先日、友人とその彼女とでご飯を食べに行った。信じられないことに友人は彼女のために料理を小皿に取り分けていたのだ。「○子はパクチー嫌いだもんな」などと言いながら…。僕はこういったストレートな優しさが苦手だ。恥ずかしいというのが一番の理由だが、そもそも彼女は「メシくらい好きに食わせろ!」と思っているかもしれないではないか。
しかし、諸外国の文化を見てみるとストレートな優しさに溢れている。紅茶大国イギリスでは「アーリー・モーニング・ティー」という“優しい文化”があり、思いやりのない僕に衝撃を与えた。別名「ベッド・ティー」とも呼ばれるこの文化はどのようなものか解説していきます。
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朝の始まりは紅茶から。アーリー・モーニング・ティーとは
アーリー・モーニング・ティーとは朝、妻が起きたのを見計らって夫が紅茶を淹れるというもので“ベッドで飲む紅茶”ということから「ベッド・ティー」と呼ばれることもあります。
アーリー・モーニング・ティーはイギリスの中流階級以上の家庭で行われていた習慣ですが、今でもこの文化はイギリスに根付いており、休日や記念日といった日には夫が妻にアーリー・モーニング・ティーを振る舞うことがあります。また、イギリスを始めとした紅茶文化が盛んな国のホテルでもホテルマンがアーリー・モーニング・ティーを淹れてくれるオプションがあるそうです。
この他にもイギリスには紅茶に関する文化が数多くあります。アーリー・モーニング・ティーを済ませた後に朝食と共に飲む紅茶を「ブレックファスト・ティー」、午前11時頃小休憩として飲む紅茶を「イレブンジズ・ティー」、そして午後3時頃から飲む紅茶を「アフターヌーン・ティー」と呼びます。アフターヌーン・ティーはイギリスの紅茶文化の中でも特に有名なので詳しく解説します。
イギリス発祥の伝統的文化アフターヌーン・ティーを解説
イギリスの誇る文化アフターヌーン・ティーは1800年代に貴族のアンナ・マリアが考案したと言われています。元々は上流階級の女性の社交場として始まった文化ですが、今では性別や身分問わず多くの人が楽しむ文化になりました。
アフターヌーン・ティーが始まるのは午後3時から4時で、紅茶の他にスコーンやサンドイッチ、ケーキが振る舞われます。また、アフターヌーン・ティーの様式や礼儀作法を取っ払ったミッドディ・ティー(こちらも午後3時頃始まります)という文化も存在します。
この他に午後5時から6時に掛けて夕食と共に紅茶を楽しむ事をハイ・ティー、食後に飲む紅茶をアフターディナー・ティー、就寝前に日記を付けながら飲む紅茶をナイト・ティーと呼びます。
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世界各国の紅茶事情
イギリスで飲まれている紅茶の9割がミルクティーなのに対し、諸外国ではやや事情が違うようです。アメリカのカフェではコーヒーが主流ですが、冷たい飲み物だとアイスティーが主流になります。
また、ポーランドではミルクティーは子供の飲み物とされており、カフェのメニューには載っていないことが多いようです。紅茶消費量世界一のトルコでは紅茶を「チャイ」と呼び、渋味が強いため多量の砂糖を入れるのが特徴です。チャイを入れるカップは陶器ではなく真ん中がくびれたガラス製のカップを使用します。
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理解されにくい優しさとは
国によって紅茶の飲み方に違いがあるように、優しさにも違いがあっていいと思う。僕は料理を小皿に取り分けるような優しさは持ち合わせていないが、残されたパクチーを全て食べる優しさは持ち合わせている。この優しさは「出された物は全て食べる信念」と「作ってくれた人への感謝」が込められているのだ。しかし、僕がパクチーをむさぼる姿に友人は「卑しいなぁ...」と呟いたのだった。