地球

宇宙ビジネスと聞くと宇宙旅行や通信衛星、ロケット開発などを思い浮かべる人が多いかもしれません。現在、宇宙ビジネスの市場規模は世界的に増加の一途をたどっており、宇宙業界は今後ますます成長する見込みです。

 

そんな中、宇宙とコーヒーを結び付けてビジネス展開を行おうというベンチャー企業が登場しました。本記事では、世にもめずらしい「宇宙コーヒー」についてご紹介します。

宇宙科学とコーヒーへの愛が詰まった宇宙コーヒー

ロケット

宇宙ビジネスへの熱が高まっている中、アメリカのベンチャー企業のひとつ「スペース・ロースターズ社」が、宇宙で焙煎したコーヒーの販売を計画しています。奇抜なアイデアから生まれた宇宙コーヒーとは、いったいどんなコーヒーなのでしょうか?

無重力空間で焙煎するから均等に熱を与えることが可能

コーヒーの味わいはほぼ焙煎で決まる、といわれています。コーヒー生豆の種類や鮮度、淹れ方等もコーヒーの味を左右しますが、コーヒー独特の香りや風味を引き出すには焙煎作業がどうしても欠かせません。

 

2018年に行われた国際宇宙会議で、スペース・ロースターズ社は専用のカプセル容器を使って宇宙でコーヒーを焙煎する計画を発表しました。同社のCEOであるハテム・アルカフジ氏は、コーヒーを宇宙の無重力空間で焙煎することで均等に熱を与えることができ、完璧な焙煎を行うことができると説明しています。

酔狂だけど話題性抜群なコーヒー

宇宙開発に詳しい専門家の中には、スペース・ロースターズ社が発表した宇宙コーヒー計画について、「技術的にも経済的にも意味があるのかどうかわからない計画だ」と評価している人もいるようです。

 

確かに、無重力空間で焙煎することで本当に完璧なコーヒーができあがるのかどうか疑わしいところ。しかし、宇宙コーヒーは、宇宙技術を駆使して作られる新時代のコーヒーとして話題性はバッチリなのではないでしょうか。

宇宙でコーヒーを焙煎するしくみとは

コーヒー豆

かつてないほど壮大な宇宙コーヒーの計画ですが、どのように行われるのでしょうか。そのしくみについてご説明します。

大気圏に再突入した際に発生する熱を利用

「スペース・ロースティング・カプセル(SRC)」と呼ばれる専用カプセルに詰められたコーヒー生豆は、宇宙に打ち上げられた後、高度200km地点でロケットから切り離されます。カプセルは落下しながら大気圏に再突入し、その際に発生する熱で焙煎されます。

 

気体には、押しつぶされると熱を発生する性質があります。カプセルが地球に帰還するときに大気圏に再突入しすごい勢いで空気を押しつぶすと、空気中の分子が激しくぶつかり合うことで熱が発生することに。

 

そうしてカプセル内が200℃という高温に保たれ、無重力状態により回転したコーヒー生豆が均等に加熱されて、「完璧に焙煎されたコーヒー」が完成します。その後、海上に着水したカプセルは速やかに回収され、宇宙コーヒーとして提供されることになります。

ドバイで提供される宇宙コーヒーのお値段は?

ドバイ

2020年には本格的に打ち上げを開始し、アラブ首長国連邦に属するドバイで提供される予定の宇宙コーヒー。「いったいどんな味がするんだろう? 」と思う人も多いでしょう。味と同様、気になるのがその販売価格です。宇宙空間で焙煎された手摘みのオーガニックコーヒーは、はたしていくらするのでしょうか?

一杯約200ドルから500ドル以上の可能性も

現在スペース・ロースター社は、宇宙コーヒーの価格を明らかにはしていません。しかしながら、科学技術関連のニュースサイト「Ars Technica」は、打ち上げコストだけでも一杯200ドルはくだらないと見ています。カプセル開発や落下したカプセルの回収コストなども含めると、一杯500ドルを超す可能性もあると予想しています。

 

もしも、宇宙コーヒーの提供価格が一杯約200ドル~500ドル(日本円で約2万~5万円以上)もするのであれば、コピ・ルアックやブラック・アイボリーよりもさらに高額なコーヒーが誕生することに。

 

宇宙コーヒー計画の本格始動は2020年からですが、2019年には試験打ち上げが行われ、同年にスペース・ロースターズ社の公式サイトにて先行販売が予定されています。宇宙コーヒーがドバイをはじめ、世界的なヒット商品となるのか、これからの動向に注目したいですね。

 

関連記事:【高級コーヒー:コピ・ルアク】味や特徴は?気になることについてまとめてみた

関連記事:コピルアクよりも高い?象の糞からできる最高級コーヒー「ブラックアイボリー」とは

コーヒーを飲みながら宇宙に思いを馳せてみては

天の川

一杯の販売価格が、とてつもなく高額になるであろうと予測できる宇宙コーヒー。コーヒー好きとしては、宇宙マジックとも呼ぶべきコーヒー生豆の完璧な焙煎具合が気になるところです。まずはドバイでの販売が計画されている宇宙コーヒーですが、今後日本で販売される可能性もなきにしもあらず。広大な宇宙に思いを馳せながら、大気圏再突入の熱で完璧に焙煎されたコーヒーを味わってみるのも、良い話のネタになるのではないでしょうか。

 

参照サイト:https://www.space.com/

https://arstechnica.com/

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