世界にひとつだけの味わい、コーヒーのオリジナルブレンドに挑戦してみよう!

    前回のコラムでは、アイスコーヒーの楽しみ方のひとつとして、コーヒーのオリジナルブレンドについて少しご紹介しました。

     

    →ある焙煎士の珈琲バナシ Vol.11

    「スペシャルティコーヒーでアイスコーヒーをもっとおいしく楽しもう!」

     

    でも、いきなりオリジナルブレンドを作ろうといわれても、どんな種類のコーヒー豆を選べばいいのか、混ぜる比率はどれくらいなのか、基本のレシピみたいなものがないと戸惑うばかりで挑戦しづらいですよね。

     

    そこで今回は、カフェカホン流のブレンドの考え方、豆の選び方をご紹介していきたいと思います。ぜひオリジナルブレンド作りの参考にしてみてください。

     

    まずはブレンドのテーマ決めから

    世界にひとつだけの味わい、コーヒーのオリジナルブレンドに挑戦してみよう!

    オリジナルブレンドを作る際は、最初に「こんな感じのコーヒーにしたい」というテーマを決めることから始めます。最初は大雑把で構いませんので、目指したい味や香りをイメージしてみましょう。

     

    たとえばこんな感じです。

     

    • 香りが良い
    • しっかりとした苦味がある
    • 甘みが感じられる
    • 明るく爽やかな酸味

     

    オリジナルブレンドは、これらのイメージに近いコーヒー豆を選ぶことが基本となります。

    ブレンドする豆にはそれぞれ「役割」がある

    世界にひとつだけの味わい、コーヒーのオリジナルブレンドに挑戦してみよう!

    当店ではコーヒーをブレンドする際、使用するコーヒー豆を以下の3つの役割に分類しています。

     

    ① 味わいのベースとなるコーヒー豆

    ② ブレンドの「顔」になるコーヒー豆

    ③ ②の特徴を引き立てるコーヒー豆

     

    この3つの役割を担うコーヒー豆がそれぞれ適切な割合で、なおかつコーヒー豆同士の相性が良いとイメージどおり、時にはイメージした以上においしいブレンドに仕上がります。

     

    ブレンドするコーヒー豆の種類が増えると、そのぶん味が複雑になりますが、同時に調整も難しくなるため、まずは2~4種類で試したほうが味をイメージしやすいと思います。

    実際にコーヒー豆を選んでみよう!

    世界にひとつだけの味わい、コーヒーのオリジナルブレンドに挑戦してみよう!

    では、これらの基本に沿ってオリジナルのブレンドを考えてみましょう!

     

    まずはブレンドのテーマ決め。今回は「爽やかで飲みやすいコーヒー」を目標にしてみました。このテーマにマッチしそうなコーヒー豆をイメージしながら、それぞれの役割も考えていきます。

     

    最初にもっともイメージしやすい②の「顔」になるコーヒー豆を選ぶのがわかりやすいと思います。

     

    今回は「爽やかさ」を出せるコーヒー豆ということで、私が真っ先に思いつくのは「浅煎りのグアテマラ」です。

     

    グアテマラはキレイな酸があり、爽やかな味わいのブレンドを目指すならもってこいの豆です。ただし、深煎りになるとこの豆の特徴である酸が消え、苦味が強く出てしまうので、焙煎度は浅煎り~中煎りのものをチョイスしてください。

     

    他には「エチオピア イルガチェフェ」もよさそうです。フローラルな香りに加えて、時折スパイシーにも感じられる酸があり、「顔」としての役割に適しています。こちらの豆を使う場合も浅煎り~中煎りがオススメです。

     

    次に、①のベースとなるコーヒー豆を選びます。①の豆は、②の特徴の強さに対してバランスを取るのが役割です。バランスを整えることで飲みやすくなりますが、同時に②の個性を薄めることにもなります。

     

    ブレンドのベースとなるコーヒー豆としては、ブラジルやコロンビアが一般的ですが、スペシャルティコーヒーにこだわるなら「カツーラ」という品種のコーヒー豆をオススメします。

     

    とくにコスタリカのカツーラ種はクリーンな風味のものが多いので、今回のブレンドのテーマである「爽やかさ」を邪魔せず、バランスを取るのに適していると思います。

    試飲で味をチェックしてみよう

    世界にひとつだけの味わい、コーヒーのオリジナルブレンドに挑戦してみよう!

    ①と②のコーヒー豆を決めたら、試しにブレンドして飲んでみましょう。ブレンドの割合は11で構いません。

     

    こうして実際に味わってみることで、自分がイメージしていた味にどれだけ近いか(または遠いか)がわかると思います。

     

    すでにこの段階でイメージにかなり近いと感じたら、これを完成としてもいいですし、豆の割合を変えて調整してみてもいいでしょう。

     

    ここで「何かもの足りない」とか「②が思ったほど目立ってない」と感じたら、③の「特徴を引き立てるコーヒー豆」の出番です。

     

    当店の場合、③のコーヒー豆には、②に似た印象を持つものを選ぶことが多いのですが、生産国をガラッと変えるとそれがアクセントになって味に厚みが増します。

     

    今回サンプルとしてご紹介しているレシピでは、

     

    ① コスタリカ(カツーラ種)

    ② グアテマラ

     

    と、どちらも中米産のコーヒー豆を使っていますので、まったく違うエリアのもので、アクセントを付けてみましょう。

     

    たとえばアフリカならエチオピアやルワンダ、アジアでは東ティモールの豆が②のキャラクター的にも似た傾向で、合いそうに思いました。

     

    なかでも近年の東ティモールのコーヒーは、とても爽やかな酸で雑味が少なく、お茶を思わせる香りもあって今回のブレンドのイメージにピッタリです。というわけで、今回は東ティモールを加えてみます。

    ブレンドの割合が味を決める

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    コーヒー豆のチョイスが決まったら、次はいよいよブレンドする割合の決定です。この割合によっても味が大きく変わりますので、試飲を繰り返しながら調整していきます。

     

    使用するコーヒー豆は以下。「爽やかで飲みやすい」のテーマに合わせ、焙煎度はすべてシティロースト(中煎り)としました。

     

    ① コスタリカ(カツーラ種)/シティロースト

    ② グアテマラ/シティロースト

    ③ 東ティモール/シティロースト

     

    まずは、すべての豆を111でブレンドし、試飲してみましょう。ここで感じた印象を元に豆の割合を調整していきます。

     

    「コクが強い」と感じた場合は、①を減らして味を調整。「香りはいいけどキレやスッキリ感が足りない」なら、②を増やして(または①と③を減らして)121で試してみましょう。

     

    なお、今回のレシピで当店がオススメする割合は「コスタリカ2:グアテマラ2:東ティモール1」です。ややコクが強めのブレンドになっていますので、もう少しマイルドな味がいいな、という方は、上記のようにコスタリカの割合を減らすなどで調整してみてください。

     

    このように強調したい豆の割合を増やし、逆に強すぎる豆は減らすことで味を決めていきます。割合の調整と試飲を繰り返して、目標の味に近づけていきましょう。

     

    いろいろ調整してもイメージした味にならないという時は、思い切って豆のチョイスを変えてみるのも方法のひとつ。どれか1種類を変えるだけでもだいぶ印象が変わりますので、しっくり来ない時には試してみてください。

    淹れてみないと分からないのも魅力!

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    コーヒーのブレンド作りは、味をイメージしながらどの豆を使うか考えることも楽しいですが、実際にブレンドしたものを淹れて飲んでみないと、本当に狙い通りに出来ているかわからない。そこもまた面白さのひとつです。

     

    半端に残ったコーヒー豆を、新しく買ってきた豆と混ぜて淹れたらおいしかった、なんてことも意外と少なくないですし、個性の強い豆同士をブレンドしたら何故かスッキリ飲みやすくなった、というのもコーヒーにはよくある話です。

     

    まさに淹れてみないとわからない、玉手箱のような楽しさこそがブレンド作りの魅力。うまくいかないこともあると思いますが、それは私たちプロでも同じこと。失敗も含めて楽しむくらいの気持ちで挑戦してみてください。

     

    コーヒーのブレンド作りに決まった正解はありません。自分でブレンドして、おいしいと感じたらそれでOK! まずは余ったコーヒー豆で気軽に試してみてください。コーヒーの楽しみ方がさらに広がりますよ。

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