昨今、キラキラネームなんてものが流行っているが僕は賛成派だ。
名前というのは人が一生背負わなければならない。変に意味のある名前や親の理想が込められた名前なんてエゴイズムではないか。だったら「響きが良い」とか「かっこいい」など単純な由来で名付けられた方が付けられた方も気が楽だ。
「珈琲」という名称はどうだろか。なんとなく意味がありそうな漢字が二つ並んでいるのだが、これにはちゃんとした由来があるという。ここでは珈琲という漢字のルーツを辿っていきます。
珈琲という漢字の成り立ちとは?
見慣れた「珈琲」という漢字ですが、「珈」・「琲」分割してみると、あまり日常的に使うことはありませんよね。それもそのはず、この二つの漢字は江戸時代に隆盛を誇った女性の装飾品「かんざし」が由来となる漢字なのです。
まずは「珈」という漢字から見てみましょう。こちら音読みだと「カ」ですが、訓読みだと「カミカザ(リ)」と読みます。さらに「玉を垂れ下げたかんざし」という意味も含まれています。
続いて「琲」という漢字です。琲には「玉を連ねた飾り」という意味が含まれています。
「珈」と「琲」。どちらにも“玉”が関連しています。この“玉”にこそコーヒーが珈琲と名付けられる理由となったのです。
珈琲という漢字が見立てたものとは?
“珈”は「玉を垂れ下げたかんざし」、“琲”は「玉を連ねた飾り」。
これだけ聞くとあの茶色い飲み物“珈琲”は連想しませんよね。珈琲という漢字は珈琲の元になる木“コーヒーノキ”を表しているのです。
確かに赤い実を付けたコーヒーノキは「玉を垂れ下げたかんざし」や「玉を連ねた飾り」にも見えます。珈琲という漢字は当て字ですが、しっかりと意味の込められたセンスのある言葉なのです。では、珈琲と名付けた人はどのような人なのでしょうか?
珈琲の名付け親 最有力説は宇田川 榕菴!?
珈琲の名付け親であるとされる宇田川 榕菴(うだがわ ようあん 1798年~1846年)は江戸時代の蘭学者です。珈琲の他に酸素や水素、窒素といった元素を和名に表記した始めての人物として知られています。
榕菴は養父の玄真と共に「家庭百科事典(オランダ語)」の翻訳の仕事を始めます。その中で榕菴はコーヒーノキのことを詳しく記述しており、珈琲に対して深い関心を寄せていたことが伺えます。また、榕菴はオランダ語の和訳辞書である宇田川榕菴自筆蘭和対訳辞書にコーヒーを“珈琲”と記しています。このことから珈琲は榕菴が考えた単語ではないかと推測されているのです。
ですが、これも一説に過ぎず、他の蘭学者である青木昆陽が考えたという説もあります。また、明治21年に日本で始めて開業した喫茶店「可否茶館」ではコーヒーを“可否”と表記しています。
命名というシステムを考える
「コーヒー」を「珈琲」と当て字したセンスは素晴らしいと思う。考えた人もさぞ「かっこいい当て字考えちゃったもんね!」と得意顔であっただろう。
このようにセンスがあれば言うことはないのだが、センスのない人間の命名ほど残念なものはない。また、センスのない人間ほどなぜか自信だけは満々で「あなたの名前はね...」などと語りだすから溜まったもんではない。
僕はセンスがないから子供に命名する際は無難な名前にすると思う。そして無難な人生ではなく、面白い人生を歩んでいってほしいと願う。