コーヒー豆を作るとき、コーヒーチェリーの実のほとんどの部分を捨ててしまっていること。コーヒー豆の生産で排出される大量の廃棄が環境汚染問題になっていること、みなさんはご存知でしょうか。

 

何気なく飲んでいるコーヒーの生産の背景には、さまざまな企業の努力や苦悩だけでなく、忘れてはいけない環境問題も隠れていたのです。

 

ところが、近年になってこの廃棄部分を使って食料品にした「コーヒーフラワー(Coffee Flour)」という製品が開発されました。

 

捨てていた物を食料にするというエコ精神や、小麦粉の代用品として豊富な栄養価を持つことなどから、世界中で急速に注目されつつあります。Flower(花)ではなく、Flour(小麦粉)という意味を持つため、小麦粉の代用品としても使えるものなんです。

 

そんなコーヒーフラワーとは、一体どんなものなのでしょうか?

栄養価が高い!コーヒー業界発のスーパーフード!?「コーヒーフラワー」とは

コーヒーフラワーは、コーヒー豆を精製する際に水洗などによって廃棄してしまう「果肉」の部分を加工して粉状にしたもの。(カスカラと呼ばれていたりしています。)

 

コーヒー豆の原料は、甘みと酸味を持つ「コーヒーチェリー」という果実ですが、果肉部分は量が少ない為に食用にはあまり用いられていませんでした。

 

そこに注目したのが、あのスターバックスなどの有名コーヒーカンパニーでコンサルティングを行なっていたダン・ベリヴォー氏。農場で大量に廃棄されるこのコーヒーチェリーをもったいないと感じ、何かに有効利用できないものかと考えたのが始まりだったそうです。カナダで2014年にこのコーヒーフラワーを製造・販売する会社を創業し、その後はヨーロッパやアメリカ、日本で普及を見せています。

 

このコーヒーフラワーは、パンを焼くのに使ったり、クッキー・シリアルの元として使うなど小麦粉の代用品として様々な利用方法があります。

 

そして、コーヒーフラワーの一番の特徴は、栄養価が非常に高いということ。

 

成分の半分以上が食物繊維であることや鉄分を多量に含むことだけでなく、抗酸化作用やグルテンフリーなど、現代人に嬉しい健康効果をたくさんもたらしてくれる、コーヒー業界発のスーパーフードなのです。

コーヒーフラワーは環境にとても優しい

前述の通り、コーヒーの果肉部分はコーヒー生豆の精製処理時に廃棄されます。年間で20億トンもの廃棄物が発生するのですが、実はこれが河川や土壌に廃棄されることで環境汚染を引き起こしています。

 

コーヒーチェリーは腐敗するとメタンガスを発生させる特性があり、温暖化の大きな原因となることや水質・土壌の悪化をもたらすということが研究により分かっています。

 

また、溜まったコーヒーチェリーはマラリア発生の温床にもなっているということからも、コーヒー精製処理の廃棄物が有害であることが伺えます。

 

このような環境的な配慮だけでなく、コーヒー農家からこのコーヒーチェリーを購入することで、コーヒー農家の新たな収入源となり寄与もできるという経済的なメリットもあります。

 

コーヒーフラワーはこれらの顕在する環境リスクを抑えつつ、栄養価の高い食料品として利用もでき、しかも経済的にも良い(コーヒー農家の収入アップにも寄与できるため)という、社会的にもスーパーなプロダクトなのです。

コーヒーフラワーの使い方!実際に使ってみたひとの評判は?

View this post on Instagram

 

ROUND POINT CAFEさん(@round_point_cafe)がシェアした投稿 -

気になるコーヒーフラワーの味ですが、Instagramなどで実際に使った人の口コミでは「スッキリした酸味」があるそうです。また、コーヒーフラワーを紹介するブログなどでは、コーヒーの味というよりも「ローストした果実の酸味や甘み」「クルミなどの穀物っぽい風味」がするという声も。

 

こちらは、ハイカー御用達のグラノーラバーへの利用。栄養価の高さから、耐久アスリートなどにも注目されそうです。

 

View this post on Instagram

 

Coffee Flourさん(@coffeeflourlab)がシェアした投稿 -

ステキなコーヒーフラワー・カンパーニュも発見。コーヒーフラワーの創業者曰く、パンを焼くときは小麦粉と混ぜて使うと良いとのことで、こちらの方もコーヒーフラワーをプラスして焼いているそう。

View this post on Instagram

 

Bert JW Regeerさん(@bertjwregeer)がシェアした投稿 -

全粒粉のような穀物感があるので、使用用途がかなり広いのも好印象。Instagramではその他にもたくさんのおしゃれな利用方法が紹介されていました。

コーヒーフラワーって日本でも手に入る? 購入方法は?

コーヒーフラワーを実際に食べてみたいという方は、カフェやパン屋さんで実際に使っているお店を探すのがオススメ。有名どころでは、日本各地に展開するBAGEL & BAGELさんでコーヒーフラワーを使ったベーグルを販売しているそうです。

 

コーヒーフラワーは日本ではあまり浸透しておらず、海外サイトの商品が多いのですが、日本国内でも生産販売しているメーカーがあるのでご紹介します。

 

コーヒーフラワーを扱ったカスカラ関連商品に力をいれている『海ノ向こうコーヒー』で購入することができます。

 

海ノ向こうコーヒーは、ラオスやミャンマー、フィリピンといったアジアのコーヒー産地に入り込み現地の小農家と一緒に品質向上から取り組んでおり、環境負荷の小さい農業を世界に広めるという観点からコーヒー事業を展開しているんだそう。

 

カスカラパウダーの味は、あんずのように甘酸っぱく後味にほのかにコーヒーの香りが感じられ、とても美味しいです。

またシロップは、てんさい糖で甘味をつけてあるので、お子様にもおすすめです。

海ノ向こうコーヒーのオンラインショップでは、レシピも紹介されているので、気のなる方はチェックしてみてくださいね。

 

海ノ向こうコーヒーオンラインショップ

カスカラパウダー

カスカラシロップ

 

エコロジーで利用しやすく、美味しいスーパーフードということで、今後人気が出そうなコーヒーフラワー。先取りして試してみるのはいかがでしょうか?

 

【実はスーパーフード!?】赤い実のコーヒーチェリーって何?
2018.8.21
毎年梅雨頃になると、山形にいる知人から、名産物のさくらんぼが届きます。 今までは「佐藤錦」という品種が一番美味しいと聞かされていたのが、今年は「紅秀峰」という品種が送られてきました。 その知人曰く、「今はコレ(紅秀峰)が一番旬。果実が大きくて甘さも強い。オマケに見た目も良い。」そう。いつもスミマセ...…
コーヒー生豆
コーヒー生豆の購入はアリかナシか【生豆が秘めるメリットと魅力】
2023.11.10
一般にコーヒー豆をイメージするとその色は”茶褐色”ではないでしょうか。ご存知の人も多いかと思いますが、コーヒー豆の茶褐色は焙煎という工程を経て浮かび上がったものなのです。それでは本来のコーヒー豆の色は何色なのでしょうか? 本来のコーヒー豆は「生豆」として日本に輸入され主に焙煎所などに卸されます。生...…
関連キーワード
コーヒー, 知識の関連記事
  • 中国にもスペシャルティコーヒーはある?歴史や産地・種類をご紹介
  • ペーパードリップ入門
    おうちカフェをもっと楽しく!ペーパードリップのおいしい淹れ方
  • コーヒーの大部分を占める「水」は味にどのような影響を与えるのか?
  • 意外や意外のくり返し!日本のカフェの歴史とは
  • コーヒー豆の挽き方の種類とミル(器具)について

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう