世界中で愛されているコーヒーですが、「ところ変われば品変わる」といわれるように、楽しみ方や味わい方は国や地域で異なります。いつものコーヒーも、ひと工夫すれば新しいおいしさが見つかるはず。本記事では、世界で親しまれている、いろいろなアレンジやスタイルのコーヒーの飲み方をご紹介します。

真似てみたい世界のコーヒーの飲み方

何世紀にも渡って愛飲されてきたコーヒーは、世界中の国々の文化に溶け込み、その飲み方も国ごとに発展していきました。世界各国のユニークなコーヒーの飲み方を知れば、コーヒーの新たな魅力に触れることができるかもしれません。

フラッペ(ギリシャ)

ギリシャにはじめてコーヒーが紹介されたのは、オスマン帝国時代のことでした。ギリシャといえば、コーヒーを煮出して飲む「ギリシャコーヒー」を思い浮かべる人もいらっしゃるのでは? 

 

ところで、ギリシャ国内でギリシャコーヒーと呼ばれている飲み方ですが、じつは1960年代前半までは、トルココーヒーと呼ばれていたのだそうです。現在の呼び方に改名されたのは、トルコがキプロスに侵攻を開始し、両国の関係が悪化してからのこと。 

 

そんなギリシャを代表するコーヒーの飲み方であるギリシャコーヒーですが、最近では「フラッペ」と呼ばれている新しいアレンジが大人気なのだとか。フラッペと聞くとスターバックスのフラペチーノを想像してしまいますが、ギリシャのフラッペはインスタントコーヒー、砂糖、水、ミルク(お好みで)からできています。 

 

作り方は簡単で、シェーカー(なければ蓋つきのボトルで代用可能)にすべての材料を入れて混ぜ、氷を入れたグラスに注ぐだけ。自宅にある材料で気軽に作れるギリシャのアレンジコーヒーは、暑い夏の日のドリンクにおすすめです。 

塩コーヒー(エチオピア) 

アラビカコーヒー発祥の地として有名なエチオピアでは、ジャバナと呼ばれる素焼きの鍋でコーヒーを煮出して飲むのが一般的です。砂糖を入れて飲むこともあれば、塩を入れて飲むこともあるのだそう。「コーヒーに塩を入れるなんて…」と思うかもしれませんが、エチオピアではコーヒーにほんの少し塩を加えることで、強い酸味を打ち消したり、おいしさを際立たせたりできるといわれています。

 

興味深いことに、エチオピアには、お客様をコーヒーでおもてなしする「カリオモン」と呼ばれるセレモニーがあります。ただコーヒーを淹れて提供するだけではないのが、カリオモンのユニークなところです。カリオモンでは生豆を洗って、マンカシャカシャと呼ばれる焙煎鍋で煎り、豊かなコーヒーの香りで客人をもてなします。

 

その後、コーヒー豆を粉にしてジャバナで煮出しますが、1杯目は砂糖を、2杯目に淹れたコーヒーには塩を、3杯目には香辛料やバターなどを加えてふるまうのが、カリオモンのしきたりです。芳醇な香りの酸味が強いエチオピア産のコーヒーが手に入ったら、ぜひ塩を少しだけ入れて飲んでみたいですね。

カフェ・ロマーノ(イタリア) 

独自のコーヒー文化を持つイタリアでは、コーヒーといえばインスタントコーヒーでもドリップコーヒーでもなく、エスプレッソのことを指します。そもそもイタリアにコーヒーが紹介されたのは1570年頃のことで、当初は薬局にて販売されていました。1700年代には多くのカフェが登場し、煮出し式のトルココーヒーが親しまれていたといいます。

 

イタリアでエスプレッソが広く飲まれるようになったのは、1900年代のこと。ナポレオンが発布したベルリン勅令によりイタリア国内のコーヒー豆が不足したため、カフェではコーヒーカップの大きさを小さくしてコーヒーを提供せざるを得ませんでした。その後、1901年にエスプレッソマシンが開発され、小さなデミタスカップにエスプレッソを注ぐスタイルが完成します。 

 

そんなイタリアには、エスプレッソにレモンを加えて飲むカフェ・ロマーノ(エスプレッソ・ロマーノとも呼ばれる)という飲み方があります。本場のカフェ・ロマーノを飲もうと思うなら、ロブスタ豆をブレンドしたイタリアンエスプレッソに、お好みでレモン果汁とレモンスライス、砂糖を加えてみましょう。苦みとさっぱりした酸味を楽しめるカフェ・ロマーノは、食後のコーヒーにぴったりです。 

カフェ・チュン(ベトナム 

コーヒーの生産量世界第2位のベトナム。ベトナムでは、17世紀頃から外国の宣教師たちによってコーヒーが持ち込まれました。当初は小規模栽培されていたコーヒーでしたが、フランスの占領下になった1875年以降から大規模な栽培が行われるようになります。アラビカ種も栽培されているベトナムですが、ロブスタ種の栽培に適した中部高原エリアに人口が集中し、多くの人々がコーヒー栽培をはじめるようになったため、ロブスタ種の生産量が増えました。

 

ベトナムといえば、カフェ・フィンと呼ばれる抽出器具で抽出したコーヒーに、コンデンスミルクを加えて飲むのが一般的です。苦みの強いベトナム産のロブスタ種のコーヒーに濃厚な甘さのコンデンスミルクを足すことで、まろやかでリッチな味わいが楽しめます。 

 

また、カフェ・チュンと呼ばれるエッグコーヒーも人気なのだとか。カフェ・チュンは、卵の黄身とコンデンスミルクを合わせて泡立て、抽出したコーヒーの上に乗せれば完成です。ベトナムの定番カフェメニューであるカフェ・チュンは、クリームの甘さとコーヒーのほろ苦さのハーモニーが絶妙で、まるでスイーツのような味わい。卵黄とコンデンスミルクに小麦粉を加えて、よりもったりしたクリームを作って乗せる場合もあるそうですよ。 

カフェ・デ・ゼピス(モロッコ 

モロッコにコーヒーが伝わったのは、18世紀頃のことでした。古くからコーヒーを飲用してきた他のアラブ諸国と比べて、モロッコへの伝来は遅く、客人をコーヒーでおもてなしするアラビアコーヒーの伝統はモロッコにはありません。モロッコでコーヒーが広く飲まれるようになったのは20世紀に入ってからで、フランスの支配下によりカフェが増えたことがきっかけでした。 

 

ところで有名なモロッコ料理といえばタジン鍋やクスクスですが、スパイスが使用されたそれらの料理同様、コーヒーにもスパイスを効かせるのがモロッコ流の飲み方です。モロッコのカフェ・デ・ゼピスは、ナツメグやブラックペッパー、ゴマやシナモンなどを加えたコーヒーで、異国情緒あふれる豊かな香りと風味が楽しめます。 

 

ハンドドリップしたブラックコーヒーに、粉末になったミックススパイスを加えると、「なんちゃってカフェ・デ・ゼピス」が完成。もしも本格的なモロッコ流カフェ・デ・ゼピスを作るのであれば、ホールビーンとお好みのスパイスを混ぜて、コーヒーミルで一緒に挽いてからドリップする方法がおすすめです。

バラエティ豊かな世界のコーヒーの飲み方 

独自のコーヒー文化を持つ国では、コーヒーの飲み方にもオリジナリティがあります。上記でご紹介したコーヒーの飲み方は、ユニークだけれどもご家庭でチャレンジしやすいものばかり。「いつもの飲み方もいいけれど、少し変化がほしいな…」と思ったとき、ぜひ参考にしてみてくださいね。 

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