長い時間、適切な環境下で大事に保管された食品には、深い旨みが現れることがあります。代表的な食材はワインや生ハム、チーズなどなど......
こんな現象を「熟成」という言葉で表すことが多いですが、コーヒーも熟成することで味わい深くなることがあるそうです。今回はそんな深遠なる熟成コーヒーについてご紹介します。
コーヒーを熟成!? それってホントに飲めるの?
熟成コーヒーと言えどほとんどの場合、抽出したコーヒーをシェリーやオークのタルに詰めて何年も大事にしまっておくわけではありません。一般的にはコーヒーは挽きたて・淹れたてが美味しいとされており、淹れてから時間がたったコーヒーは酸化してしまって風味も飛んでしまうためです。(お酒じゃないのでそもそも腐ってしまいます...…)
熟成させるのはコーヒー豆自体。収穫したての生豆のことを「ニュークロップ」と呼びますが、収穫してから年数のたったものは「オールドクロップ」と呼ばれます。湿度や気温の管理された空間で数年〜数十年寝かせたそれらの豆から抽出したコーヒーは「ビンテージコーヒー」とか「エイジングコーヒー」と呼ばれることもあります。
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熟成が合うコーヒーとそうでないコーヒーの違い
熟成が進んだコーヒーは、ニュークロップのコーヒーよりもマイルドな味わいになるとされています。これは熟成中に酸類が少しづつ抜けるためだと言われていますが、どんなコーヒーでも熟成させれば美味しくなるというわけではありません。
ニュークロップの段階で個性に乏しい豆などを熟成させた場合、風味がなくなってただのスカスカなコーヒーになってしまうことが多いそう。美味しい熟成コーヒーを作るには個性が強くて飲みづらいほどの豆が適しているとする研究者もいます。
風味や個性が強い豆を熟成させることで荒さが抜け、強烈な旨みだけが残っている状態こそが熟成コーヒーの醍醐味なのです。
熟成コーヒー探求者たちのディープな世界
コーヒーの熟成で味が良くなるとされていることについて、実は科学的には実証されていないことが多く、熟成コーヒーの探求者たち(=カフェオーナーなど)は独自の手法で「熟成」を試みている人々もいます。
それらの手法には本当に様々な考えがあり、興味深いものばかり。ある人は超低温下で熟成を行い、また、ある人はウィスキーの樽に生豆を詰めて熟成させたり。なかには焙煎後の豆を貯蔵したり、抽出したコーヒーを低温で20年エイジングさせるというツワモノも......
ただし。これら熟成コーヒーは非常に高価であることもザラ。かく言う筆者もこのテのコーヒーは経験が少ないので、ご賞味いただいた方はレポートをcafend編集部まで。
また、必ずしも熟成したコーヒーの方が美味しいというわけではなく、ビビッドな味わいのニュークロップファンも大勢います。結局は好みですので、自分の舌で確かめてみましょう!