日本の緑茶は、世界各地で高品質なお茶として楽しまれるようになりました。日本茶の知名度を上げる過程には、「本物」の緑茶を各地に紹介した人々の功績があります。
ヨーロッパでは、日本産緑茶が1990年代から徐々に知られるようになりました。ヨーロッパの厳しい残留農薬規制をいち早くクリアし、日本の緑茶を広めるパイオニアとなったのは、日本とドイツのコラボレーションで生まれた高級緑茶ブランド「KEIKO」でした。
ブランド立ち上げ当初から今日まで、オーガニック品質と美味しさにこだわり、高級緑茶を欧米に広めています。2008年には日本食海外普及功労者として農林水産省から表彰されました。
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日本とドイツのコレボレーションが生んだ緑茶ブランド
当時ヨーロッパに緑茶として流通していたのは、黄色っぽい安価なお茶ばかり。有機農業を専門とし、お茶愛好家でもあったハステンプフルーク氏は、ここで本物の緑茶に出会います。世界に緑茶を広めるべく活動していた下堂園社にとっても、ヨーロッパにパートナーを得る機会となりました。
ハステンプフルーク氏が語ってくれたエピソードに、その頃のヨーロッパの緑茶品質が推し量れるものがあります。
「メッセ会場で一杯のお茶が出されました。ですが、初めて見る緑色の液体が何なのか見当もつきません。そこでしたのが『これは何ですか?』という質問。答えは当然『これが緑茶ですよ』というものでした。色も香りも味わいも、緑茶の比類のなさは衝撃でした。『KEIKO』の起爆剤になったのは、この時の感動です」
ドイツのお墨付き! 品質・安全・美味しさを追求したオーガニック緑茶
ヨーロッパで緑茶が注目されるようになったのは、自然食・健康食分野からでした。豊富な栄養成分が含まれるという分析があったからです。同時に、有機農業も急成長していた時期で、オーガニック緑茶という選択は、時代の要請に応える最善の道でもあったようです。
鹿児島県の茶園で何年も有機栽培を試みた末、安全かつ健康的なだけでなく、美味しさにもこだわったオーガニック緑茶ブランド「KEIKO」が誕生します。ヨーロッパで初めてオーガニック認証された日本茶でした。
日本の伝統・ヨーロッパのトレンド両面からの商品開発
例えば、ヨーロッパでもすっかり定着した抹茶。ブームが始まるとともに、自社製造を検討し始めます。ひとえに、挽きたての新鮮で高品質な抹茶を提供したかったためです。
抹茶は茶葉、湿度や温度などの条件によって挽き方に繊細な調整を要します。研究の末、2012年から6種類の臼を使ったグラインダーを導入し、ドイツで質の高い抹茶製造を開始しました。
自社で作った抹茶に健康効果の高いスパイスなどをブレンドし、ヨーロッパ人の口にも合った、手軽なドリンクパウダーも開発しています。欧米では抹茶ラテや植物性ミルクも人気ですから、抹茶ドリンクの種類は今後もバリエーション豊かになりそうです。
緑茶を使ったチョコレートやキャンディの販売、緑茶レシピの提案も行い、緑茶ファンの裾野を広げる試みも続けています。
環境への配慮と柔軟なアイデアを大切にする緑茶ビジネス
同時に、緑茶のイメージが定着していないからこそ、日本にはない柔軟な発想がしやすく、斬新な緑茶商品が受け入れられやすい土壌もあります。「KEIKO」ブランドでは、健康効果・美味しさの両面から、緑茶と食材のペアリングの可能性を開拓し続けています。
本格派オーガニック緑茶として誕生した「KEIKO」ですから、環境への配慮も欠かしません。ドイツの社屋で使用する電力は太陽光パネルで自給自足し、ゴミの処理にも環境への負荷が低減する工夫をしています。環境意識の高いドイツで信頼され続けるブランドであるための取り組みといえるでしょう。
ドイツ発の緑茶ブランド「KEIKO」は、今では日本でも販売されるようになりました。ヨーロッパのスタイルで楽しむ緑茶、そしてオーガニックや環境へのこだわりは、日本の緑茶にも新しい発想のヒントになるかもしれませんね。
Shimodozono International GmbH
住所:Strothestrasse 50, 49356 Diepholz, Germany
電話番号:+49 5441-9959560
https://www.keiko.de/(ドイツサイト)
http://keikotea.jp/(日本サイト)