コーヒーには深い歴史があります。1000年以上前からコーヒーはこの世界にあり、そして人間たちと面白い関係を保ちながら存在しています。
今回は、どうやってコーヒーが世界に広まっていったのか。そんな話について書いていきます。
前回の記事はこちら↓
【コーヒーと僧侶の意外な歴史】コーヒーの深い歴史を掘り起こせるか(1)
コーヒーが世界に広まるまで~喫茶店の登場や日本への伝播~
9世紀のイランの哲学者アル・ラーゼスの著書によると、コーヒー豆は焙煎されておらず、「収穫→すり潰す→煮る」という調理法が採用されていました。
当然ながら美味しいはずはなく、僧侶の秘薬として用いられていたそうです。
13世紀に入り、豆を焙煎する技術が確立されてからは、味や香りが人気を呼び、アラビアの市民も好んでコーヒーを飲むようになったとのこと。
1554年には世界初の喫茶店「カーヴェハーネ」がイスタンブールに開店し、コーヒー文化はさらなる盛況を見せます。しかし、喫茶店内では政治批判などの談合が数多く行われたことにより、政府によって閉店に追い込まれる店もありました。
それでもコーヒーの人気は衰えず、1600年代にはインドやイギリス、アメリカにも波及していきます。
1650年にはイギリスで多くの喫茶店がオープンし、中でも『ギャラウェイ』という喫茶店は金融センターに近接していたことから、ビジネスマンの情報交換場として連日賑わいました。
コーヒーが日本に伝わったのはいつか
一方、日本にコーヒーが伝わったのは18世紀頃と言われています。
ですが、コーヒーの苦味は日本人の舌に合わなかったことや、鎖国中ということも手伝い、コーヒーは上流階級の珍味的扱いに留まりました。
一般の人がコーヒーを飲むようになったのは、欧風食文化が広まった明治時代末期頃とされています。その後、1899年にインスタントコーヒー、1958年に缶コーヒーが発明され、多くの日本人がコーヒーを嗜むようになったのです。
歴史とともに進化するコーヒー。未完成からの可能性
食べ物や飲み物は歴史と共に洗練されていき“完成”を迎えます。
ですが、コーヒーは不思議なもので、『長い歴史を持ちながらも、進化し続ける飲み物』なのかもしれません。
発祥から1000年以上経った現在でも、新たな製法や淹れ方が考案されています。
これは良い意味での『未完成』なのではないでしょうか。
“食”の貪欲さも追いつけない飲み物『コーヒー』。
次はどんなスタイルで登場するのか興味が尽きません。