“路地裏”という言葉を辞書で引いてみるとこのように解説されている。

――ろじうら【路地裏】表通りに面していない所。また、路地の奥。「横丁の-を抜ける」

 

とても的確な解説でいて、親切なことに例文まで付いているではないか。

 

ただ、少しだけ物足りない。こんなことを辞書に求めるのは筋違いなのだが、路地裏という空間は一言では語れないほどのロマンに溢れている。

 

今回、訪れた一本の路地裏には喫茶店が3店舗並んでいる。店舗間の距離は100メートルも離れていないが、どの店も個性があり素敵な佇まいで美味しいコーヒーを淹れてくれる。今回は渋谷区幡ヶ谷の路地裏に面した喫茶店を紹介します。

都会の田舎? ハーフな街! 幡ヶ谷

渋谷区幡ヶ谷は都会と田舎のハーフみたいな町で、表通りにはオフィスビルや高層マンションなどが軒を連ねているが、すこし脇に入ると昔ながらの古本屋やアンティークショップ、飲み屋などが所狭しと立ち並んでいる。

そんな垢抜け切れない町が好きで、なにをするでもなく足を運ぶことがある。

7CAFE

東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-1
080-4410-7757
京王電鉄京王新線幡ヶ谷駅北口より徒歩30秒
幡ケ谷駅から43m
営業時間
[月、水~日] 11:00~22:30(L.O.21:30)
ランチ営業、日曜営業
http://7cafe.jp/
幡ヶ谷駅北口から新宿方面に歩いて1、2分ほどであろうか。左に曲がった路地裏に「7CAFE(ナナカフェ)」を見つけた。

 

店内に入るとJAZZが流れており、やや暗い照明、カウンター、テーブル席、コーヒーの香り……。これだけなら普通の喫茶店と変わらない。しかし7CAFEは所々に“本”が置いてあった。

 

小説、雑誌、漫画……。それもかなり通好みの書籍が陳列しているではないか。おそらく本好きの人はタイトルを眺めているだけでも楽しめると思う。

僕はブレンドコーヒー(500円)をオーダーしたのだが、驚いたのはその量である。

 

コーヒーカップは通常のサイズだが、それとは別にコーヒーの入ったフレンチプレス(抽出器具)も一緒に出てきたのだ。これだけの量があれば、陳列されている本をゆっくり読むことができる。

 

また、フレンチプレスで淹れたコーヒーは、良質な豆じゃないとごまかしがきかないと言われているのだが、一口飲んでみると酸味、苦味、コクのバランスが取れた素晴らしい一杯であった。

 

フレンチプレス分のコーヒーを合わせると都合カップ3杯飲んだことになるが、最後の一口まで飽きずに味わうことができた。

COFFEE HOUSE ぽえむ(幡ヶ谷店)

東京都渋谷区幡ヶ谷2-8-10
03-3374-7288
営業時間
[月~日] 8:00~23:00(L.O.22:30)
ランチ営業、夜10時以降入店可、日曜営業
http://www.nikkahan.co.jp/

 

 

完璧なものなんてあるだろうか。

 

なんとなく、僕らは無理に不満を探しては溜息をついているような節がある。

しかし、「COFFEE HOUSE ぽえむ」は僕の中で完璧な喫茶店だった。

なにしろ、マイナス点が一切無かったのだ。レンガ張りの落ち着いた店内やコーヒー豆が敷き詰められたガラス張りのテーブル、100種類を越えるコーヒーメニュー、スタッフの対応、そして、ハンドドリップで淹れたコーヒー。

その、どれもが素晴らしく、取材撮影が終わったあとも思わず長居してしまうほどであった。

 

「COFFEE HOUSE ぽえむ」は「7CAFE」のほぼ真向かいにあるので、その日の気分に合わせて行き分けてみるのもいいかもしれない。

日曜珈琲屋

東京都渋谷区幡ヶ谷2-12-7
https://www.instagram.com/nichiyocoffee/

「7CAFE」、「COFFEE HOUSE ぽえむ」を過ぎると、自転車が1台通れるほどであろうか、さらに路地裏は細くなっていく。うしろを振り返ると国道20号では忙しそうに車が行き来していた。

 

路地裏とは不思議なもので表通りの喧騒が激しいほど、静けさを増し別世界のような雰囲気を感じさせる。

その別世界の入り口とでも言おうか「日曜珈琲屋」は路地裏が狭まる一歩手前に店を構えていた。

 

店の外に立てられていた看板には「カレーと珈琲」と書いてあった。「カレーと珈琲?」そう思われる人もいるかもしれないが(勿論、僕もだが)ここは別世界ということで気にしないようにした。

 

店内に入ると、お洒落なスタッフさんが閉店30分前だというのに暖かく迎え入れてくれた。

 

メニューを見るとアルコール類が多いことに気が付く。
聞くと普段は「東京ロージー」という屋号で居酒屋を経営しているとのこと。そして「日曜珈琲屋」という屋号で開店するのはなんと、月に一度!

 

偶然、お店に訪れた僕は幸運だ。そう思ったのはコーヒーを一口飲んだ瞬間であった。

日曜珈琲屋のコーヒーは酸味と質感が非常に優れており、フレッシュな果実のような一杯であった。
カレーを食べたあとでも、すっきりと飲めるようにブレンドしたのではないだろうか。

 

日曜珈琲屋の開店日はSNSなどでも告知されているので、今度は早めに行ってカレーもオーダーしてみようと思う(閉店間際だったのでカレーのオーダーは控えました)。

――幡ヶ谷には路地裏が多い。

表通りほど陽は当たらないが、ビルとビルの間から差し込む陽射しからは不思議な暖かさを感じられる。

〆切りに追われる僕に「そんなに焦るなよ」と語りかけているようにも感じた。

 

表通りにも喫茶店はたくさんあったが、喫茶店の立ち並ぶこの路地裏を歩いて良かった。

 

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