北欧食器ブランドの中でも、老舗中の老舗といえば「ロールストランド(RORSTRAND)」ではないでしょうか。初期に発表されたシリーズの多くは、ヴィンテージアイテムとして、いまでもたくさんのファンたちを魅了しています。
本記事では、ロールストランドの人気シリーズをご紹介します。
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目次
スウェーデン王室御用達の『ロールストランド(RORSTRAND)』
ロールストランドは、1726年にスウェーデン・ストックホルムにあるロールストランド城中で、ドイツ人陶芸家ヨハン・ウルフが開窯したのがはじまりです。
ドイツのマイセンに次ぐ古さを誇る老舗窯・ロールストランドの器は、ノーベル賞授賞式の晩餐会でも使用されています。北欧食器が持つ温もりに加え、気品漂うデザインが特徴のロールストランドのアイテムたち、スウェーデン王室御用達なのも頷けるでしょう。
ロールストランドの代表的な7シリーズ
ヴィンテージ食器に目がない人たちに人気のロールストランド。ロールストランドを代表するシリーズをいくつかご紹介します。
定番ロングセラーの「モナミ」
1950年代に発表されたモナミは、マリアンヌ・ウェストマンがデザインした作品です。モナミはフランス語で恋人や友人を意味しますが、モナミのシリーズではラブラドール・ティーと呼ばれる小さな花がモチーフになっています。
1980年には廃盤になったものの、2009年にマリアンヌ本人が再度デザインを手掛けた復刻版が生産されました。モナミのシリーズは大胆に描かれたブルーの花模様が爽やかで、存在感あるデザインが特徴です。
繊細な線画がノスタルジックな「エデン」
デザイナーのシクリッド・リヒターによって生み出されたエデンのシリーズは、聖書に登場する「エデンの園」がテーマとして取り上げられています。1960年から1972年にかけて生産されたエデンですが、2016年にはロールストランド社創立290周年を記念して復刻版が作られました。
復刻版は40以上もの過去パターンから、ファン投票によって選ばれたパターンが採用されて話題に。水彩画のようなみずみずしいタッチで描かれた青いリンゴと線画の葉っぱデザインの器は、カジュアルな食卓にも、ちょっとおしゃれに演出した食卓にもしっくりきます。
カラフルで楽しい雰囲気の「クリナラ」
野菜が描かれたカラフルなクリナラのシリーズは、デザイナーのハンナ・ベルニングの作品です。クリナラとはスウェーデン語でグルメのこと。ホースラディッシュやパセリ、コケモモやサヤエンドウなどが描かれた、楽しくて可愛らしい雰囲気の器は、食卓をいきいきと彩ってくれるに違いありません。
上品でスタイリッシュな「スウェディッシュ・グレース」
50年以上に渡ってロールストランドで活躍した、デザイナーのルイーズ・エーデルボルグによって生み出されたスウェディッシュ・グレースのシリーズ。1930年にストックホルム博覧会に出品されて以降、ロールストランド社の代表作品として世界中の人々に愛されてきました。
麦の穂がモチーフとなっており、スノーホワイトをはじめ、サンドベージュやアイスブルーといった淡い色合いがなんとも優しい雰囲気の器です。マグカップはたっぷり飲み物を入れられるよう大きめに作られていますが、単色カラーなのでスタイリッシュさが際立ちます。
ぬくもりを感じる「ぺルゴラ」
つる草模様が美しいぺルゴラのシリーズは、2008年に生まれました。ぺルゴラとは、つる草などを絡ませて、強い日差しを遮るために設けられている日影棚を指します。2014年で生産終了になりましたが、2016年には限定生産の復刻版が作られています。
プレートにしろカップにしろ、ぺルゴラシリーズはどのアイテムもとても軽く、使いやすい器です。マグカップは持ち手部分が大きく作られていて持ちやすく、軽量なため片手でも軽々と持つことができるでしょう。
凛とした雰囲気の「シルビア」
シルビアは、ロールストランド社創業250周年を記念して1976年に生産されたシリーズです。同年に結婚したシルビア王妃にちなんで名づけられたこのシリーズは、スミレの花が描かれた、優美で可憐なデザインが特徴となっています。
ドイツ人の父とブラジル人の母のあいだに生まれたシルビア王妃は、もちろん生粋のスウェーデン人ではなく、一般市民でした。幾多の障害を乗り越えてカール16世グスタフ・スウェーデン国王と結ばれた彼女は、可憐なのに丈夫で強いスミレの花のイメージにぴったりです。気品あふれるデザインにもかかわらず、コーヒーカップは大きめ(約170㏄)に作られているのが嬉しいですね。
日常使いにぴったりの「コカ」
1956年から1988年と、約30年以上に渡って生産されたシリーズで、日常使いに最適なシンプルなデザインが特徴です。コカとはスウェーデン語で沸騰する、煮えるを意味し、ソースポットなどの製品は直火にかけられるように作られています。
デザイナーのヘルサ・ベングトソンの出世作であるコカは、白磁に濃い青色のラインが描かれていて、よく見ると青色のラインの上に細い線が引かれていたり、葉っぱ模様が描かれていたりと大変細やかなデザインです。「用の美」を体現したかのようなコカのシリーズは和食器に通じるものがあり、日本の食卓にも馴染みやすいのが良いですね。
ちょうどいい気取らなさが魅力
スウェーデン王室御用達のロールストランドですが、どのシリーズのアイテムたちも気取らず、使いやすさを重視したデザインとなっています。
洋食はもちろん、和食も映える色使いの器たちは、日本のご家庭でも大活躍すること間違いなし。ロールストランドのコーヒーカップやマグカップはほんの少し大きめに作られているため、たっぷりコーヒーを飲みたい方におすすめです。