インドネシア産コーヒーと聞くと、スラウェシ島トラジャ地方のトラジャコーヒーや、スマトラ島のマンデリンコーヒーを思い浮かべる人は多いでしょう。
しかし、世界有数のコーヒー大国であるインドネシアには、まだまだ素晴らしいコーヒーがたくさん存在します。
本記事では、インドネシアのコーヒーの歴史や生産地、スペシャルティコーヒーの種類と特徴について詳しくご紹介します。
目次
- 1 インドネシアのコーヒー史
- 2 インドネシアの三大コーヒー生産地は?
- 3 インドネシアを代表するスペシャルティコーヒー
- 3.1 トラジャ・コーヒー(Kopi Toraja、Kopi Arabika Toraja)
- 3.2 パプワ・ワメナ・コーヒー(Kopi Wamena Papua)
- 3.3 キンタマーニ・コーヒー(Kopi Kintamani、Kopi Arabika Kintamani)
- 3.4 フローレス・バジャワ・コーヒー(Kopi Flores Bajawa、Kopi Arabika Flores Bajawa)
- 3.5 ガヨ・コーヒー(Kopi Gayo、Kopi Arabika Gayo Aceh)
- 3.6 ジャワ・イジェン・ラウン・アラビカコーヒー(Kopi Arabika Java Ijen Raung)
- 4 日本国内で美味しいコーヒーを飲むなら
インドネシアのコーヒー史
インドネシアは、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次ぐコーヒー生産量を誇ります。
いまでこそコーヒー大国と名高いインドネシアですが、もともとコーヒーノキが自生していたわけではなく、オランダ人たちによって人為的に植栽された歴史があります。
コーヒーは植民地時代の遺産
コーヒーがヨーロッパに紹介されたのは16世紀ですが、当時は生産地が限られていたため非常に高価で、ごく限られた一部の人しか飲むことができない飲み物でした。
1616年、そんなコーヒーの需要に目を付けたオランダの貿易商が、コーヒー発祥の地といわれるイエメンからコーヒーノキを持ち帰ることに成功。1699年にはオランダの植民地だったインドネシアにコーヒー農園を設立し、栽培をはじめました。
当初、オランダ植民地政府はスカブミやボゴールなど、バタビア(現在のジャカルタ)周辺にコーヒーを植栽します。その後、東部ジャワ、中部ジャワ、西部ジャワ、スマトラ島、スラウェシ島の一部で次々とコーヒー農園が設立されました。
コーヒー農園の発展と共に交通インフラが整い、第二次世界大戦前の中部ジャワでは鉄道輸送でコーヒーのほかにも、砂糖、コショウ、茶、タバコなどが州外から港町であるスマランに運ばれていたそうです。
アラビカからロブスタへ
この頃になるとポルトガルの支配下にあった東インドネシア、東ティモール、フローレス島などでもコーヒーの生産が行われるようになっていました。ただし、ポルトガルが入手したアラビカ種の苗木とオランダが入手した苗木は種類が異なっており、これがインドネシア産コーヒーの多様性を生む結果に繋がったようです。
19世紀末になると、インドネシアをはじめ、スリランカ、マレーシアのコーヒーの大部分がさび病に罹患します。さび病はあっという間に広がってコーヒー農園を全滅させ、植民地時代のインドネシアのコーヒー産業に壊滅的な打撃を与えました。オランダはアラビカ種の代わりにリべリカ種を植えますが、こちらも病害に見舞われてしまいます。
オランダの植民地政府は、さび病に耐性のあるロブスタ種を選び、被害を受けた農園に再植林しました。こうして現在に至るまでその栽培は続いており、インドネシア産コーヒーの約90%をロブスタ種が占めています。
インドネシアの三大コーヒー生産地は?
世界最大の群島国家であるインドネシアには、コーヒー生産地が点在しています。ここでは、インドネシアの主なコーヒー生産地と精製処理法についてご紹介します。
コーヒー栽培に適した土壌と環境
火山が多く、肥沃な土壌でコーヒー栽培に適した環境を有しているインドネシアには、主に3つのコーヒー産地があります。そのひとつに数えられるジャワ島は、アラビカコーヒーの産地として有名です。
アラビカコーヒーは標高1500m以上の高地に最も適しており、気温16〜20℃の間でよく育ちます。ジャワ島は「オールド・ジャワ」と呼ばれる、世界でも有数の熟成したコーヒーを生産することで知られています。このアラビカ種のコーヒーは管理された環境のもとで2、3年保存されたもので、強いフルボディの味わいが特徴です。
かつてセレベス島と呼ばれていたスラウェシ島も、インドネシアの主要なコーヒー生産地のひとつに数えられます。スラウェシ島で最も有名なコーヒー生産地域はトラジャで、「トラジャ・コーヒー」と呼ばれるこのコーヒーは、島の中心部付近の標高1500m以上の山岳地帯で育ちます。
トラジャ・コーヒーのほとんどは小規模農園で栽培されており、コーヒーチェリーの収穫と選別は手作業で行われ、最高のチェリーのみが収穫されるので非常に高品質のコーヒーとして有名です。
インドネシアのもう一つの主要なコーヒー生産地であるスマトラ島では、マンデリンとアンコラ(アラビカコーヒーの市場名としてはあまり使われていないが、インドネシア語ではKopi Angkolaと呼ばれている)という、世界で最も有名で高品質な2つのコーヒーが生産されています。
スマトラ・マンデリンコーヒーは、パダン市郊外の西海岸コーヒー地区で生産されており、控えめな酸味と重厚なボディを併せ持つ、凝縮された複雑な味わいが特徴です。スマトラ島中西部で栽培されたこれらのコーヒーは、いずれもドライプロセスで精製処理されるので独特の豊かな風味を持ちます。
コーヒーチェリーから豆になるまで
コーヒーノキは年2回花を咲かせますが、スマトラ島では11月から1月、ジャワ島では7月下旬から9月までが開花期に当たります。小さくて白い花は房になって咲くものの、コーヒーチェリーになるのはそれらのうちの約25%なのだそう。
アラビカ種は花粉が同じ個体にあるため自家受粉ですが、ロブスタ種は他家受粉です。受粉後、コーヒーチェリーは6~8週間ほど休眠状態になり、その後急速に成長して15週間ほどでピンの頭ほどの大きさになります。
スマトラ島やジャワ島、バリ島の小規模農家では、収穫されたコーヒーチェリーを果肉がついたまま天日乾燥させるドライ(ナチュラル)製法で精製処理します。
乾燥場に並べられたコーヒーチェリーの高さは5cm 以内が理想的といわれており、10日~2週間かけて完全に乾燥するまで毎日2 時間ごと、もしくは必要に応じてかき混ぜて回転させなければなりません。
コーヒー豆の含水量が約11%になるまで乾燥させれば完成ですが、最終的にコーヒー豆はコーヒーチェリーの約1/3 の大きさになります。ドライ製法で精製されたコーヒーは酸味が少なく、滑らかで甘く、重いボディのコーヒーに仕上がります。
一方、多くの国で採用されている水洗式とも呼ばれるウォッシュド製法による精製処理は、ジャワ島の大規模な農園でも採用されているようです。
インドネシアを代表するスペシャルティコーヒー
ロブスタ種の栽培が多いインドネシアですが、アラビカ種も栽培されており、そのほとんどがスペシャルティコーヒーとして海外に輸出されています。
インドネシアのスペシャルティコーヒーといえばマンデリンが有名ですが、ここではそのほかのスペシャルティコーヒーをご紹介します。
トラジャ・コーヒー(Kopi Toraja、Kopi Arabika Toraja)
アメリカと日本で人気のトラジャ・コーヒーは、年間収穫量が少ないため、世界でも供給量が非常に限られたコーヒーとして有名です。スラウェシ島トラジャ地方で栽培されているこのコーヒーはスモーキーな香り、軽やかな酸味と力強いコク、すっきりした後味が特徴となっています。
真っ赤に熟したコーヒーチェリーを大きな農園では機械で、小さな農園では手摘み(ハンドピック)で収穫します。手摘みの際には、害虫に感染したチェリーや付着したゴミが丁寧に取り除かれることに。収穫したばかりのコーヒーチェリーは2日間しか保存できないため、すぐに精製加工する必要があります。
パプワ・ワメナ・コーヒー(Kopi Wamena Papua)
パプアニューギニアで本格的にコーヒー栽培がはじまったのは、1950年代のことでした。島の大部分が高地のパプアニューギニアのコーヒーは、火山地帯のためミネラルが豊富で肥沃な土壌で栽培されています。
パプワ・ワメナ・コーヒーは西パプア州の先住民族ダニ族が住む山岳地帯ワメナ地区で生産されており、コクと苦みのバランスが良く、酸味が少ないのが特徴です。
キンタマーニ・コーヒー(Kopi Kintamani、Kopi Arabika Kintamani)
インドネシアきっての観光地・バリ島北東部にあるキンタマーニ高原は標高1500mで、コーヒー栽培が盛んな地域です。キンタマーニ高原で栽培されているアラビカ種のキンタマーニ・コーヒーは、柑橘系のフルーティーな香りと酸味、ほろ苦さとコクのバランスが良く、まろやかで優しい口当たりが特徴です。日本以外にも、アラブ諸国やヨーロッパで高く評価されており、最高級品のほとんどは海外に輸出されています。
フローレス・バジャワ・コーヒー(Kopi Flores Bajawa、Kopi Arabika Flores Bajawa)
近年、観光開発が着々と進んで国内外から注目を浴びている東ヌサ・トゥンガラ州のフローレス島。「フローレス島のコーヒーはおいしい」と評判ですが、インドネシア国内でもあまり流通しておらず、入手しにくいのが難点です。
中でもとくに有名なのがバジャワ地方で栽培されているコーヒーで、バニラやシナモンのような香りに柔らかな酸味となめらかな飲み口が特徴となっています。
ガヨ・コーヒー(Kopi Gayo、Kopi Arabika Gayo Aceh)
ガヨ・コーヒーとは、ガヨ・アチェコーヒーやガヨ・マウンテンコーヒーとも呼ばれている、スマトラ島アチェ州ガヨ地区で生産されているコーヒーです。北部アチェや西部アチェではロブスタ種の栽培が盛んですが、中部アチェではアラビカ種が多く栽培されており、高品質のガヨコーヒーは海外に輸出されます。
ガヨ・コーヒーはフローラルな香りで酸味が少なく、後引きしない爽やかな風味が特徴です。ガヨ・コーヒーの産地では、粉を鍋に入れて作る「煮出しコーヒー」にし、加藤練乳を加えてから提供されます。
ジャワ・イジェン・ラウン・アラビカコーヒー(Kopi Arabika Java Ijen Raung)
ジャワ・イジェン・ラウン・アラビカコーヒーは、東ジャワ州で栽培されているコーヒーです。
インドネシア第二の都市であるスラバヤから車で約4時間半ほどのところに位置するボンドウォソ地域で栽培されており、近年インドネシア国内のコーヒー好きな人々を中心に注目を集めています。ナッツとチョコレート、スパイシーな風味が特徴で、酸味は少なくほんのりした甘味があります。
日本国内で美味しいコーヒーを飲むなら
世界には多くのコーヒー生産国があり、コーヒーは、各農園から輸入され日本国内で焙煎し消費者のもとに届いています。
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