マリトッツォ

話題のスイーツパン「マリトッツォ」の名前には、とてもロマンチックな由来があるのをご存知でしょうか? 最近では日本でも人気急上昇で、コンビニスイーツにも登場するほどです。素敵な由来があることを知れば、マリトッツォの人気も納得できるかもしれませんよ。

 

本記事では、古い歴史を持つマリトッツォの起源やおすすめの食べ方なども併せてご紹介します。

イタリア・ローマの伝統菓子「マリトッツォ」

ローマの街並み

コロンとした可愛らしい見た目のマリトッツォの起源をご紹介します。

 

マリトッツォはどんなスイーツ?

マリトッツォは、イタリア中部ラツィオ州発祥の伝統菓子です。マリトッツォと呼ばれる発酵させたブリオッシュ生地を使ったスイーツパンは、忘れ去られた時代もありましたが、数十年の時を経て再び首都ローマで人気が復活しました。マリトッツォの流行の波はイタリアから全世界を駆け巡り、日本でも流行スイーツとして巷で話題になっています。

 

日本でよく見かけるマリトッツォは、イタリアでは「マリトッツォ・コン・ラ・パンナ(生クリーム入りマリトッツォ)」と呼ばれています。ふわふわのブリオッシュ生地に軽やかな口当たりのホイップクリームがたっぷり詰め込まれたマリトッツォは、甘いものが大好きな人にとって魅惑のスイーツです。

 

マリトッツォの起源は?

マリトッツォの起源は意外にも古く、古代ローマの時代にまでさかのぼることができます。食文化が大きく進歩したローマ帝国下では、無発酵パンや発酵パンのほか、小麦や大麦、ライ麦などさまざまな種類のパンが焼かれていました。

 

そんなパン焼き技術が飛躍的に発展した時代に、マリトッツォの祖先は生み出されたそうです。当時のマリトッツォは現在のようにクリームぎっしりの姿ではなく、卵と小麦粉、バターと塩、そしてハチミツとレーズンを混ぜ合わせて作られた甘みのあるシンプルなパンでした。

 

中世時代以降のマリトッツォ

マリトッツォがもっとも有名になったのは、中世の時代でした。カトリックを信仰する国々では、イエス・キリストが荒野で40日間断食したことに倣い、40日の間肉食を絶つなど節制して過ごす四句節と呼ばれる期間があります。

 

四句節の期間、バターを口にすることは許されていませんでした。しかし、マリトッツォだけは例外で、レーズンや松の実、砂糖漬けの果物を加えたものや、タラ、アンチョビ、チコリなどを加えたものが食べられていたといいます。

 

中世に根付いた四句節の習慣はその後何世紀も続き、19世紀のローマの詩人であったジョアッキーノ・ジュゼッペ・ベッリは、「四旬節の間、誰もがカフェテリアでマリトッツォを食べた」と述べました。

 

また19世紀後半から20世紀初頭にかけて、マリトッツォは遠くに働きに出かける家族に持たせるお弁当として、一家の女性たちが愛情を込めて作ったといわれています。高カロリーで腹持ちの良いマリトッツォは、重労働をする人々の間でとくに重宝され、農家の食卓ではメインディッシュとしてしばしば登場しました。

 

恋人たちの愛の架け橋となったマリトッツォ

恋人たち

マリトッツォには、いったいどのような名前の由来があるのでしょうか?

 

マリトッツォは愛のドルチェ

マリトッツォの名前は、イタリア語のMarito(夫)に由来しています。イタリアでは3月の第一金曜日に、男性が指輪や宝石類を中に隠したマリトッツォを女性にプレゼントする習慣があり、その送り主が将来の夫になることにちなんで名づけられたといわれています。

 

また別の説では、ハート形のマリトッツォを作った若い女性たちが集まって結婚相手を探すイベントが行われていたことから、マリトッツォと呼ばれるようになったとも考えられているのだとか。さらに、妻がまだ眠っている間に、夫が朝ごはんとして買いに走るお菓子だったことに由来するという説もあります。

 

ローマで開催される「マリトッツォの日」とは?

マリトッツォがイタリア人、とくにローマの人々に愛されていることは、「マリトッツォの日」が制定されていることからもわかるのではないでしょうか。毎年12月の第一週に祝われる「マリトッツォの日」には、バラエティ豊かなマリトッツォが集まるイベントがローマ市全体で開催されています。

 

伝統的なレシピで作られたものはもちろん、独創的なレシピに基づいて作られたマリトッツォは、愛好家やグルメな人々だけではなく、ローマの地を訪れた観光客をも魅了してやみません。たくさんある種類の中からお気に入りの味のマリトッツォを見つける楽しさは、イタリア旅行の良い思い出になるはずです。

 

マリトッツォがあればイタリア風の朝ごはんが完成

ローマのカフェ

マリトッツォを用意して、イタリア風朝ごはんにチャレンジしてみましょう。

 

イタリアの朝ごはんは甘いものが定番

おいしい食べ物が盛りだくさんのイタリアですが、イタリアの朝ごはんは簡単なものばかり。朝ごはんのことをイタリア語では、colazione(コラツィオーネ)といいます。イタリアでは朝ごはんに甘いものを食べるのが定番となっているようで、エスプレッソやカプチーノと一緒に甘いパンやビスケットなどをつまみます。

 

ある調査によると、イタリア人の約80%は朝食にブリオッシュを食べているのだとか。イタリアのブリオッシュはコルネットとも呼ばれており、クロワッサンのようなパンにジャムやチョコレート、クリームを詰めたものを指します。ほかにも、Fette Biscottate(フェッテ・ビスコッテータ)と呼ばれるラスクのようなものに、ジャムやハチミツ、チョコレートなどをたっぷり塗って食べるのが一般的です。

 

マリトッツォに合うのはカプチーノ?

マリトッツォもイタリアの朝ごはんメニューのひとつですが、マリトッツォを朝ごはんに食べれば、日本に居ながらにしてイタリアにいる気分が味わえるかもしれません。1980年代までのイタリアならば、「朝は絶対にカプチーノ! 」という人が多かったようです。

 

しかし最近では、カプチーノを午後から飲んでいても、あからさまに顔をしかめるイタリア人は減ったのだそう。ですから、マリトッツォを食べるときには、お気に入りのドリンクを合わせてみましょう。

 

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マリトッツォのおすすめの食べ方

もし冷凍のマリトッツォを購入したなら、冷蔵庫解凍か自然解凍、もしくは冷凍状態のままトースターに入れて少し加熱してから食べると良いでしょう。うっかり解凍しすぎると、ブリオッシュ生地が硬くなっておいしさが半減する恐れがあります。

 

いざ実食となったときに、中身のクリームの量が多いため、なかなか上手に食べられないと噂されているマリトッツォ。ですが、ブリオッシュ生地を上側と下側で半分に分けると、人前では食べにくいスイーツパンもうまく食べられるようです。

 

マリトッツォで素敵なコーヒータイムを

イタリアのマリトッツォ

世界中で流行中のマリトッツォですが、その人気ははるか昔から続いてきました。

 

ひとりで食べるのも良いですが、愛のお菓子であるマリトッツォを大好きな人と食べれば、もっとおいしく感じられるかもしれませんね。

 

参照サイトURL:https://www.hotel-cosmopolita.com/

 

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