カプチーノやカフェラテなど、ミルクを使ったコーヒーが大好きな方はきっと多いはず。豆乳ラテが好きという方もいるかもしれませんね。
コーヒーの種類を語る上で欠かせないミルクですが、最近では、美容や健康を意識した植物性のミルクも増えています。牛乳や豆乳のほか、穀物やナッツを原料としたミルクも試してみると、あなた好みのコーヒーのバリエーションが広がるかもしれませんよ。
王道はやっぱり「牛乳」
牛乳にはコーヒーと相性のよい性質がいくつもあります。例えば、泡立ち・甘み・コクなど。この言葉からはクリーミーでちょっと甘いフォームミルクが連想されませんか? そこにラテアートが施されていると見た目もお洒落ですよね。
ミルクに含まれるたんぱく質は、空気を取り込み、泡立ちやすい性質(起泡性)を持っています。キメ細かに泡立ったフォームミルクは、その中にコーヒーの香りを包み込み、口に含んでからコーヒーを味覚・触覚とともに楽しむのに一役買っています。
ただ、ミルクのタンパク質は、70℃を超えると変性して風味が損なわれ、気泡をうまく取り込めなくなります。ミルクのスチーミングの適温が60~65℃と言われるのはこのためです。
そして、スチームミルクやフォームミルクは、牛乳よりほのかに甘く感じられるかもしれません。ちょっと理屈っぽい話になりますが、乳糖を構成するのは「ガラクトース」と「グルコース(ブドウ糖)」という、どちらも単体では乳糖よりも甘みが強い糖です。ミルクスチーミングと加熱によって、乳糖からガラクトースとグルコースへ分解が進むので、スチームミルクやフォームミルクは牛乳よりもやや甘く感じられます。
コクを加えるのは乳脂肪の役割です。ダイエット中には脂肪分をセーブしたくなりますが、生乳の脂肪分は高いほどコーヒーの味わいが深くなります。
ちなみに生乳100%を原料とした牛乳には次の二種類があります。
・「成分無調整」 その名の通り成分の調整をしていません。乳脂肪は3%以上含みます。
・「成分調整」 脂肪を低減した「低脂肪牛乳(脂肪が0.5%以上1.5%以下)」や「無脂肪牛乳(脂肪が0.5%未満)」はこの分類に含まれます。
グルメな方は、成分無調整牛乳のなかでも乳脂肪分高めのものを試してみてください。乳質の濃厚なジャージー乳がおすすめです。
泡立ちのよい植物性ミルクなら「豆乳」
植物性ミルクのなかでも豆乳がコーヒーに使いやすいのは、起泡性があってクリーミーなフォームミルクを作りやすいからです。豆乳でも泡立ちを左右するのはタンパク質。牛乳と同じように、豆乳にも「無調整」と「調整」タイプがありますが、調整豆乳はタンパク質の量が少ないこともあるので無調整豆乳がおすすめです。
豆乳は牛乳より脂肪が少なく、味に多少のクセもあるのでコクや味わいでは満点とはいかないかもしれません。とはいえ、牛乳より低脂肪・低カロリーで、美容効果もあるとされる大豆イソフラボンをはじめとする栄養素が豊富というメリットがあります。
また、牛乳に比べると酸や加熱による分離が起こりやすいので、温めるスピードやコーヒー豆の酸味には気をつけてくださいね。
美容にうれしいナッツミルク・体にやさしい穀物ミルク
ナッツミルクの人気は、低糖質で豊富なビタミンEやミネラル、オレイン酸やリノール酸の働きで美肌やアンチエイジング、生活習慣病予防などに効果が期待できそうだからのよう。
ナッツにアレルギーのある方には、穀物ミルクという選択肢もあります。ライスミルク(玄米や白米が原料)やオーツミルク(オーツ麦が原料)などがあり、ナッツミルクほどの栄養価はないものの、ビタミンやミネラルも含まれ、低脂肪・低カロリーです。
ナッツミルクのほんのり感じられる香りやコクは、コーヒーとの相性もなかなかです。残念なのはミルクスチーミングにコツがいること、フォームミルクが形成されにくいことがあったり、分離したりすることがある点です。
穀物ミルクはタンパク質や脂質が少なく泡立ちには期待できませんが、コーヒーに合わせても分離しにくい利点があります。味は淡白で、穀類の甘みのあるサラッとしたミルクです。
植物性ミルクでもキメ細かなフォームミルクを作れるよう、「バリスタブレンド」という商品も登場しはじめています。現時点ではアーモンドミルクの改良版が主流のようですが、オーツミルクに豆乳をブレンドした商品もあり、他のナッツ系ミルクについても今後期待できそうです。
ミルクでグルメにも健康・美容志向にもなるコーヒー
牛乳が苦手だったり、健康や美容にいいものを取り入れたい方は、植物性のミルクをトライしてください。植物性のミルクは原料によって味のバリエーションが豊かなので、お好みのテイストを探すのも楽しいはず。ヘルシーミルクでもラテアートを楽しみたいなら、豆乳や「バリスタブレンド」のナッツミルクなどを選んでくださいね。
コーヒーに合うミルクは今後ますます進化して行くことでしょう。色々な種類のコーヒーとミルクを試してみて、自分の好みや体質に合ったコンビネーションをぜひ発見してください。
なお、ドイツ在住の筆者は、コーヒーなら普段はブラック派ですが、時に気分を変えてヘーゼルナッツミルクやオーツミルクを組み合わせるのがお気に入りです。