スコットランド名物といえばスコッチ・ウィスキーですが、最近ではウィスキーを出すパブの数を追い越す勢いで、スペシャルティコーヒーを提供するカフェが増えているようです。

 

本記事では、スコットランド・エディンバラを拠点にしているスペシャルティコーヒー専門のコーヒーロースター『Obadiah Coffee Roasters(オバデヤ・コーヒーロースターズ)』をご紹介します。

 

『Obadiah Coffee Roasters(オバデヤ・コーヒーロースターズ)』のはじまり 

スペシャルティコーヒー専門のコーヒーロースターの中でも、シングルオリジンにこだわるオバデヤ・コーヒーロースターズですが、どのようにして誕生したロースタリーなのでしょうか? 

 

スコットランド・エディンバラへの移住 

2017年に、スコットランドの首都エディンバラで創業したオバデヤ・コーヒーロースターズ。

 

創業者であるサム・ヤングさんご夫妻は、2015年にオーストラリア・パースから、スコットランド・エディンバラに移住しました。

 

スコットランドに移住する前は、オーストラリアのスペシャルティコーヒー業界でも有名なコーヒーロースター「Seven Seeds」でヘッドロースターとして働いていたサムさんでしたが、エディンバラに住むようになり、オーストラリアとのコーヒーシーンの違いに戸惑ったそうです。 

 

オーストラリア都心部ではスペシャルティコーヒーを提供するカフェが多く、パースでもスペシャルティコーヒー専門店が増えつつありました。

 

ところが、2015年当時、スコットランド・エディンバラでは、スペシャルティコーヒーを提供するカフェはほとんどなかったといいます。

 

そのような背景もあってか、当初はエディンバラに短期滞在の予定だったサムさんご夫妻でしたが、やがてエディンバラでコーヒーロースターを開きたいと願うようになります。 

 

コーヒーロースターの名前の由来は? 

エディンバラで5カ月の間、ポップアップカフェを開く機会に恵まれたサムさんは、地元の人々がスペシャルティコーヒーに興味津々であることを目の当たりにします。

 

こうして、コーヒーロースターを開く決意をし、自分たちの新しいビジネスのための準備を着々とはじめました。 

 

新しいビジネスをはじめるに当たり、ネーミングはとても大切です。

 

会社のイメージを大きく左右する会社名を付ける際に悩む人は少なくありませんが、創業者であるサムさんにはすでに良いアイデアがありました。コーヒー以外にも音楽が好きな彼は、新しい居住地でバンドを結成しようと考えていた時期があり、「オバデア」というバンド名まで決めていたのだそう。 

 

結局、バンドを結成する夢は叶いませんでしたが、オバデアという名前のコーヒーロースターを立ち上げることになりました。

 

この名前は聖書のオバデア書から取られており、「神のしもべ」を意味します。 

 

オバデア・コーヒーロースターズは、シングルオリジンの希少なコーヒーを華やかでおしゃれなパッケージに詰めて販売するコーヒーロースターとして地元はもちろん、世界中にファンを作っていきました。

 

創業して間もないコーヒーロースターですが、オバデア・コーヒーロースターズは創業当初からインターネット通販に力を入れていたため、パンデミックの影響をそれほど受けずに現在に至るまで営業を続けることができたそうです。

 

魅力的なパッケージ作り 

オバデア・コーヒーロースターズは、スペシャルティコーヒー専門のロースタリーとして最高品質のコーヒーを提供することに加え、環境への配慮も忘れていません。

 

消費者の目に留まるような魅力的なパッケージを作ることは、コーヒーの品質を維持すること同様に必要不可欠な仕事ですが、オバデヤ・コーヒーロースターズはパッケージにも多大なるこだわりを見せています。

 

「僕たちのコーヒーを選んでもらうためにも、パッケージで差別化を図るのはとても大切なことでした。ありきたりのパッケージでは、消費者たちに強烈な印象を残すことはできませんからね。プラスチック製品であふれているコーヒー業界ですが、僕たちがこだわったのはゴミを増やすことではなく、ゴミを減らすと同時に素敵なパッケージをどうやって作るかという点でした。」と、サムさんは述べています。 

 

こうしてオバデヤ・コーヒーロースターズは、エディンバラにあるデザインスタジオ「Human Resources」にデザインを依頼し、 コーヒーカップをリサイクルして作られたG.F.スミス社の抽出紙を使用した、 印象的かつ繊細な色使いのパッケージを完成させました。 

 

『Obadiah Coffee Roasters(オバデヤ・コーヒーロースターズ)』のコーヒー 

オバデヤ・コーヒーロースターズでは、世界中の小規模農園から仕入れた季節スペシャルティコーヒーを焙煎しています。

 

それぞれのコーヒーが持つ特徴を際立たせる仕方で焙煎するよう心掛けており、自然な風味やフルーティさを大切にしています。 

 

最高品質のコーヒーを入手するためにさまざまなコーヒー生豆調達会社と仕事をし、毎日担当者と緊密に連絡を取り合っているオバデヤ・コーヒーロースターズ。

 

ここでは、エディンバラを代表するコーヒーロースターが提供するコーヒーの一部をご紹介します。 

   

オレンジのような風味の『El Cipres, El Salvador(エルシプレス、エルサルバドル)』 

エルサルバドルの首都サンサルバドルに住むアルバレス一家が作ったこちらのコーヒーは、シロップのような滑らかさとオレンジのような風味が特徴です。

 

サンサルバドルといえばビール、タバコ、石鹸の生産地として有名ですが、質の良いコーヒーを作ることでもよく知られています。

 

中南米のコーヒー生産地である国々では、味は良いものの収穫量が少ないブルボンやティピカ種のコーヒーが作られていました。

 

ところが、1980年代頃から、それらの国々の多くで収穫量の多い品種への乗り換えが行われます。そんな中、エルサルバドルでは内戦が勃発。

 

12年以上も続いた内戦が続きましたが、エルサルバドルでは品種の乗り換えがほとんど行われず、現在でも味の良い品種のコーヒーが収穫されています。

 

アルバレス一家がコロンビアからエルサルバドルに移住し、コーヒー農園を運営するようになったのは1880年のことでした。

 

アルバレス一家は移住後、先祖代々受け継がれてきたコーヒー生産にまつわる知識を実践し、すばらしい品質のコーヒーを作ることに全力を捧げてきたといいます。

  

彼らが所有するコーヒー農園は90ヘクタールのコーヒー生産地と5ヘクタールの自然林で構成されています。

 

アルバレス一家のコーヒーへの情熱は並々ならぬもので、コーヒーを育てるための大切な土壌への汚染物質を減らすために火山石を排水フィルターとして使用し、効率的な減煙調理用ストーブを住宅に導入しています。

 

 アルバレス一家が運営するコーヒー農園で収穫されたコーヒー豆は、浮遊分離された後、密閉された容器に24時間浸されてから洗浄されます。

 

さらに、高床式乾燥機に入れて1日置いた後、1時間おきに回転させて水分値を 11% まで均一に調整します。

 

こうしてアナロビックファーメンテーション(嫌気性醗酵)で加工されたコーヒーは酸味が強くなりますが、自然な風味とボディはそのまま保たれます。

 

リッチな味わいの『Raimiutin, Timor Leste(ライミウティン、東ティモール)』 

オバデヤ・コーヒーロースターズが自信を持ってお届けする、東ティモール・エルメラ・ライミウティン村のコーヒーは、リッチかつエレガントな甘酸っぱい風味が特徴です。

 

東ティモールと聞くとまず石油が思い浮かぶかもしれませんが、お隣の国であるインドネシアと同様、コーヒー産業も非常に盛んな国です。2016年には、東ティモールで初めてスペシャルティコーヒーの品評会である「カップ・オブ・エクセレンス」が開催されました。

 

東ティモールでは、ポルトガルの植民地時代だった1815年にアラビカ種の苗が持ち込まれたことによってコーヒー栽培が開始されます。

 

その後、50年も経たないうちに東ティモール産のコーヒーは商品として取引されるようになります。

 

ところが、しばらくして石油産業に注目が集まったため、コーヒー産業は国の産業としてそれほど重要視されることはありませんでした。

 

その結果、農薬や化学肥料などが使用されない栽培方法が続けられ、高品質のコーヒーが収穫されるようになったといいます。

 

東ティモールにある13の自治体のうちのひとつであるエルメラは、コーヒー生産地として有名です。ライミウティン村のコーヒー農園では毎日コーヒーチェリーが収穫されており、主にナチュラル精製されています。

 

そのため、「Raimiutin, Timor Leste(ライミウティン、東ティモール)」もフルーティーな味わいが楽しめるコーヒーとなっています。

 

アート作品のようなコーヒーを目指す『Obadiah Coffee Roasters(オバデヤ・コーヒーロースターズ)』 

デザイン、彫刻、写真が大好きなサムさんご夫妻は今後もおいしいだけではなく、まるでアート作品のような、商品を受け取った人が思わずハッとするほど美しい製品を市場に提供していきたいと願っています。

 

希少なスペシャルティコーヒーを販売すると同時に、使い捨てプラスチック製品を減らすために積極的なアクションを起こし続けるオバデヤ・コーヒーロースターズ。

 

 オバデヤ・コーヒーロースターズのサブスクリプションは、年間を通じてさまざまなコーヒー体験を消費者に提供しています。

 

通常メニューにはないめずらしいコーヒーが含まれることもあり人気を博しているサブスクリプションですが、「オバデヤ・コーヒーロースターズのコーヒーを飲んでみたい! 」と気になった方は、公式ウェブサイトを訪れてみてはいかがでしょうか。 

 

参照サイトURL:

https://obadiahcoffee.com/

https://thecoffeevine.com/

https://www.brewboxcoffee.ie/

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