コーヒー業界、カフェ業界で働くときやキャリアアップを目指すときに役立つコーヒーの資格ですが、「せっかくなら履歴書に書ける資格を取得したい! 」と願う人も多いのではないでしょうか?
本記事では、コーヒーのスペシャリストとして日本はもちろん、国際的に活躍したい人におすすめの新しいコーヒーの資格認定プログラムをご紹介します。
『マスターズ・オブ・コーヒー( Masters of Coffee )』が提供するコーヒー資格
ロサンゼルスを拠点とするスタートアップ企業『マスターズ・オブ・コーヒー(Masters of Coffee)』が、世界的なコーヒー専門家の認定プログラムを開始しました。 ここでは、新しく開講された資格認定プログラムの内容をを詳しくご紹介します。
『マスターズ・オブ・コーヒー( Masters of Coffee )』とは?
マスターズ・オブ・コーヒー( Masters of Coffee )は、ヨルン・クラインハンス氏によって設立されました。同団体は、2018年に「カウンシル・オブ・ウィスキー・マスターズ」というお酒の資格認定プログラムを立ち上げており、現在では世界的な蒸留酒の資格として広く知られています。
ヨルン・クラインハンス氏は新しいコーヒーの資格認定プログラムについて、「コーヒー愛好家たちの多くは、キャリアアップに役立つコーヒーの資格を手頃な価格で取得できる方法を探しています。コーヒーの資格は世の中にたくさん存在しますが、プロフェッショナルとして活躍する助けになる資格を提供している教育機関はごくわずかです。その点、マスターズ・オブ・コーヒーが提供するコーヒー専門家の資格認定プログラムでは、コーヒーのスペシャリストとしての明確な肩書きを得られるようになっています。」と、述べています。
マスターズ・オブ・コーヒーのコーヒー資格認定プログラムには、米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA)の会長を3期務めたダン・コックス氏、「カップ・オブ・エクセレンス」を運営する『アライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス』のエグゼクティブ・ディレクターを務めるダリン・ダニエル氏、1997年に設立されたコーヒー情報サイト「コーヒー・レビュー」の設立者で編集者でもあるケネス・デイビッド氏、インドの企業「Coffeelab」創業者でアジア人女性初のカッピングの女王と呼ばれたスナリニ・メノン氏、スペシャルティコーヒー協会のリサーチセンター諮問委員会の委員長を務めるスペンサー・テュア氏といった、スペシャルティコーヒー業界の著名人たちが設立諮問委員会に名を連ねています。
レベル1「Certified Coffee Specialist(CCS)」 の受講と試験の流れ
コーヒー資格認定プログラムは、レベル1の「Certified Coffee Specialist(CCS)」とレベル2の「Master of Coffee(マスター・オブ・コーヒー)」の2段階の認定があります。 レベル1のCCSは、受講に予備知識を必要としないため、コーヒーの初心者(趣味を含む)から中級者までが対象です。
マスターズ・オブ・コーヒーの公式サイトから受講登録すると、受講開始のお知らせメールが届き、学習ガイド本が送付されます。CCSの受講費用は595ドルですが、14日以内にメールでキャンセルすれば、90%の返金が受けられます。
CCSではコーヒーの歴史、栽培から加工方法、淹れ方、テイスティングまでコーヒーにまつわる知識を網羅した図解学習ガイド本に沿って、オンライン授業が行われます。受講期間が終了するとオンライン試験(所要時間は1時間ほど)が行われますが、75点以上で合格となり、合格者にはカリフォルニア州ロサンゼルスにある本部から認定証書が送られます。
オンライン試験は受講登録日から2年以内に受験する必要があり、2年を超えるとすべてのレッスンの受講が終了していたとしても受験資格が失効するとのこと。オンライン試験は毎週金曜日と土曜日に実施されており、世界各地のタイムゾーンに合わせて受験者が都合の良い時間に行われます。
試験の日時は予約可能で、6ヶ月先まで予約できます。試験当日は予約時間の数時間前にメールが送信されるので、そこに記載されたリンクを使用してテストを受けます。1回目の試験で不合格だった場合には再受験も可能で、再受験料は295ドルです。レベル1のCCSを受講し試験に合格すれば、レベル2のマスター・オブ・コーヒーを受講できます。
ヨルン・クライハンス氏は、「レベル1のCCSは受講も試験も完全にリモートです。このコースはどの地域や国に住んでいようと、最高レベルのコーヒーに関する専門知識が得られるのが大きなメリットだといえるでしょう。CCSの受講資格はなく入門編とも呼べるコースではありますが、世界のコーヒー取引の現場がどのような状態であるかまで学ぶことができ、国際的なコーヒーに関する専門知識を身に着けられます。」と述べています。
レベル2「Master of Coffee(マスター・オブ・コーヒー)」の内容
マスター・オブ・コーヒーを受講しようと思うなら、レベル1のCCSを受講して試験に合格しなければなりません。授業ではCCSを受講したときに使用した図解学習ガイド本の後半部分が扱われ、コーヒー豆の品種や産地、時事問題に関する詳細な知識を学べます。
CCSは完全オンラインレッスンでしたが、レベル2のマスター・オブ・コーヒーの試験は年に一度ロサンゼルスで実施されます。試験は筆記試験に加え、ブラインドテイスティングでサンプルを分析し、品質、欠点、焙煎、抽出方法、各サンプルの味や香りの特徴について詳細に考察する能力が試されることに。
ブラインドテイスティングの結果は口頭で発表しなければならず、試験官は受験者のコーヒーの知識、適切な専門用語が使用されているか評価すると共に、コミュニケーション能力も評価します。レベル2のコースは2022年秋から提供される予定で、試験は2023年にカリフォルニア州ロサンゼルスで実施される予定です。 知識や経験の差もありますが、最低でも60時間以上は試験勉強に費やす時間として取り分けておくようにしましょう。
2023年~2025年にかけてはスペシャルティコーヒー業界のレジェンドたちが試験官として迎えられることになっており、この試験に合格することで、国際的なコーヒーのスペシャリストとして認められます。
そのほかの世界に通用するコーヒー資格
マスターズ・オブ・コーヒーが提供する認定資格のほかにも、世界に通用するコーヒーの資格はいくつか存在します。ここでは、その主な資格をご紹介します。
SCA認定「 COFFEE SKILLS PROGRAM(コーヒースキルズプログラム、CSP)」
スペシャルティコーヒー協会(SCA)が実施しているCSPは、世界各地に広がるSCAのトレーニング拠点で提供されています。日本ではバリスタギルド・オブ・ジャパンがレッスンを主催していますが、各コースの受講料はトレーニングセンターによって異なります。
世界的なコーヒーの資格と認められているCSPは、各コース受講後に受講修了証書を取得でき、趣味としてコーヒーにまつわる知識をもっと深めたい方をはじめ、コースによってはすでにスペシャルティコーヒー業界やカフェ業界で活躍している方にもおすすめです。
SCA認定 「Qグレーダー」
コーヒークオリティインスティテュート( Coffee Quality Institute 、CQI)によって実施されている認定資格で、米国スペシャルコーヒー協会(SCAA)の規定に沿って、コーヒー豆の品質を評価できるようになります。コース受講料は提供地域ごとに異なり、例えば、カリフォルニア州のトレーニングセンターでは現在2,150ドルです。
6日間の受講期間に、コーヒー豆の扱い方や成分など専門的な知識を学習できます。試験合格後は3年間、Qグレーダーの資格を保持できますが、その後行われる試験に合格しなければ資格を失うことに。Qグレーダーの資格取得は難しく、日本では約300人、世界では約4,000人しか資格保持者がいないといわれています。
世界的に認められているQグレーダーの資格は趣味としてコーヒーを極めたいという方よりも、焙煎士やバリスタ、カフェ経営者などスペシャルティコーヒー業界でプロとして活躍している方におすすめです。
世界的なコーヒーの資格取得を目指して
コーヒーにハマればハマるほど、その奥深い世界についてさらに知りたくなり、コーヒーに関する専門的な知識を習得したいと願う気持ちが強くなるでしょう。世界的に認められているコーヒー資格を取得すれば日本国内でスペシャルティコーヒー業界に従事するのに役立つのはもちろん、活躍の場がさらに広がるはずです。
とくに本記事でご紹介したマスターズ・オブ・コーヒーが提供するコーヒーの資格は、履歴書に記せる既存の世界レベルのコーヒー資格よりもお手頃価格で受講できます。ただし、受講や試験は英語で受ける必要があるため、ある程度英語を理解している人でなければ難しいかもしれません。
残念ながら、現在のところマスターズ・オブ・コーヒーにおいて日本語バージョンのコースが開かれるかどうかは不明です。しかし、海外のスペシャルティコーヒー業界で活躍しようと考えているのであれば、資格取得にチャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。
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