コーヒーを飲む女性

忙しい朝には、手早く淹れることができるインスタントコーヒーのお世話になるという方も多いのではないでしょうか。インスタントコーヒーは、ハンドドリップでコーヒーを淹れるときのように蒸らし時間を取る必要もなく、お湯を注ぐだけでコーヒーを作れるのが良いですね。

 

ところで、簡単に作ることができるのが魅力のインスタントコーヒー、いったい誰が最初に発明したのでしょうか? 本記事では、意外と知られていないインスタントコーヒーの歴史と発明者についてご紹介します。

 

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世界初のインスタントコーヒーはフランス人作家による発明

本とマグカップ

世界発のインスタントコーヒーは、1881年にフランス人作家のアルフォンス・アレーによって発明されました。アルフォンス・アレーといえば、フランス文学者の澁澤龍彦から、「『黒いユーモア』という言葉は、彼のために作られた言葉だ」と評されたほど、ブラックユーモアに長けた作家です。

 

ユーモア作家としての才能だけではなく、風変わりな発明家としても活躍したアルフォンス・アレー。子どもの頃から冗談が大好きで、薬局を営んでいた実家から下剤を盗み出し、下剤入りキャンディーを作って同じクラスの友人たちに配り歩いたという、過激な一面を表す逸話が残っています。

 

薬剤師の見習い中には、薬局を訪れる客に対して適当な処方の薬を渡したり、冗談半分のアドバイスをしたりするなどしたためとうとう実家を追い出されてしまい、志願兵として軍隊に入隊します。その兵役中、アルフォンス・アレーは、「挽きたてのコーヒーが飲みたい」という声を数多く耳にします。このことがきっかけとなり、インスタントコーヒーが発明されることになりました。

 

実は、1771年頃にはすでにギリスで発明されていたインスタントコーヒーですが、長期保存方法を見い出せなかったため、特許取得や製品化に至ることはありませんでした。しかし、アルフォンス・アレーは、軍隊のための携帯用コーヒーとして、コーヒーを凍結乾燥させたインスタントコーヒーを作ることに成功し、1881年3月7日に特許出願して「特許番号141530」を取得します。

 

ところが、27歳のときに特許まで取得したものの、兵役後に戻ったパリ大学で文学に傾倒したアルフォンス・アレーには、インスタントコーヒーでひと財産を築こうという気持ちなどまったくありませんでした。

 

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140年の歴史を持つインスタントコーヒー

ブラックコーヒー

インスタントコーヒーの歴史は意外に長く、約140年近い歴史があります。インスタントコーヒーが製品化したのはいつのことか、どんな人々がインスタントコーヒーの製造を試みてきたのかについてご紹介します。

少しずつ市場に出回りはじめたインスタントコーヒー

1889年、ニュージーランドの南島で香辛料とコーヒーを販売していたデイビッド・ストラングが可溶性コーヒー粉末を製造し、「ストラング・コーヒー」として販売するようになります。実は、この「ストラング・コーヒー」こそ、世界初のインスタントコーヒー製品でした。

 

「ストラング・コーヒー」が特許を取得してから10年後の1899年には、アメリカ・シカゴで化学者として活躍していた加藤サトリ博士が、コーヒーの輸入業者と焙煎業者にインスタントコーヒー製造を依頼されました。もともとは水に溶けるインスタントの緑茶を研究していた加藤サトリ博士でしたが、アメリカ人化学者の協力のもと、コーヒー抽出液を真空乾燥させて粉末にしたインスタントコーヒーを作る技術を発明しました。

 

1901年に加藤サトリ博士は、ニューヨーク州で開催された「パンアメリカ博覧会」の製品館にて、新技術で作ったコーヒーを「ソリュブル・コーヒー」として出品します。加藤サトリ博士は、博覧会で好感触を得たコーヒーをなんとか商品にして世に送り出そうと、1903年には特許取得までしましたが、「ソリュブル・コーヒー」の商品化が実現することはありませんでした。

 

その後、1906年にアメリカでは、ジョージ・ワシントンがインスタントコーヒーの製造法の特許を取得し、その製造法で作ったインスタントコーヒーを「Red E Coffee」として商品化します。アメリカで初めて、インスタントコーヒーの製造・販売に成功したジョージ・ワシントンでしたが、「Red E Coffee」は世界に普及するには至りませんでした。

インスタントコーヒーが世界に広まるまで

インスタントコーヒーを世界的に有名にしたのは、スイスに本社を置く世界最大の食品・飲料会社のネスレでした。1937年、ネスレがスプレードライ法による、インスタントコーヒーの発明に成功しました。その翌年の1938年には、スプレードライ法で製造したインスタントコーヒーを、「ネスカフェ」として販売するようになります。

 

そうして、第二次世界大戦中には、アメリカ軍兵士たちに供給された「ネスカフェ」でしたが、戦後世界に広まることになり、インスタントコーヒーの存在が世界中に知られることとなりました。

歴史を知って感じるインスタントコーヒーの味わい深さ

時計とマグカップ

丁寧にハンドドリップで淹れたコーヒーの味と比較した場合、インスタントコーヒーの味は劣るかもしれません。しかし、インスタントコーヒーの歴史や、インスタントコーヒーが発明された背景に思いを馳せてみると、感慨深い気持ちになるのではないでしょうか。最近では、香り高いインスタントコーヒーも多く販売されており、カフェインレスのタイプや最高級のコーヒー豆を使用したタイプなど種類も豊富です。この機会に、自分にぴったりなインスタントコーヒーを見つけてみるのはいかがでしょうか。

 

関連記事:意外や意外のくり返し!日本のカフェの歴史とは

 

参照サイト:https://lairdsuperfood.com/

                     https://www.ouest-france.fr/

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