スポーツや音楽・映画・ファッション、その他文芸――あらゆるものにコンテストがあります。そして、例に漏れずコーヒーにも国際的なコンテストがあるのをご存知でしょうか。

 

そのコンテストとは、カップ・オブ・エクセレンス(以下、COE)というものです。

 

得てして食に関するコンテストは美味しいかどうがを競うのが一般的ですが、COEの審査基準は“コーヒーの美味しさだけ”ではありません。あらゆる面から審査され、『優秀なコーヒー』を選出するのです。COEの開催はコーヒー農園や豆の輸入業者、カフェは勿論、巡り巡って私たちにも恩恵があるのです。

 

ここではCOEの誕生の経緯や審査基準について解説していきます。

COEが誕生した経緯

初めてCOEが開催されたのは1999年。「わりと最近だな」と思う人もいるかもしれません。

 

COEが誕生した経緯は複数あり、大きく分けて『優秀なコーヒーの選定』と『農園の問題』に分けられます。

優秀なコーヒーの選出とコーヒー産業の活性化

コーヒーの歴史はそれこそ数百年と長いのに、美味しさを競うコンテストの歴史が20年そこそこというのは意外ですよね。コーヒーは長年人々に親しまれてきましたが、あくまで“気軽な飲み物”というイメージが定着していました。

 

しかし、セカンドウェーブやサードウェーブの到来によりコーヒーは気軽な飲み物という枠だけに収まらなくなり、美味しいコーヒーの探求――COEが誕生しました。また、コンテストを作ることでコーヒー産業の活性化を図るという目的も含まれているのです。

コーヒー農園の実情を改善するため

日本国内でも農家の人手不足や食料自給率減少、TPPによる影響などが問題視されていますよね。確かに由々しき事態ではありますが、コーヒー農園の実状はさらに悲惨なものです。

 

コーヒー農園の多くは途上国が多く、日本では考えられないような劣悪な労働環境のもとコーヒーが作られています。その一番の原因はコーヒー豆の買い叩きが横行していることです。これにより困窮した一部の農園では、強制労働や児童労働など非人道的な経営をせざるおえない状況が今も続いています。

 

また、コーヒー豆は質よりも量を重視され農園側は化学肥料や農薬を過剰に使用しなければなりません。そうやって作られたコーヒー豆は世界各国、もちろん私たちの国にも輸出されているのです。

 

この事態を改善するべくアメリカのNPO団体『アライアンス・フォー・コーヒー・オブ・エクセレンス(以下ACE)』がCOEを開催することにしたのです。

 

COEというコンテストは単純に良質なコーヒー豆に順位を付けるだけではなく、好成績を残したコーヒー豆をオークションに掛け、コーヒー輸入会社やロスーターに落札させます。落札額のほとんどが農園に入るうえ“COEで好成績を残した”という裏付けは、高級豆を扱うバイヤーと農園との架け橋にもなるのです。これらメリットは農園の財政状況を向上させ、ひいては労働環境の改善につながります。

COEの審査基準や選考の仕方

COEと聞くと、「どんな選考基準があるのか?」「審査員はどんな人なんだろう?」と疑問に思う方もいるはず。ここでは、COEの審査員と厳しい審査基準について書いていきます。

COEの審査員は24人のエキスパート揃い!?

COEは公平性を保つため、ACEから審査員を選出せず日本・米国・カナダ・オーストラリア・欧州・グアテマラ・ブラジル・ニカラグアからコーヒーに造詣の深い24人を審査員として招聘します。

 

審査は全3段階で構成されており、まず1段階目『スペシャルティコーヒーの基準に達しているか』という厳しい審査から始まります。続く2段階目は審査員が目隠しで味や香りを採点し、得点上位の豆が3段階目『COEで順位を競う』権利を得られるのです。

COEのコーヒーは「生産過程」と「品質」が評価基準に

COEに出品されたコーヒーは『美味しさ』も審査基準になりますが、さらに別角度からも審査されます。

 

まず一つは“コーヒー豆の生産過程(トレーサビリティ)”です。この審査は先述した『劣悪な栽培環境』を抑止することに繋がります。またコーヒーの味を単一的に見るのではなく『甘味』や『酸味』、『質感』、『アロマ』、『フレーバー』、『バランス』、『アフターテイスト』、『フレグランス』、『クリーンカップ』など細かく審査されます。

 

COEの厳正な審査によって選出されたコーヒー豆は世界各国のコーヒー愛好家から高い評価を受けています。このためCOE開催の歴史は20年そこそこですが、とても権威のあるコンテストに成長しました。

 

COEの功績は良質な豆を選出するだけに止まらず、コーヒー農園のサステナビリティ(持続して農園を続けていける可能性)に大きく貢献しているのです。

まとめ:COEは生産工程まで考慮した世界一のコーヒー

シアトル系カフェが台頭したセカンドウェーブ、スペシャルティコーヒーなどの出現により高品質の豆や淹れ方などに注目が集まったサードウェーブ。

 

今後はさらに、世界規模で“コーヒー”の捉え方が変化しています。コーヒーの価値が高まるなか、コーヒー豆の取引きは、まだまだ前時代を引きずっています。COEはこの現状を打破するべく立ち上がりましたが、最終的に消費者の私たちが関心を持たなければ現状は変わりません。

 

もしかしたらCOE受賞の豆は普段買っているコーヒー豆より高いかもしれません。しかし、それが適正価格なのではという意識もどこかで持たなければいけないことでしょう。

 

日本では「三方よし」という商人の言葉がありますが、コーヒーの世界でも売り手と買い手、そして社会的にも良いとされる風潮がCOEを通じて広まればコーヒーの未来は素敵なものになるでしょう。

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