近年様々な業界から注目を浴びる「サステナビリティ」すなわち、地球環境を壊さない、資源を使い過ぎない活動がコーヒー業界でも加速している。
コーヒー業界でその先陣を切っているのが、今年の4月に「UCCサステナビリティ指針」を発表したUCCホールディングス株式会社(以下UCC)だろう。
UCCは、「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」というビジョンを掲げ、コーヒー業界やコーヒーファンの方々に「UCCサステナビリティ活動」を知ってもらいたいと、10月12日 (水) 〜 14日 (金) まで開催されていた『SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2022(以下SCAJ)』に「UCC's sustainability」というテーマのブースを出展した。
UCCが目指す目標
3つのサステナブル要素「人・地球・製品」を基に考え、
「自然を豊かにする手助けを」と「人々を豊かにする手助けを」を大目標に掲げ、
サステナブルな調達、健康と教育の推進、環境保全、カーボンニュートラルの実現を通じ、サステナブルビジョンの達成を目指していくという。
2030年までに「人々を豊かにする手助けを」、2040年までに「自然を豊かにする手助けを」にチャレンジしていく。
2030年までのビジョン
1:自社ブランドを100%サステナブルなコーヒー調達に
サステナブルなコーヒーとは、UCCが定める3つのサステナブル要素を含む基準を元に調達された豆を指す。
また、「サステナブルなコーヒー調達」独自のロゴを作り、UCCが考える基準を元に調達されたコーヒーであること、つまり、より良い地球環境、よりよい生産者の生活に繋がるコーヒー豆であることをお知らせするコミュニケーションロゴを制定した。サステナブルに調達されたコーヒー豆を50%以上使用する製品に表示する。
2:健康・教育分野で社会に大きなインパクトを
サステナビリティ教育受講者数30万人を目指して2つの取り組みを行っている。
①オンラインセミナー
UCCは2021年より、中学・高校・大学を対象に、コーヒーから考えるSDGsをテーマに世界のコーヒー生産国での実際の取り組みや、消費国日本での取り組み等のオンラインセミナーを開催している。
2021年度は受講者数1,035人、受講校15校の実績を残している。
②学校への教材提供
学習教材を、中学校の地理や道徳に加えて、高校の現代社会など幅広い教科に向けて提供している。
2040年までのビジョン
コーヒーができるカーボンニュートラルへの取り組み
UCCは2040年までに「カーボンニュートラルの実現」を目標に取り組んでいる。世界で最も大きな課題の1つとなっている気候変動は、コーヒーの生育環境も影響を大きく受けている。そうした環境の中、温室効果ガスの削減対応を行っていくという。
具体的には、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にする「水素焙煎機」の開発や、太陽光・水力等の再生エネルギーの活用にチャレンジしていき、「UCC山梨焙煎所」を新設し、開発研究を進めていく事を決定しました。。
コーヒーの焙煎プロセスの熱源には一般的に天然ガスが使用されている。UCC山梨焙煎所においてはCO2を排出しない水素を熱源とする水素焙煎機及び、水素供給システムの開発・実装を進めていく。2040年までに100%再生エネルギーを使用し、「カーボンニュートラルなコーヒー製造」を目指す。
しかし、その一方で水素焙煎にはまだ課題も多い。コーヒー特有の味や香りを引き出すため、火力コントロールが従来のガス焙煎に比べ、約4倍のエネルギー量が必要になるという。
今回、SCAJのUCCブースでは水素焙煎機の試作機で焙煎したコーヒーを試飲することができた。クセがなくすっきりとした口当たりの飲みやすいコーヒーで十分に美味しく飲めたが、まだまだ進化していくという。技術的なハードルは高いかもしれないが、水素焙煎の技術が発達した時、新たなコーヒーの時代が始まるのではないかと思うとワクワクする。
今後、UCCのサステナブル活動に期待が高まる。