渋谷食品_森さんインタビュー

代々木公園の近くに焙煎所を構える「渋谷食品」の焙煎士、森さんへのインタビュー。

 

「コーヒーは好きなものを、好きなように飲んでもらいたい」。

 

25年以上もの焙煎歴を持つ、森さんならではのコーヒーへの想いを聞きました。

 

森さん プロフィール
森 良一 Ryoichi Mori

渋谷食品株式会社 焙煎部部長

焙煎歴25年

 

サービス業で別の仕事につくものの、通い続けたカフェのマスターとの出会いでコーヒーの道へ。銀座の珈琲屋で焙煎を学んだのち、 珈琲店トップにて15年店舗勤務、同時に新人社員の教育指導も行なう。その後、渋谷にて珈琲工房を立ち上げ、1年半をかけて伝統のメインブレンド忠実に再現。変わらない味と品質を保ちつつ、現在に至る。

 

その他、店舗の運営を行なっていた経験を活かし、計11店舗に開業指導。各店にオリジナルの珈琲を提供。

コーヒーの世界に足を踏み入れたのは、喫茶店のマスターとの出会いから

渋谷食品_森さんインタビュー

 

――― コーヒーを始めるきかっけとなった出来事は?

 

もともとサービス業をやっていたんですが、その時によく通っていた喫茶店がありました。3年ほど通いつづけ、いつの間にかマスターと自然と話すようになったのが「僕のコーヒー」の始まりだったと思います。

 

マスターは3店ほど喫茶店を運営している人で、それを知ったときに私は何を思ったのか「そのお店の1つを、自分でやってみたい!」と図々しくも、思ってしまったんですよ(笑)

 

それがコーヒーの世界を意識し始めたタイミング。21才ぐらいの時でした。

 

 

――― それからすぐに仕事を辞めてコーヒー業界に?

 

いえ、別の仕事をしていたので、すぐにやめて……ということではありませんでした。ただ、このままこの仕事を続けていていいのか? という疑問も抱いている時期ではあったので、タイミングを見てコーヒーの業界に飛び込みました。

 

入社してからは焙煎工場の見学(という名の研修)などをこなし、焙煎を習うために銀座の焙煎所に修行させてもらったりしていました。そこから15年ほどは焙煎士ではなく、店舗に立ってコーヒーを振る舞う人間として働いていました。

 

――― どのタイミングで今の焙煎士という立場になったのでしょうか?

 

会社が自社ビルを建てるタイミングです。

 

そのタイミングで、会社として自家焙煎をしていこう! という事が決まり、焙煎士に抜擢されたという経緯です。

コーヒーを辞めるのは「もったいない」そんな使命感もあり早25年

渋谷食品_森さんインタビュー

 

――― 焙煎士をずっと続けられている理由ってありますか?

 

辞めるのがもったいないと思ったからですね。

 

コーヒーが流行ったのってバブルの時期をイメージする方も多いと思うんですが、まさにその通りで。バブルの頃はコーヒー業界もイケイケで勢いがあったのですが、バブルがはじけた瞬間、色んな人が辞めていきました。店が収縮するとか、事業撤退するとかそんな話が四方から聞こえてきました。

 

ただ、私がいた店舗は60年も70年も歴史のあるお店だったので、バブルが崩壊したからってコーヒーを無くしてしまうというのは「もったいない」と思ってしまったんです。高品質な味を保てる人がいなくなったり、コーヒーを飲みに来たお客さんを満足させられないっていうのは嫌だな……と。かっこよく言えば、使命感というか、「俺がやらなきゃ誰もいないじゃん!」って気持ちでした。

 

少し大げさかもしれませんが、生活の一部としてコーヒーを飲みに来てくれる人や、憩いの場として来てくれていた人も沢山いたと思うんですよ、色んな人を支えてきたものを途絶えさせるのはもったいないじゃないですか。

 

コーヒーってそう簡単に誰でも美味しく焙煎できる! なんてものでもないので、辞めるなんて選択肢は無かったです。

他のコーヒー豆通販ではなく『Beans Express』に協力したのは「発想と熱意」

渋谷食品_森さんインタビュー

――― 今まで色んなコーヒー豆通販のお話を断ってきた。という話を聞きましたが、なぜ『Beans Express』には協力しようと思ったのですか?

 

Beans Expressは他のコーヒー豆の通販とは熱意も考え方も違ったからです。

 

大きな会社であれば、大量のコーヒー豆を作って、大量に売ることが第一優先で考える。逆に小さな会社であれば、コーヒー豆を少量売っても利益が上がらない。どうすればいいのかわからず、色々な問題を抱えて撤退……そんなイメージが容易に想像できました。あくまでコーヒーは商品であって、欲しいのは利益だけの会社が多いと感じていたんです。コーヒーが雑に扱われている感じがして、あまり気が乗らなかったっていうのが本音です。

 

しかしBeamsExpressは、そんな会社がたくさんある中でも、自分のコーヒーを真剣に扱ってくれました。熱意も伝わってきたし、純粋に協力したい!って思えたのが豆を提供しようと決意した一番の理由です。もちろん利益を出さないと始まらないので、できる限りのことは協力したいとは思っています。

 

あとは『BeansExpress』の仕組みというか、発想が面白いと感じたところですね。

 

 

――― 発想が面白いというのは、どういうところでしょうか?

 

BeansExpressの取り組みは、とにかく焙煎したてのコーヒーをすぐにお客様のもとへ届けるというものですよね。これって、実はコーヒー屋にとっては最善の状態で提供している形ではないんです。

 

コーヒーは焙煎してから数日経つと香りが引き立ち、味も十分に出るといわれています。焙煎してから数日置いてから提供する、というのがコーヒーの味としてはベストな状態ではあると思います。

 

しかし、焙煎したてのコーヒーをお客さんに届けると「コーヒーの味がどう変化するのか」をお客さんに楽しんでもらえるじゃないですか。

 

「焙煎してから何日経ったらこんな味になるのか!」

「焙煎したての味と比べると、2日経った味のほうが好みだな!」

 

そんな変化を楽しんでもらえるのも、なんだか面白いですよね。そういった点が、発想が面白いと感じたところです。

 

美味しいって感覚は、人によって違います。焙煎のプロやコーヒーのプロが美味しいコーヒーだと思って提供しても、お客さんがどう思うのかは正直わかりません。焙煎まではプロとしての役割をきっちり果たし、最高のコーヒーを提供します。ですが、細かい味の調整や好みは自分で探してみるのも楽しみ方として良いのでは? なんて思っています。

ブレンドコーヒーへのこだわり

渋谷食品_森さん

 

――― ブレンドコーヒーにこだわる理由ってありますか?

 

ブレンドは、自分自身が出せるところが好きだからですね。豆の配合とか、焼き方・焙煎の技術によって味が大きく変わるのでとても奥が深いです。

 

実は、自分のブレンドで納得したことは、今まで1回もないんですよ。自分の中でうまく焼けたとしても、飲んでくれる人が「美味しい」と言ってくれなければ意味がない。そう思うと、今よりも美味しいと思ってもらえるコーヒーを作ろう! とひたすら挑戦するので。

 

あと、ブレンドって10回作って10回とも違う味になるのでそのあたりも面白いところだと思います。

 

 

――― BeansExpressもブレンドコーヒーですが、やはり難しいですか?

 

とても難しいです(笑)

 

だって仕入れられる豆の質は、市場や季節、農場の状況によっていつも違うから。毎回どうすればいいブレンドができるのか試行錯誤しています。数粒単位の配合で味が変わる世界なので、きっとみなさんが考えているより焙煎って奥が深くて難しいですよ。

 

まあ、コーヒーを飲む人にとっては美味しければいいので、ただの苦労話だと思って流してください(笑)

最後に:コーヒーを飲んでくれるお客さんに一言

渋谷食品_森さんインタビュー

 

――― 最後にコーヒーを飲んでくれている人に向けて一言お願いします

 

毎日同じように淹れても、その日の体調や豆の状態によって味は変わってしまいます。同じものが二度と作れないからこそ、その1杯を大切にしてもらいたいです。この人と飲んだら、このカップで飲んだら、このタイミングで飲んだら……そんなことを感じながら味わっていただけることが、私にとってのやりがいになります。

 

コーヒーの飲み方は自由なので、自分が納得できる想いのこもったコーヒーを毎日飲んでもらえたら嬉しいと思います。

 

欲を言えば、そのコーヒーが私の作った『BeansExpress』であれば、もっと嬉しいです(笑)

 

 

【店舗情報】

 

会社名渋谷食品株式会社
住所151-0053東京都渋谷区代々木5-63-10
アクセス代々木公園駅から徒歩5
Tel/Fax03-3460-5951
営業時間平日・土 9:00-18:00
業務内容珈琲焙煎小売卸業

飲食店経営

主要取引先めいらく

キャラバンコーヒー

サンパウロコーヒーフーズ

 

コーヒー豆通販サイト「珈琲特急便 -Beaans Express-」

 

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