ぶことができたのは今でも本当に感謝しています。
――そこから「GESHARY COFFEE」へ?
そうですね。
ちょうど私の中で、「そろそろ次のステージを目指してみようかな」という思いが芽生え始めていた頃に、「GESHARY COFFEE」の噂を耳にしたんです。
日本では唯一ゲイシャ種のスペシャルティコーヒーだけを厳選した専門店で、しかも商品開発できるパティシエを探しているという話を聞きまして、「この仕事は絶対にやりたい!」と思って、自分から求人に応募しました。
――ご自身で応募されたんですね、逆にお店からスカウトされたのかと思っていました。
いえいえ、自分から立候補したんですよ。
元々コーヒーは好きでしたし、日本初のゲイシャコーヒー専門店でパティシエができるなんて、本当にこれ以上のチャンスはない! という思いで飛びつきました(笑)。
――実際にお仕事をされてみて、これまでの職場と違いはありますか?
ホテルやレストランの場合、ドリンクの種類が豊富な分、お客様が何を飲まれるか想像しにくいので、ドリンクとのペアリング(=相性)を考えてスイーツを作るというのは難しいんです。
その点、「GESHARY COFFEE」はゲイシャコーヒーに特化していますので、作る側としても焦点がブレることはない。自分が考えたゲイシャとの最良の組み合わせ、シチュエーションで提供できるというところが一番の違いですね。
やはり私自身がコーヒー好きということもあるかもしれませんが、想定されたシチュエーションで、最高の状態のコーヒーとスイーツをいっしょに味わうことができるというのはとても魅力的ですし、何よりパティシエ冥利にも尽きますね。
世界一のゲイシャに負けないスイーツを
――「GESHARY COFFEE」に来て、最初に取り組まれたのが、定番メニューの開発だったと伺いました。
はい。私がジョインした頃は本当に一からお店を作るという段階だったので、まずはスタッフみんなでカフェ巡りをして、カフェの定番アイテムは何か、今は何が人気なのか、といった調査をするところからスタートしました。
その時点ですでに決まっていたメニューもありましたが、その商品化に向けたアイデア出しやブラッシュアップには参加させてもらったので、今あるすべての商品に関わることができています。そうして試作と改良を重ねていった結果、うちの定番メニューとしてアップルパイ、ガトーショコラ、チーズケーキの3品が決まったんです。
コーヒーに関しては、うちのゲイシャは世界一だという自信があったので、「じゃあ、スイーツもそれに負けない最高のものを作ろう」という気持ちで取り組みました。
――アップルパイはシナモンの香りが強いイメージですが、ゲイシャと合わせるのは難しくなかったですか?
そうなんです。甘く煮たリンゴにシナモンをガッツリ効かせたアップルパイってすごくおいしいんですけど、繊細なゲイシャと合わせるにはちょっと強すぎる。ゲイシャのよい部分がかき消されてしまうんです。
上手に合わせるやり方もあるのかもしれませんが、そこにこだわるよりもあえてシナモンは使わず、リンゴの甘みと酸味、パイの旨味と香ばしさを味わうようなアップルパイに仕上げました。
一見、アップルパイとはわからないほど薄く作っているのも、ゲイシャコーヒーのパートナーとして、食べやすさを重視したためなんです。
――他に板垣さんが提案したスイーツはありますか?
レモンパイがそうです。レモンパイは私の大好きなお菓子のひとつなんですが、その酸味がゲイシャとうまくマッチするのではないかと思って、前から試してみたかったんです。酸味の傾向が似ているので、酸味と酸味のマリアージュということで、一から挑戦させてもらいました。
以前、私が作っていたレモンパイはタルト生地だったんですが、タルト生地ってバターの風味が結構強いんですよ。「これだとゲイシャには合わないよね」ということでパイ生地で作っています。
生地から変えたことで、クリームやメレンゲのバランス、焼き加減などもすべて見直すことになったので、そのあたりの調整はちょっと苦労しましたね。
――独自のこだわりや工夫しているところなどはありますか?
一般的にレモンパイはレモンジュースを使って風味付けをするんですが、私は生のレモンを丸ごと使って作っています。レモンの皮は削ってパイの上にかけ、香り付けに。皮の下の白いワタは絞ったレモンジュースといっしょに煮こんでジャムにして、パイの中に忍ばせているんです。
通常、ワタの部分は苦味やえぐみが強いので使わないんですが、しっかり茹でて使えば、いいアクセントになるんですよ。本当にレモンを丸ごと、おいしさをすべて詰め込んでいます。狙いどおりゲイシャコーヒーとの相性もバッチリの自信作です。
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