立ち上るコーヒーの香ばしい匂い、穏やかに談笑する声、お湯の湧くコポコポという音。そんな環境で好きな仕事ができるなら、素敵ですよね。
自分のお店を持って、カフェを経営して、穏やかに暮らしたいと夢見る人は多いでしょう。しかし、カフェの経営を始めるために、何にどれくらいのお金が必要か、どういう資金調達の方法があるのかはあまり知られていないのではないでしょうか。そこでこの記事では
- カフェの経営にかかる費用
- 開店にかかる費用
- 資金調達方法
を紹介します。人生は、たったの一度切りです!憧れのカフェ開業プランを組み立ててみてはいかがでしょうか?
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目次
カフェの経営にかかる費用
カフェの経営で月々コストがかかるものとして、以下のものが挙げられます。
- 店舗維持費(家賃)
- 人件費
- 仕入れ費
- 諸経費(交通費など)
- 水道光熱費
運転資金と言われる支払いです。他にもWi-Fi、固定電話などの通信費、エスプレッソマシンや焙煎機などの設備費、広告費などがかかる場合もあります。改めて支出を計算しようとするとあまりに項目が多く、大変ですよね。
そこで目安として、飲食総合コンサルティング会社「コロンブスのたまご」さんのシミュレーションを紹介します。
- 人通りのある住宅街
- 10坪のカフェ
- 喫茶店を居抜きで開業
- 営業日数は月25日
- 家賃15万円
という設定の場合、月間予測売上高が137万円。そのうち119万円ほどが月々の支払いに消え、利益が18万円ほどという計算になっています。(参照:「カフェ・喫茶店を開業するには?」)
最も多くの支出を占めているのは、人件費、仕入れ費、賃料です。この3項目だけで95万円もの出費になります。
支出額トップ5
支出項目 | 支出額 |
人件費 | 450,000円 |
食材・ドリンク原価 | 350,000円 |
賃料 | 150,000円 |
減価償却費 | 82,917円 |
水道光熱費 | 50,000円 |
思ったよりもお金がかかってびっくりした、という方も多いのではないでしょうか。営業をするだけで、1か月100万円がかかってしまうのです。
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カフェの開店にかかる費用は大体「400~1500万円」
それでは、カフェの開店にはいくらかかるのでしょうか。
もちろんカフェの形態によって差がありますが、目安としては400万円~1500万円ほどです。移動カフェ、自宅カフェ、独立店舗カフェ。それぞれのカフェを開くにはいくら必要なのか見ていきましょう。
それぞれの費用の目安
例えば自宅でカフェを開業すれば、別途で家賃はかかりません。移動カフェなら家賃がかからない代わりに、車両代がかかります。このように、それぞれ一長一短があるものです。
それぞれ何にいくらかかるのでしょうか。こちらに関しては、ENECHANGE株式会社さんが出している試算を参考にみていきます。(参考:カフェの開業資金はいくら?夢が実現する知恵のまとめ)
移動カフェ
移動カフェでは、車両費(改造費含む)、消耗品費、広告宣伝費などを含めて、開店するのにおよそ400万円ほどかかる計算です。中でも費用がかかるのが車両費と運転資金です。モデルプランによると、
支出項目(上位3項目) | 支出額 |
車両費(車輌取得費、改造費、厨房機器導入費含む) | 200万円 |
運転資金 | 150万円 |
消耗品費 | 40万円 |
がかかるとしています。
ただし、運転資金は少々かかりすぎのような印象も受けます。先ほどの「コロンブスのたまご」さんの119万円を考えれば、総額350万円ほどに収められそうです。
さらに、車両を「ケータリングカー」ではなく「屋台式」にしたり、中古のケータリングカーを購入して改造費を浮かせたりすれば、さらに初期費用は安く抑えられる可能性があります。
自宅カフェ
自宅カフェの場合は自宅を使うのですから、安く済みそうなイメージがありますよね。しかし、内装工事や設備・備品導入費用などがかさみおよそ700万円かかるという試算に。特に内装工事にかかる費用が大きく、坪単価30万円×10坪で300万円かかると算出しています。
支出項目(上位3項目) | 支出額 |
内装工事費 | 300万円 |
運転資金 | 200万円 |
設備・備品導入費 | 150万円 |
内装工事に関しては、DIYで済む程度であればもっと安く済ませられるかもしれません。しかし、その場合は工事をするよりも時間と手間がかかります。開店時期までにどれくらいの時間と労力をかけられるかによって、金額が変わってきそうです。
独立店舗カフェ
最もお金がかかりそうなイメージの、独立店舗のカフェ。家賃を15万円とし、敷金、礼金、仲介手数料、内装工事を含めておよそ1500万円かかるという試算になっています。
そのうちの一年分の家賃、敷金、礼金、仲介手数料を引けば1290万円です(一月分の家賃込み)。支出項目のなかでは内装工事費が最も高く、600万円という試算になっています。
支出項目(上位3項目) | 支出額 |
内装工事費 | 600万円 |
設備・備品導入費 | 300万円 |
運転資金 | 300万円 |
ただし、運転資金がやはり多めに計算されている印象です。前述のコロンブスのたまごさんの算出、119万円で計算すれば、1100万円(一年分の家賃なし)~1320万円(一年分の家賃あり)で収まりそうです。
それぞれのスタイルで開業資金は大幅に変わりますが、いずれのパターンでも、個人の貯金だけで賄うのは難しいでしょう。そこで、開業する際には資金を借りる必要がでてきます。
開業資金が足りない!そんなときに利用できるクラウドファンディング
開業資金を集める手段としては、例えば
- クラウドファンディング
- 補助金・助成金
- 融資
などが活用できます。中でもクラウドファンディングは、銀行では通らないリスキーな事業でも資金調達できる可能性が高く、敷居が低いのが特徴です。はじめに、3つのクラウドファンディングを紹介していきます。
Makuake
Makuakeは総プロジェクト数1万件、毎月の新規掲載数400件など、規模の大きなクラウドファンディングです。
創業 | 2013年 |
掲載料 | 無料 |
手数料 | 成約時のみ、20% |
これまでに集まった応援購入の総額 | 200億円 |
サポート体制 | 担当スタッフが専属でついてくれる |
強み | PR力が強い。(メディア掲載数5000件以上) |
クラウドファンディングが初めてでも、広報、デザイナー、マーケティング、エンジニアなど様々な分野のスタッフがサポートをしてくれるので安心です。また
- BuzzFeed
- AbemaTV
- GoodsPress
などの有力メディアにも掲載実績があります。いち早く認知度を上げてファンを作りたい場合に、特におすすめです。
(公式ホームページ:Makuake)
MotionGallery
クラウドファンディングの中でも、特に早く・お得に資金調達ができるサイトです。
創業 | 2011年 |
掲載料 | 無料 |
手数料 | 成約時のみ10%(MotionGallery で5%+クレジットカードの決済手数料5%) |
目標金額 | 10万円~ |
サポート体制 | 専属スタッフがサポート |
強み | 自治体からのサポートもあり 例)東京都……資金にかかる手数料10%の1/2(30万円が上限)を補助など |
掲載 | 最短で翌日掲載も可能 |
他のサイトと異なるのは、なんといってもその掲載の早さとお得さ。他では審査で10営業日などの待機時間が出るのに対し、MotionGalleryでは翌日には掲載ができることも。かなりスピーディです。
また、クラウドファンディング・パートナーとして
- 東京都
- 和歌山県
- 広島県呉市
などの自治体も参加しており、手数料負担などのサポートを受けられる場合もあります。早く、お得に始めたいならMotionGalleryがおすすめです。
(公式ホームページ:MotionGallery)
A-port
朝日新聞社が運営するクラウドファンディングです。
掲載料 | 無料 |
手数料 | 20%(総支援額の15%+決済手数料5%) |
サポート体制 | プロジェクトの原稿を校正・編集してもらえる |
実施プロジェクトの掲載 | 7割ほどが、新聞本誌や朝日新聞デジタル、HUFFPOSTなどの媒体に掲載 |
アプローチ方法 | 新聞広告からの受付もOK。 コールセンター、現金書留での支援受付もしており、幅広い年代へアプローチ可能 |
A-portは新聞社のクラウドファンディングということもあり、発信力が強いのが特徴です。
特にネットを利用しない世代へのPR力が強く、コールセンターや現金書留での受付もあるなど、間口が広く取られています。幅広い年代にアプローチしていきたい場合におすすめです。
(公式ホームページ:A-port)
カフェの開店資金を調達したいときに利用できる補助金・助成金
次に、カフェの開業にどういう補助金・助成金が利用できるのかを紹介します。補助金・助成金は原則、返済義務がありません。ただし、お金は後払いなので、設備の導入費なども一旦は手持ちのお金で払う必要がある点に注意が必要です。開業に活用できる補助金・助成金には
- 創業支援等事業者補助金
- 生涯現役企業支援助成金
などがあります。助成の内容、金額、助成率(かかった経費のうち、補助をしてもらえる割合)は以下の通りです。
補助金・助成金名 | 助成の内容 | 金額 | 助成率 |
創業支援等事業者補助金 |
|
上限額1000万円 交付決定下限額50万円 |
人件費、事業費、委託費の各経費区分ごとで2/3以内 |
生涯現役企業支援助成金 |
|
起業者が60歳以上 :200万円が上限 起業者が40~59歳 :150万円が上限 |
|
(参考ホームページ:生涯現役企業支援助成金)
このほかにも、地方自治体が行っている助成金などもあります。例えば、東京都では東京都創業助成金などです。カフェを開きたい地域で独自の助成金を行っていないか、一度チェックしてみてくださいね。
カフェの開店資金を調達したいときに利用できる融資制度
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
などがあります。融資の内容、金額、返済期間は以下の通りです。
融資名 | 内容 | 金額 | 返済期間 |
新規開業資金 | 新しく事業を始めるため、あるいは事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金 | 7200万円(うち運転資金4800万円) | 設備資金:20年以内(うち据え置き期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据え置き期間2年以内) |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 新しく事業を始めるため、あるいは事業開始後に必要とする資金 (女性や、35歳未満か55歳以上の方向け) |
7200万円(うち運転資金4800万円) | 設備資金:20年以内(うち据え置き期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据え置き期間2年以内) |
(参考ホームページ:新規開業資金・女性、若者/シニア起業家支援資金)
あなたの開業プラン・カフェのスタイルにあった資金調達方法を選びましょう。
まとめ
カフェの経営・開業にはかなりのお金がかかります。設備などへの初期投資、人件費や家賃などの運転資金など、把握しておかなければならない支出は数多くありました。できることなら、貯金だけでやりくりできたら理想的ですよね。しかしいくら頑張っても、なかなか1000万円超の貯金をするのは大変です。
そこで「クラウドファンディング、助成金、融資などをどう活用するか」という点が、開業のカギとなってくるのです。ぜひ上手く活用して、カフェの理想的な開業プランを組み立ててみてくださいね。
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