コーヒーに続いて、お茶もこれからは「スペシャルティ」がキーワードになるかもしれません。
スペシャルティコーヒーと同じように、人にも環境にもやさしく、茶園から消費者に届くまでしっかり管理された、高品質の商品がトレンドになりそう、ということです。
スペシャルティという言葉がおなじみになる前から、人・自然・社会にやさしいお茶を手掛けているティーブランドがあります。それがティトゥーリア。バングラデシュで唯一、オーガニックティーを作っています。
ティトゥーリアは社会事業としてスタートしました。お茶事業を立ち上げ、安定した経営をすることで、雇用を生み、働く人の生活と健康を支え、教育の普及も支援しています。高品質なお茶を作るのは通過点でしかなく、目指すゴールは人とコミュニティーをよりよくすること。
商品よりも、人と社会への貢献が先にあったのは、他のティーブランドと一線を画するユニークさではありませんか? ティトゥーリアの活動とお茶について、今回はご紹介します。
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目次
ティトゥーリアは脱貧困をサポートする茶園
ティトゥーリア茶園は、インドのダージリン地方から南へ50kmの場所に位置します。バングラデシュ北端の辺鄙な地で、かつては経済活動から取り残された、飢えと貧困にあえぐ地方でした。
事業を興すことで雇用を生み、人々の生活水準を改善しようとしたのが、社会事業家カジ・シャヒド・アハメド氏。社会事業として茶園を開拓することから始め、2000年にティトゥーリア茶園がオープンします。
ティトゥーリアのポリシーは、環境を害することは一切しないこと。有機農法を徹底し、無農薬なのはもちろん、施肥や害虫駆除にも化学品を使用しない、自然な方法のみを採用しています。茶園で働く800人以上の労働者にとっても、安全に働ける環境だということですね。
茶業のほか、有機野菜の栽培や、乳業、茶の生産に使う堆肥の生産も行っています。元手がなくても農家が仕事を始められるよう、牛乳や堆肥を作るための乳牛を貸し出したり、有機農業の技術や販売ノウハウを伝授したりと、設備や知識のサポートも万全です。
ティトゥーリア茶園のおかげで、これまで数千人が貧困から脱したといわれています。
「子供たちに教育を」母親たちの願いを叶えるティトゥーリア
ティトゥーリア茶園で収入を得ることで、子供を大学にまで行かせることができた例もあるそうです。一方、仕事を得たばかりでは、すぐに子供たちを学校へ通わせられない家庭だってあります。
ティトゥーリアは、学校に通えない子供たちのための学習センターをつくり、読み書きや算数などを敎えています。
子供たちだけでなく、これまで教育を受けられなかった茶園労働者、特に女性たちが学ぶ機会だってあるんです。読み書きの授業は週に2回、勤務時間中にやっているそうですよ。
また、生活のクオリティーを改善するのに大切な、健康や衛生について学ぶ機会も用意されています。ティトゥーリアでは、健康に関わることは最優先事項なのだとか。
商品としての魅力づくりもバッチリ! 米国でのブランド展開
とはいえ、どんなに社会的にすぐれていても、商品を消費者にアピールできなければ立ち行かなくなってしまいます。ただ、ティトゥーリアについては、その心配はなさそうです。
ティトゥーリアのお茶が販売されているのは、おもに米国。市場開拓を担ったのは、ティトゥーリアの共同創業者でCEOのリンダ・アペル・リプシウス氏でした。
ティトゥーリア茶園のお茶は、オーガニック100%で高品質な商品。それをさらに、バリエーション豊かな品揃えにし、おしゃれなパッケージでプロデュースすることで、米国でティーブランドとして確立させました。
南アジアで作られるお茶は紅茶が中心ですが、ティトゥーリアは烏龍茶や白茶などの中国茶や緑茶、ハーブティーやブレンド茶も提供しています。ブローカーなどを介さず、バングラデシュから直送されるので、鮮度や品質も良好なままです。
パッケージには、すべてリサイクルの、100%自然に還るエコ素材だけを使用。ティーバッグやパッケージに使う接着剤なども、環境に配慮したものばかりです。
これからもっと増えてほしい! ティトゥーリアのようなブランド
昨今よく聞かれるようになった、サステナビリティやトレーサビリティなど、ビジネスに求められるあり方や、シングルオリジンやスペシャルティなど、作物に関わるキーワードなど、ティトゥーリアはとっくに先取りしていたようですね。
筆者にとって、ティトゥーリアは知れば知るほど好きになるティーブランドです。ティトゥーリアのようなブランドが増えていけば、生産者と企業と消費者の間に、商品とお金のよい循環が生まれそうではありませんか?
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