外食が大好きだといわれているスペインの人々。気の置けない友人たちと、コーヒーを片手にバルやカフェで過ごすことも大好きなようです。ただし、スペインのカフェにはカプチーノやカフェラテなどのメニューはなく、スペイン独自のコーヒーメニューがあるのだとか。
本記事では、スペインのコーヒーの歴史と文化、ちょっと面白いコーヒーへのこだわりをご紹介します。
目次
スペインにおけるコーヒーの歴史と消費量
どのようにコーヒーがスペインに伝わったのか、さらには現在のコーヒー消費量について調べてみました。
トルコ人たちによってもたらされたコーヒー
ヨーロッパにコーヒーが広まったのは、17世紀初めのこと。トルコ商人やトルコの移民たちが、ヨーロッパにコーヒーをもたらしたといわれています。その後、ローマ法王クレメンス8世がコーヒーのおいしさに魅了され、キリスト教の飲み物に認可したことから、ヨーロッパ各地に伝わることに。カトリック教徒の多いスペインでコーヒーが好まれるようになったのも、こうした背景があったようです。
スペインのコーヒー消費量はヨーロッパでもっとも低い
ヨーロッパのコーヒー消費量は常に世界トップクラスですが、その中においてスペインのコーヒー消費量はもっとも低いことで知られています。コーヒー生豆の輸入量ではヨーロッパ第4位であることを考えれば、スペインのコーヒー消費量が低いのは腑に落ちない話でしょう。
どうやら温暖な気候が原因だと考えられているようですが、日本のように暑い時期にアイスコーヒーを飲む習慣がないことも一因なのかもしれません。しかし、スペインの年間コーヒー消費量は1人当たり4.5kgで日本よりもはるかに多く、年々増加傾向にあります。
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豆知識? スペインのコーヒー事情
国ごとに独自のコーヒー文化があるように、スペインにもユニークな文化が存在します。ここでは、スペインのコーヒー事情をご紹介します。
砂糖を使って焙煎する「トレファクト」とは
1936年から1939年にかけて起こったスペイン内戦の際には、深刻な物資不足が国全体を襲います。コーヒーも例外ではなく、「トレファクト」と呼ばれる焙煎方法は、まさにこの内戦時代に生まれました。トレファクトには砂糖を使用しますが、これはコーヒーに風味をつけるためでも、味にひと工夫加えるためのものでもありませんでした。
トレファクトの目的は、コーヒーのかさを増すことにあります。焙煎の最終プロセスのときに砂糖を加えることで、重量を20%ほど増やすことが可能なのだとか。コーヒー不足に対処するために生まれたトレファクトですが、じつは現在でもスペインでは一般的な焙煎方法です。ふつうに焙煎したコーヒーとブレンドしたメスクラと呼ばれるコーヒーが、スペイン市場に一番多く出回っています。
少なくとも1日5回はコーヒーを飲む機会が
スペインの人々は、1日に5回ほど食事をする機会があります。朝食のデザイーノからはじまり、午前11時頃の軽食タイムのアルムエルゾと昼食のコミダ、さらに午後のおやつタイムのメリエンダと続き、最後に遅い夕食のシナで1日が終わります。外食することも多いため、カフェやバルが第二のリビングといわれているのも納得です。毎食後にコーヒーを飲むとすれば、けっこうなカフェイン摂取量になるのではないでしょうか。
スペイン人のコーヒーへのこだわり
スペインで飲まれているコーヒーは、ほとんどの場合が甘く、少し冷めたコーヒーが好まれています。濃く淹れたコーヒーにミルクを加えて飲むのがスペイン流です。また、現在はコーヒーカップでコーヒーを提供するカフェが多いものの、かつてはグラスで提供されていました。その名残りからか、コーヒーはグラスで飲みたいというこだわり派もいるようです。
スペインで注文できる主なコーヒーの種類
現地のカフェやバルでコーヒーを注文するときに、戸惑ってしまう外国人旅行者も多いのだとか。ここでは、スペインで注文できる主なコーヒーの種類についてご紹介します。
しっかりした苦みの「カフェ・ソロ」
通常、スペインでは食後に飲まれているコーヒーです。ブラックのエスプレッソのことで、強い苦みが特徴となっています。スペインのコーヒーはどれもエスプレッソベースですが、熱々のブラックコーヒーが飲みたいと思ったときには、カフェ・ソロを注文すると良いでしょう。
飲みやすい「カフェ・コルタード」
カフェ・ソロ(エスプレッソ)に、少量のミルクを加えたコーヒーことを指します。コーヒーが75%、ミルクが25%の割合で作られるのが一般的です。地域や店によっては、「カフェ・ラルゴ」とも呼ばれることがあります。
スペイン版カフェオレの「カフェ・コン・レチェ」
スペインでは朝食と一緒に飲まれることが多いコーヒーで、いわゆるカフェラテのことです。コーヒーとミルクを50%ずつの割合で作られるため、まろやかな口当たりが特徴となっています。
たっぷりミルクの入った「カフェ・マンチャード」
カフェ・コン・レチェよりも、さらにたっぷりミルクの入ったコーヒーのことを指します。「カフェ・ラグリマ」と呼ばれることもあり、コーヒー25%とミルク75%の割合で作られます。
ときにはスペイン流コーヒーを淹れてみては?
国が違えば、コーヒーにまつわる文化も違うもの。いろいろな国のコーヒーについて知っていれば、「今日はスペイン流のコーヒーを淹れて飲んでみよう」と、コーヒーの楽しみ方も広がるかもしれませんね。
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