アメリカの数ある都市の中で、人口一人当たりのコーヒーショップ数が一番多いといわれるマサチューセッツ州ボストン。
本記事では、そんなコーヒーショップ激戦区の都市で、おいしいと評判のスペシャルティコーヒー専門の老舗コーヒーロースター『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』をご紹介します。
目次
『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』とは?
『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』(以下、バリントン・コーヒーと表記)はバークシャー郡リーにロースタリーを、そしてマサチューセッツ工科大学やハーバード大学などの有名大学がある州都ボストンにトレーニングセンターを構えています。およそ30年の歴史を誇るこのコーヒーロースターの歴史は、どのようにしてはじまったのでしょうか?
地元の人々に愛される『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』
バリントン・コーヒーは、グレッグ・シャルボノーさんとバース・アンダーソンさんにより、1993年に設立されました。大学時代に出会った2人は、お互いに大のコーヒー好きですぐに意気投合します。
バリントン・コーヒーでヘッドロースターを務めるバースさんは、14歳のときからコーヒーに魅了されたといい、それ以来コーヒーに全情熱を注いできました。
コーヒーの品質に徹底的にこだわるバリントン・コーヒーでは、巨大企業とは一線を画し、その日生産する分のコーヒー生豆だけを取り分けて焙煎します。毎日少しずつ焙煎するのは手間が掛かる作業ですが、そうすることでコーヒーを愛する人々の手元に本当に新鮮なコーヒーを届けることができます。
このように手間を惜しまないバリントン・コーヒーの仕事に対する姿勢は、彼らが製造するコーヒーの味にダイレクトに反映されているといえるでしょう。
僕らにとって一番の課題となっているのは、調達したコーヒーをどのように焙煎するかということです。 ひと口にコーヒーといったって、みんな同じではない。
時間や温度、熱や気流に対する反応はみんな違っていて、だからこそ新しいコーヒーが手に入るたびに、どうやって焙煎すればベストだろうか? と試行錯誤を繰り返します。
すばらしいコーヒーの魅力をさらに引き出し、輝かせるのが僕たちに与えられた使命です。注文が入ってから焙煎をはじめ、その日の注文に合わせて必要な量だけ焙煎するのもそのため。
12オンスでも1200ポンドでも、毎日注文を受けてからコーヒーを焙煎するために、サイズの異なる3台のコーヒーロースターを稼働させて仕事を行っています。
と、グレッグさんはあるインタビュー記事の中で述べています。
コーヒー教育に心血を注ぐ『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』
バリントン・コーヒーはボストンにトレーニングセンターがあるほか、ロースタリーを構えるバークシャーにもトレーニングセンターを有しています。
それぞれのトレーニングセンターでは、コーヒーの歴史、系統、生産地、加工、焙煎、有機的なプロファイリングについて学べるほか、プロのテイスティングメソッドとカップの品質を評価する方法を学ぶことが可能です。
そのほかにも、エスプレッソマシンやグラインダーの操作方法、ショットの準備の仕方、フォームミルクの作り方、器具の洗浄方法やメンテナンスについて学ぶワークショップが開講されています。
バリントン・コーヒーが提供する最新のカフェ環境施設でコーヒーのプロフェッショナルから学ぶことで、バリスタに必要な知識や技術が身に付くのはもちろん、自宅でおいしいエスプレッソを淹れるのに役立つ事柄を習得できます。
■バリントン・コーヒーの歴史を詳しく知るには?
バリントン・コーヒーの歴史をもっと知りたい方は、レベッカ・グレイ(Rebecca Gray)さんの著書『American Artisanal: Finding the Country's Best Real Food, from Cheese to Chocolate』を手に取ってみてはいかがでしょうか?
狩猟と釣りの雑誌「Gray's Sporting Journal」を創刊した筆者が2008年に出版した本書では、バリントン・コーヒーの歴史を語るのに丸々1章が費やされています。
高く評価される『Barrington Coffee Roasting Company(バリントン・コーヒーロースティング・カンパニー)』のコーヒー
1990年代初めから、何世代にもわたる家族経営のコーヒー農園や信頼できるコーヒー栽培協同組合からコーヒーを調達しているバリントン・コーヒーでは、コーヒー本来の品質を際立たせるような焙煎を心掛けているといいます。
ここでは、コーヒーの品質分析審査で常に90点以上のスコアを獲得している、バリントン・コーヒーのコーヒーについてご紹介します。
最高のコーヒーは品質第一
バリントン・コーヒーが高く評価されているのは、創立当初から妥協しない姿勢を貫いているからでしょう。
ヘッドロースターでもあり、コーヒー生豆のバイヤーでもあるバースさんは、世界中にある40以上のコーヒー農園と直接取引をしています。
自ら生産地に赴いて収穫されたコーヒーの質を確認するのは、なによりも品質を重視しているからにほかなりません。
シーズンごとに最高品質のコーヒーを調達した後、バリントン・コーヒーの焙煎チームにとっては、カッピングルームでサンプルを並べてからが正念場です。みんなが納得するコーヒーを手に入れることができたのかどうかを確認し合い、次に焙煎の度合いを決定します。
それは必ずしもすべてのコーヒーに適した焙煎度合いではありません。
例えば、少し果実味があるから、ちょっと浅めにローストするともっとおいしくなるんじゃないか? なんて考えながら焙煎していきます。
みなさんご存じのように、ワインは同じブドウの木からできるものなのに異なる条件で育てると、まったく異なる結果が得られるでしょう?
じつはコーヒーもワインと非常に似ていて、異なる気候、異なる土壌、異なる降雨量や日照量で育ったり、収穫や加工、取り扱いの丁寧さによってコーヒーの風味は劇的に変化します。
これはまさにロマンだと思うんです。
と、グレッグさんは語っています。
2021年「コーヒーレビュー」で第2位にランクイン
コーヒーの特徴を活かした焙煎が特異なバリントン・コーヒーは、アメリカの権威ある「コーヒーレビュー(Coffee Review)」が発表した、『2021年トップ30コーヒー』で第2位を獲得しました。
93点を獲得したバリントン・コーヒーの「ザ・ナチュラル」(エスプレッソとして評価)は、ドライハイビスカス、ラズベリージャム、カカオニブ、糖蜜の風味が特徴です。ふっくらと滑らかな口当たりで、フローラルとベリーの豊かな酸味が感じられます。
97点を獲得した「テスティ・アイラ・ダブル」は、ライラック、ジャスミン、ホワイトネクタリン、フレッシュカットバジル、ピンクペッパーコーンの香りが特徴です。繊細でまるでサテンのような口当たりのこちらのコーヒーは、果実と花の香りの余韻を楽しめます。
93点を獲得した「サダクラーニ」は、チェリー、レモンタイム、タイガーリリー、ワイルドハニーの風味が特徴です。甘く爽やかな酸味とシロップのようなまろやかな口当たりで、とくにハチミツとハーブの香りが強く感じられます。
■コーヒーレビュー(Coffee Review)とは?
コーヒーレビューは、1997年にケネス・デイヴィッドさんとロン・ウォルターさんによって設立されます。
スペシャルティコーヒー業界で初めて、100点満点評価スタイルのコーヒーレビューを行い、現在ではアメリカのみならず世界でも影響力を持つコーヒー購入ガイドとして知られるようになりました。
コーヒーレビューでは編集長のケネスさんを中心に、毎月カッピングに基づいたテイスティングレポートと関連レビューが発行され、世界最高のコーヒーを紹介しています。
新たな試みニトロコーヒー「Quivr」
ニトロコーヒー(ナイトロコーヒー)とは、コールドブリューに窒素ガスを注入したコーヒーのことで、きめ細やかでクリーミーな泡が特徴です。バリントン・コーヒーの新しいプロジェクトとして誕生したのは、缶入りのニトロコーヒー「Quivr」。
バリントン・コーヒーでは、新しいプロジェクトを始めるに当たって、低温抽出に最適なコーヒーを探すのに何年も費やしてきました。慎重に選ばれたコーヒー生豆はバリントン・コーヒーで焙煎され、厳格な条件のもとで20時間以上かけてコールドブリューされます。
最後に缶に窒素を注入すれば、缶入りニトロコーヒーの完成です。
飲む前によく振ってから逆さにしてグラスに注ぐと、絹のように滑らかな泡のテクスチャーとほろ苦いチョコレートとローストナッツの味わいが口いっぱいに広がります。
この缶入りニトロコーヒー「Quivr」は記録的な速さで完売したようですが、バリントン・コーヒーではさらにすばらしいコーヒーを開発中とのこと。発表されるのを楽しみに待ちたいですね!
参照サイトURL:
https://berkshirefoodandtravel.com/
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