コーヒーの名前って長くて呪文みたいと思ったことありませんか?

     

    当店のようにスペシャルティコーヒーの自家焙煎店ですと、「見たことのないコーヒーの名前が多い」といわれることがあります。

     

    とくにスペシャルティコーヒーは名前が長く、耳慣れない言葉も多く含まれますので、ここで一気に読み解けるようにしちゃいましょう!

     

    スペシャルティコーヒーの名前で生産者が分かる

    まず、スペシャルティコーヒーと他のコーヒーは何が違うの? ということですが、素材として見た場合、「質の高さ」が違います。

     

    スペシャルティコーヒーは一般的なコーヒーに比べ、はるかに上質で、味や香りも一級品です。

     

    さらにもうひとつの大きな違いとして、スペシャルティコーヒーは「生産者がどこの誰か分かる」ということも挙げられます。

     

    最近日本では「顔の見える野菜」が一般的になり、一部の農作物では生産者さんの名前や顔写真を明示するのが、ごく当たり前のことになってきています。

     

    スペシャルティコーヒーの場合、名前がそうした情報を兼ねており、名前を見れば生産者まで辿ることができるのです。

     

    これはスペシャルティコーヒーがひとつの農園で収穫された1銘柄の豆だけで構成されているからこそできること。

     

    こうした豆は「単一農園(シングルオリジン)」とも呼ばれ、最近ではスペシャルティコーヒーとほぼ同じ意味で使われています。

     

    では、ここでスペシャルティコーヒーの名前の一例を見てみましょう。

    この①~④をひとまとめにした「コスタリカ ラ・カンデリージャ農園 カツーラ/ウォッシュト」が名前で、店頭でもこの名前を掲示しています。

     

    しかしこれ、すごく長いですよね。これを見てもワケが分からない人が多いと思います。

     

    ですが、単語ごとに区切ってみれば、じつはそれほど難しくありません。以降で簡単に解説していきます。

    国、農園名を覚えておけば大丈夫!

    まずは①、②の部分です。

     

    ①は「生産国の名前」で、どの国で作られたコーヒーであるか、②は「農園の名前」で、その国のどこの農園で作られたかを表しています。

     

    従来のコーヒーは、ほとんどが①の国名をそのまま商品名として付けていました。

     

    身近なところで日本のお茶に例えると、静岡産か鹿児島産かその両方が混ざったものか、正体はわからないけど商品名は「日本茶」みたいな状態ですね。

     

    スペシャルティコーヒーが違うところは、必ず名前に②も付いていること。

     

    これにより「農園名が分かる=生産者が分かる=単一農園のコーヒー」と出自を証明しているわけです。

     

    というわけで、スペシャルティコーヒーの名前は、「国の名前+農園の名前」で1セットと覚えてください。

    コーヒーにも品種があるんです

    ③、④は少々細かい話になってきますが、覚えておいて損はないので、ぜひご一読ください。

     

    まず③ですが、これは「品種の名前」です。

     

    品種については、お米をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

     

    皆さんご存じの「コシヒカリ」や「あきたこまち」、最近人気の「ゆめぴりか」など、お米にもいろいろな名前がありますが、これらはすべてお米の品種の名前です。

     

    これと同じように、コーヒーにもさまざまな品種があります。

     

    例に挙げた「カツーラ」の他にも、「ティピカ」や「ブルボン」、「パカマラ」などはメジャーな品種で聞いたことのある方もいるかと思います。

     

    希少豆として話題に挙がることの多い「ゲイシャ」も品種の名前です。当然ですが、これらの品種によってコーヒーの風味は異なります。

     

    農園によっては複数の品種を生産しているケースもあるので、品種を明確にするために③を表示しているわけです。

     

    しかし多くの場合、農園の代表的な品種は決まっていて、いくつもの品種を流通しているところは少ないので、基本的には①と②を覚えておけば大丈夫。

     

    興味が湧いたら注意してみるくらいでいいでしょう。

    作り方によって風味が大変身!

    ④は、「精製方法の名前」を表しています。精製方法というのは、コーヒー豆の作り方のことです。

     

    収穫時のコーヒーは赤い実の果実で、中にある「種」がコーヒー豆になります。その種を果実から取り出し、乾燥や焙煎を経て、皆さんのよく知るコーヒー豆へと生まれ変わるわけです。

     

    精製とは、このうちの実から種を取り出す工程のこと。

     

    精製方法にいくつか種類があり、これによって風味の出方がまったくといっていいほど変わってきます。

     

    種類としては以下の3つを押さえておけばOKでしょう。

     

    ウォッシュト=一般的に行われている精製方法。クリーンでコーヒーらしい風味。

    ナチュラル=まったく水を使わない精製方法で、フルーティで個性的な風味になる。

    ハニープロセス=ウォッシュトとナチュラルの中間。独特な甘みのある風味になる。

     

    味の好みが分かれるポイントでもあるので、お店でも注目して見てください。

    まずは農園名まで読んでみよう!

    ここまで読んでは見たものの、「やっぱり難しい!」と思われる方もいるかもしれません。正直なところ僕も一度見たり、飲んだりしただけではなかなか覚えられません。

     

    そこで、まずは基本である「生産国+農園名」にフォーカスを絞ってみましょう。実際に飲んでみて、おいしいと思ったコーヒーは、意外とすんなり農園名まで覚えられたりします。

     

    お気に入りのコーヒーの名前を覚えておけば、初めて訪れたお店でも安心して注文できますし、味と名前が一致するコーヒーが増えることで楽しみの幅もぐんと広がるはずです。

     

    皆さんもぜひチャレンジしてみてください!

     

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