12月15日が「国際紅茶の日」って知っていますか? 知名度はまだ低いですが、紅茶の作り手たちにとっては大切な日なんです。
この日、インドやスリランカ、ケニアをはじめ、アジア・アフリカの紅茶生産国では、紅茶茶園の働き手たちの労働・生活環境についてセミナーや討論などが行われます。
堅苦しいテーマに感じるかもしれませんね。でも、作り手や商品のことをよく知って、作り手たちに利益が還元される紅茶を選ぶことで、あなたの紅茶が誰かの暮らしを支える一杯になるんです。
国際紅茶の日の正式名称は「インターナショナル・ティー・デイ」。紅茶に限らずお茶全般を指していますが、紅茶の生産国に関わる日なので、筆者の独断で、国際紅茶の日と訳させていただきました。
目次
「国際紅茶の日」ってどんな日なの?
プランテーションの労働者や小規模茶園、労働組合や国際団体などを中心にはじまった国際紅茶の日は、茶園労働者の働きや労働環境について理解を促すことが目的。この日の議論は、労働者からの要望書として、各国政府や国際機関に提出されることもあります。
賃金、衛生や医療の改善、住居の保証、きれいな飲料水、女性の教育については、つねに要望書に盛り込まれているとのこと。国際紅茶の日が制定されて十数年たっても、十分な進歩が見られないということでしょう。
実のところ、国際紅茶の日で取り上げられる課題は、十数年どころか、19世紀から持ち越されている問題なんです。
紅茶プランテーションの現状は植民地時代のまま?
今日では紅茶産地の国々も独立してはいますが、プランテーションでの労働環境は当時からあまり改善されていない模様。また、他のアジア・アフリカの紅茶生産国でも同様の問題が見られます。
高級茶葉がとれる茶園は辺鄙な土地にあることもあり、きれいな飲み水を確保できないこともあります。現在でも紅茶生産を人力に頼る茶園が多く、重労働を課されるものの、賃金はごくわずか。衛生面や害虫などによる健康被害もありますが、医療はまだまだ不十分です。
労働者はプランテーション内に住み込みのことが多く、閉ざされた環境では、教育の機会も、他の職業を選ぶチャンスも十分とはいえません。数世代にわたって紅茶労働者をつづける家も珍しくなく、世代間で貧困が連鎖するケースも多いです。
安価な労働力を期待しているプランテーションでは、賃金は日払いで、雇用の保証もありません。とくに、労働者の半分以上を占める女性たちの教育や待遇改善は急務のよう。また、児童労働も深刻な問題になっています。
興味をもったら認証団体のサイトでチェック
高級茶葉の産地のせいか、西ベンガルのストライキはたびたび報道されますが、紅茶生産者の待遇改善を求める声は、他の地域や他国からも上がっています。
国際紅茶の日は、各国の紅茶生産者の声を取りまとめる大切な日。関心がでたら、内容をぜひよく知ってほしいのですが、公式サイトがまだ整っていません。幸い、認証団体が国際紅茶の日に注目し、ブログなどでレポートしています。
認証団体には、「フェアトレード(Fairtrade)」や「レインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance)」など、たくさんの団体があります。名前を聞いたことのある方もいますよね?
公正な取引きや、生産者の生活・労働環境の改善、環境に配慮した栽培などを推進する団体で、認証された商品には認証マークがついています。国際紅茶の日に限らず、紅茶茶園の労働者のこともウェブで紹介しているので、興味を持ったらチェックしてみてくださいね。
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「国際紅茶の日」をきっかけに始めませんか? 私たちにできること
まずは知ること。認証団体だけでなく、子どもや女性を支援するNGO(非政府組織)やNPO(非営利団体)も、紅茶茶園の労働者がおかれた現状について発信しています。
行動したくなったら、自分が買うお茶にこだわってみましょう。認証団体のマークがついたものや、人にも環境にもやさしいオーガニックのお茶もよさそうです。
パッケージにマークがなくても、生産者や環境にやさしい紅茶を、独自に栽培・流通させている専門業者もいるので、購入前にインターネットでチェックしてみてください。
寄付をしたり、イベントや活動に参加してみたり、身近な人に茶園労働者のことを知ってもらうことも個人でできることですね。紅茶に関わるお仕事をしている人なら、国際紅茶の日にちなんだイベントを主催してみるのも一案です。
最近はティースタンドもトレンドになりつつあり、紅茶を楽しむ人も増えそうです。おしゃれさやメニューだけでなく、どんなお茶が使われいるかにも注目してくださいね。