ドローンの普及が進む中、コスト削減と人手不足の解消にドローンを導入している企業が増えています。物流サービスや農薬散布など、さまざまなビジネスに利用されているドローンですが、オーストラリアの一部では、コーヒーのドローン配達が試験的に開始しました。
まるで映画の世界のような話ですが、いったいどのようなサービスなのか、どのような課題があるのかについて本記事で詳しくご紹介します。
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目次
オーストラリアの空飛ぶコーヒー
2018年8月アメリカに本社を置くIBMは、カフェインを必要とする人のもとにドローンでコーヒーなどのドリンクを届けるサービスの特許を取得しました。IBMによるこのサービスの実用化はいまのところまだ実現していませんが、Google社の親会社が別のドローン配達サービスの試験運用を先にスタートさせました。
アプリで注文すればドローンがお届け
「プロジェクト・ウィング」と名づけられたコーヒーのドローン配達の試験運用には、首都キャンベラ郊外に住む160世帯が対象として選ばれました。アプリを通してコーヒーを注文すれば、地元のドライブスルーショップ「Kickstart Espresso」で直ちにコーヒーが作られます。その後、淹れたてのコーヒーがドローンによって届けられます。
GPSによる自律飛行で熱々のコーヒーが手元に
人が操作しなければいけないドローンが多い中、「プロジェクト・ウィング」で用いられるドローンは自律飛行が可能です。搭載されたセンサーによって障害物を巧みに避け、自動的に飛行するタイプのドローンは、GPSを使って着実に注文者のもとにコーヒーを配達します。時速130kmで飛行するため、ホットコーヒーは熱々のまま、アイスコーヒーは冷たいまま受け取ることができるとのこと。
「配達中にこぼれてしまわないの? 」と心配になる人もいるかもしれませんが、ご安心を。カップの飲み口にはしっかりと栓がされており、ドローンがどんな走行をしても、カップからコーヒーがこぼれてしまわないように工夫がされています。
ドローン配達のこれからの課題とは?
ドローン配達サービスを実際に利用した人たちは、どう評価しているのでしょうか? 利用者たちの声とドローン配達のこれからの課題をご紹介します。
ドローン特有の音を気にする住民も
コーヒーのドローン配達が試験運用される前、「キャンベラが試験運用の地に選ばれてうれしい」という意見のほかにも、さまざまな意見が飛び交いました。単に面白いアイデアと見なすだけではなく、コーヒーがこぼれて落ちてくるのではないか、ドローンの衝突事故が起こるのではないかと不安を抱く人も少なくありませんでした。
しかし幸いなことに、サービス開始から現在に至るまで特に大きな苦情は寄せられていません。唯一の苦情といえば、ドローンが飛行するときに発する音です。そもそもドローンの名称はミツバチの雄に由来しており、ミツバチのブンブンという羽音とドローンの飛行音が似ていることから名づけられました。
通常、ドローンが飛行するときに出す音は80デシベルといわれています。80デシベルといえば、走行中の電車内やパチンコ店内と同じくらいの音の大きさをイメージできるでしょう。小さなドローンが一生懸命コーヒーを配達している姿は微笑ましいかもしれませんが、ドローンが発する騒音を気にする住民は意外と多いようです。
コーヒーをドローン配達するメリットの少なさ
法整備をはじめ、安全性や受取人の本人確認など、これからドローン配達が普及するまでにクリアしなければならない課題は山積みです。それに加え、コーヒーをドローン配達するメリットの少なさを指摘する声も。ドローン配達のメリットとして、人件費の削減と配達時間の短縮が挙げられます。もちろん、コーヒーが今すぐに飲みたいのに近くにカフェが見つからない場合などには、コーヒーのドローン配達サービスが重宝するでしょう。
しかし一般的に、コーヒーを愛する人々の多くは、コーヒーを口にするまでのあらゆる過程や手間ひまを愛してやまないものです。お気に入りのカフェに足を運ぶことや自宅でコーヒーを淹れることが、ストレス解消に繋がっている場合も少なくないはず。一見すると便利なように思えるドローン配達。実用化されれば、物珍しさから最初のうちはサービス利用者を獲得できるかもしれませんが、利用者側にそれほど大きなメリットがないため一過性のブームで終わってしまう可能性もあります。
空飛ぶコーヒーを体験できる日も近いかも
カフェが近くにない場合のほかにあまりメリットがないとはいえ、ドローンが自分のいる場所までコーヒーを配達してくれればやはりワクワクしてしまうはず。自動販売機やコンビニがどこにでもある日本でのサービス開始は難しいかもしれませんが、海外でサービスが定着すれば旅行中などの機会に利用できるかもしれません。
空飛ぶコーヒー、海外でのこれからの展開に注目したいですね。
参照サイト:https://sprudge.com/