ご自宅でおいしいコーヒーを楽しむために、コーヒーの淹れ方や器具の扱い方を基礎から学ぶこのシリーズ。
今回ご紹介するのは、分量と抽出時間さえ守れば、誰でも簡単にコーヒー専門店の味が再現できる「フレンチプレス」の淹れ方です。
フレンチプレスは世界中で色々な名前で呼ばれていて、イタリアでは「カフェッティエラ ア スタントゥッフォ(caffettiera a stantuffo)」として周知されています。
それ以外にもニュージーランドやオーストラリアでは、「コーヒープランジャー」として知られており、この器具で抽出した珈琲は「プランジャーコーヒー」と呼ばれています。
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目次
フレンチプレスってどんなもの?
「フレンチプレス」はフランスが発祥(※諸説あり)とされるコーヒー抽出器具で、日本では長らく紅茶を淹れるためのポットとして親しまれてきました。
近年、スペシャルティコーヒーが注目を集めたことで、コーヒー豆が持つ個性をよりダイレクトに味わうことができる抽出器具として再認識され、徐々に人気が高まっています。
ユニークなのがその呼び名で、日本では「フレンチプレス」の名で呼ばれるのが一般的ですが、海外では「コーヒープレス」や「カフェプレス」「コーヒープランジャー」など、国や地域によってさまざま。
ヨーロッパの一部では、主要な器具メーカーである「ボダム」や「メリオール」の名称がそのまま器具の呼び名として浸透している地域もあるそうです。
抽出の手順がシンプルで、分量と抽出時間さえきちんと計れば、誰が淹れても同じ味に仕上がる。この手軽さが「フレンチプレス」のいちばんの魅力といえるでしょう。
必要な器具は?
「フレンチプレス」での抽出に必要な器具は以下のとおりです。
必要な器具
- フレンチプレス
- ドリップスケール
- キッチンタイマー
フレンチプレスは多くの商品が出回っていますが、機能的にはどれもほぼ同じなので、デザインや容量などお好みでセレクトしてください。今回はフレンチプレスの定番・ボダムの『BRAZIL』を使用します。
ドリップスケールはコーヒー豆とお湯の計量に使います。以下の商品は時間計測機能もついているので、キッチンタイマー代わりとしても使えます。
キッチンタイマーは抽出時間の計測に使用します。正確に時間が計れるものならスマホやストップウォッチなどでも構いません。
材料(マグカップ1杯分)
- コーヒー豆:18グラム(粗挽きを推奨)
- 熱湯:240グラム
マグカップ1杯分(標準的なコーヒーカップなら約1.5杯分)に対し、コーヒー豆は18グラムが適量となります。一度に2杯分以上淹れる場合は豆の量を1割程度少なめにして、濃さを加減してください。
例)
- マグカップ2杯分:コーヒー豆33グラム、熱湯480グラム
- マグカップ3杯分:コーヒー豆45グラム、熱湯720グラム
【POINT】
フレンチプレスのフィルターは目の粗い金属やメッシュを使用しているため、コーヒー豆の挽き目が細かいと微粉がフィルターを通過し、コーヒーの舌触りや後味を悪くすることがあります。粗挽きにすることで微粉の混入を防ぎ、雑味も抑えることができます。 |
フレンチプレスで淹れてみよう!
手順1 コーヒー粉をフレンチプレスに入れる
コーヒー豆を計量し、粗めに挽いたらフレンチプレスのポットに入れます。
手順2 ポットに熱湯を注ぐ
フレンチプレスのポットをドリップスケールに乗せ、重量を「0」にリセットしたら、お湯を分量の6~7割ほど注ぎ、同時に抽出時間(4分)の計測をスタート。
一投目は大きく円を描くようにお湯を注ぎ、コーヒー粉全体にお湯が行き渡るようにポットの中でしっかり撹拌させます。
30秒ほど蒸らしたら、残りのお湯を投入。コーヒー粉と抽出液の層ができているので、これを崩さないよう二投目は静かに注ぐのがポイントです。
手順3 フタをして抽出を待つ
フタに付いたプランジャー(フィルターの取り付けられた軸棒)を引き上げた状態でポットに乗せ、香りが逃げないようにして抽出を待ちます。
手順4 プレスして出来上がり
抽出時間の4分が経過したら、プランジャーをゆっくりと押し下げ、コーヒー粉と抽出液を分離して出来上がりです。
プランジャーを勢いよくプレスしたり、プレスする前に揺すったりすると、余計な雑味や微粉が混ざる原因となるので、プレスはゆっくりソフトに、を心がけましょう。
出来上がった後もポット内では抽出が進んでいるため、長時間そのまま置いておくのはオススメできません。早めにカップに注ぐようにしてください。
また、ポット内のコーヒーは底に近いほど沈殿した微粉を多く含んでいるので、ざらっとした口当たりが苦手な方は底から1センチ程度はカップに注がず、残しておきましょう。
おいしく淹れるポイントは3つ
今回はフレンチプレスの淹れ方についてご紹介しました。
おいしく淹れるためのポイントは、
- 分量と抽出時間をきちんと測る
- お湯は一投目でしっかり撹拌、二投目は静かに注ぐ
- 抽出後はそのまま置かずにすぐカップへ
たったこれだけです。
この3つのポイントさえ覚えておけば、フレンチプレスは初めてという人でも、プロ並みのおいしいコーヒーを淹れることができます。
シンプルな淹れ方だからこそ、コーヒー豆が持つポテンシャルを余さずに引き出すことができるフレンチプレス。
スペシャルティコーヒーのような上質なコーヒー豆を手に入れたら、まずはフレンチプレスで淹れて、旨味や香りといった個性を存分に味わってみてください。